ホルモンバランスを整える“良質なオイル”とは。
油はダイエットの敵という印象がいまだに根付いているけれど、脂質は女性ホルモンや細胞膜などの原料になる重要な栄養素。とくに、「亜麻仁油やえごま油に含まれるオメガ3系脂肪酸は意識的に摂るべき」と、婦人科医・松村圭子先生。
「オメガ3系脂肪酸には、ニキビなどの肌の炎症を抑える作用があるため、生理前の肌荒れにも効果的。体内で作ることができない必須脂肪酸なので、積極的に摂取を。亜麻仁油は、ホルモンバランスを整えてくれる“リグナン”という成分が入ったものを選んで」
ただし亜麻仁油やえごま油は熱に弱いという性質がある。加熱調理に使うなら、オメガ9系脂肪酸を含むオリーブオイル、こめ油、アボカドオイルなどがおすすめ。
「オメガ9系脂肪酸は腸の働きを良くして、便通を促す効果があります。もちろん過剰に摂りすぎれば体内に蓄積されて体脂肪となるので、注意が必要。サラダにかけたり調理に使う油としては1日約15g(大さじ1杯強)が適量です」
まずはマスターしたい、基本の3種。
美と健康に欠かせないと注目を集めるオイルといえば、「オリーブオイル」「亜麻仁油」 「えごま油」。女性ホルモンの原料にもなる脂質を味方につければ、生理による不調を緩和できるかも。まずはそれぞれの成分やおすすめの食べ方を知り、毎日の食事に正しく取り入れよう。
オリーブオイル
腸内環境を整えて、肌や細胞に潤いをプラス。
加熱OK、冷暗所で保存
オリーブオイルにはオリーブの果実を搾った生の「バージンオイル」と、そのバージンオイルと精製オイルをブレンドしたものがある。ブレンドオイルは単に「オリーブオイル」と表示されているけれど、規定では酸度(オイルの鮮度を示す数値)が1.0%以下のものを指す。血液中の悪玉コレステロールを減らすほか、腸のぜん動運動を促してお通じを良くする効果もある。保湿力が高く、肌を守ってくれる作用も。
オイルファーマシー「プレミアムエキストラバージンオリーブオイル」
スペイン・エストレマドゥーラ州の老舗オリーブオイルメーカーが搾油したコルニカブラ種100%のオリーブオイル。オレイン酸を約80%含有。250ml¥3,200(サンナチュラルズ TEL:0120・804・191)
亜麻仁油
ホルモンバランスを整え、PMSの症状を軽く!
生のみ、冷蔵保存
アマ(亜麻)という植物の種から抽出された油。ヒトの体では作ることができない必須アミノ酸の一つで、血管をしなやかにして血液をサラサラにするオメガ3系脂肪酸(αリノレン酸)を含んでいる。エストロゲンに似た働きをするフィトケミカル(植物由来の化学成分)が含まれているため、ホルモンバランスの乱れを整えてくれる作用も期待できる。エストロゲンが減ることで起こるPMSの緩和や、骨粗鬆症の予防にも効果的。
エヌ・ビー・アール「亜麻仁油」
ゆっくり圧をかけて搾油する低温圧搾法で製造。摩擦熱も一切出ないため、熱に弱いオメガ3を損なうことなく香ばしい香りも楽しめる。110g¥1,111(エヌ・ビー・アール TEL:03・3526・6272)
えごま油
血液をサラサラに。花粉症にも効果あり。
生のみ、冷蔵保存
エゴマは東南アジア原産とされるシソ科の一年草。大葉とよく似ていて、独特の風味を持つ。種子に圧をかけて油を搾る方法が一般的で、その油は日本で古くから利用されてきた数少ない国産オイルの一つ。亜麻仁油と同様オメガ3系脂肪酸(αリノレン酸)が約60%含まれることで人気に火がつき、一時入手困難に。サラッとしていてクセがなく、サラダや卵かけご飯など直接かけて食べても料理の味を邪魔しないのも特徴。
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Oki「エゴマオイル」
農薬不使用・無添加のえごま油。1kgの種子から300mlほどしかとれない貴重なもの。中性脂肪の減少や、抗炎症作用が期待できる。120ml¥1,800(Okiエゴマオイル TEL:06・6438・6122)
松村圭子先生 成城松村クリニック院長。婦人科医。著書に『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)など。
※『anan』2020年3月25日号より。写真・多田 寛 取材、文・黒澤祐美
(by anan編集部)