なんかカッコいいモデルの男子が出てきたね…なんて噂をしていたのが、ほんの数年前。坂口さんは現在、モデルとしてはもちろん、俳優としても大活躍。’15~’16年の2年間で10本の映画、ドラマにも多数出演。でもご本人は、至ってフラット。撮影中も、「バレーボールやりたいなぁ」なんてつぶやきが出る飄々ぶりです。
――金髪、やっぱりインパクトがありますね。ブリーチするの、痛くなかったですか?
坂口:痛くなかったんですよ。僕も、「痛いよ~」って言われてて、覚悟してたんですけど、全然。3回ブリーチしたんですけど、結局1日でやっちゃった。でも髪の色がこれになったら、なんか肌が余計白く見える気がする…。
――確かに。バレーボール部だったと伺ってますが、ずっと屋内にいたから色白だったんですかね?
坂口:そう、6年間バレーやってて。僕はレフトで、エースだったんです。すごい楽しかったなぁ。今もたまに、バレーやりたくなるんですよ。フットサルのチームとかはあるのに、バレーボールってそういうのがないから、残念。誰かグループ組んでくれればいいのに…って、肌の話(笑)。そう、学生時代は今よりもっと白かったんですけど、それが嫌で、実は日サロ行って焼いてました。だからある意味、今より全然黒かった(笑)。
――坂口さんが、日サロですか?!
坂口:フフフ(笑)。なんかそういうのが流行ってたんですよ。そういう感じがカッコイイって。あと、やっぱり白いのが嫌で。でもね、肩甲骨だけがなぜか焼けなくて。ライトの当たり方の問題だったと思うんですけどね。まぁ、そっち側ブームも高校3年あたりで一段落して、服装とかも今の僕に近い感じに落ち着きましたけどね。
――それにしても、この2年の活躍は驚くばかりですが、今のような状況に関しては、どんなふうに思ってらっしゃるんですか?
坂口:なんか、割とたくさんの作品に出演させてもらってますよね…。
――あれ、意外と客観的。
坂口:いや、なんだろう、僕、目標とか夢とか、わざと持たないようにしてて…。先に見える景色がぼやけていたり、線が切れかかっているようなほうが、好きなんですよね。例えば、5年以内にこれとこれをやりたいっていうものを作ってしまうと、そこにまっすぐ進まなくちゃいけない気がして。僕としてはそうではなく、そのとき気になるところに寄り道をしながら、ふわふわと曲がりくねった道を進みたい。役柄とかも、“こういうのがやりたい!”というような希望も、特にないし。で、振り返ったときに「なんだかいろんな経験をしてきたんだね」って言えるのが理想的。
――どんな役でも、基本、オファーがあったらやりますか?
坂口:はい。だからこそ、役柄の幅も広がってきた気がします。でも、観ている人全員にとっての正解を目指さないっていうのはあるかも。全員が良いと思うものなんて作れないし、それって結局面白くないと思うし。どこかに、“坂口健太郎が演じている”という意義を残さないと意味がないし、それを感じてもらえる役作りをしたいということは、常に考えてますね。
――もうすぐ公開の映画『君と100回目の恋』では、超ラブストーリーを演じていますが「ラブストーリーだ」というプレッシャーなども特になく?
坂口:うん、ないです。あ、でも、この間、電車に乗ったときちょっとおもしろいことがあって。近くにいた中学生の女の子が、僕の話をしてたんですよ。
――え、坂口さんがそこにいること、気づいてて?
坂口:いや、気づいてない(笑)。で、その子たちが言ってたのが、「恋愛モノに出ている坂口健太郎は、いつも報われない」って言ってて。よく見てるなぁって驚いた。確かに今まで僕が演じてきた役のほとんどが、好きになるけど上手くいかない男なんです(笑)。好きになっても結ばれなかったり、相手はこっちのことを好きじゃなかったりする。でも今回は初めて、お互いがお互いを好きだという瞬間がある。考えてみると、こういうのは初めてかもしれないぞ、と。
――その中学生に教えてあげたいですね(笑)。
坂口:ね。次はちょっと報われる坂口健太郎が見られるよって(笑)。
――今回演じた陸くんは、どんな男子でしたか? 観る側からすると、背が高い、ハンサム、勉強できそう、ギターまで上手くて、もはや完璧ボーイでしたが…。
坂口:でも最初、ちょっと冷たくないですか? なんかすごく壁を作る子だなぁっていうのが、僕の陸に対する最初の印象。でも幼馴染みの葵海(あおい)とコミュニケーションをとることによって、徐々に彼は変わっていく。葵海と心を通わせたあとの彼は、壁が崩れた分ダサくなるんだけど、だからこそキュートでチャーミングなんです。その、キャラクターの振り幅はすごく意識して役作りをしました。
――ご自身に似てます?
坂口:んー、似てる部分もあります。僕もすごく親しい人以外には、基本、壁を作るタイプなので。ただ、陸は、外の世界と自分をその壁で明確に線引きするタイプだけど、僕の作る壁はあんまりハッキリ見えない感じ。ふわっとした壁。境界線を曖昧にしておくほうが、僕は心地いいんです。
――甘いシーンがいろいろありますが、その全てに“全女子が恋に落ちる”レベルのエネルギーがありました。
坂口:演じてる僕が言うのもなんですが、出来上がった映画を観たときに、確かに甘いシーンの爆発力はすごかった(笑)。でもそれは、編集の力だと思いますよ? 台本以上のことをやりすぎると逆に失敗することもある。だからあまり力を入れすぎず、ごくごくフツーに演じたんですけどね。しかも、そういうシーン、実は合計で5分くらいしかないんで…(苦笑)。でも、ラブストーリー、本当はもっと同世代の男子に観てほしいんですよね。僕もこの仕事をする前は、映画を観に行くときに正直ラブストーリーは全然選ばなかったんだけど、今考えるともったいないことしてたなぁと。女の子目線での役作りも考えていますが、男に観てもらえる恋愛映画を目指したっていう気持ちもあります。