腸のスペシャリストである消化器外科医の佐野正行さん、臨床栄養士の佐藤章夫さん、医学博士の松倉知之さん、小林暁子さんの4人に集結してもらい、腸の常識、新常識を明らかに。
常識
- 腸内細菌の菌の種類は、思春期でほぼ決まっている。
- 腸だけでなく、胃も整えてこそ、美腸が実現する。
- 腸内細菌のバランスは、数日間でも入れ替わる可能性大。
どんな菌が腸内に生息するか、15~16歳までに組成はほぼ決まり、大人になってもそれを安定して保ち続ける。根本から腸内フローラを変えようと思っている人にはがっかりな答えで、新たな善玉菌を増やそうとするのはなかなか難しい。ただ、本来持っている善玉菌を活性化することはできる。
腸の環境を整えたいなら、一緒にケアすべきは胃。本来、口から肛門までは6~10mの1本の管で繋がっている。特に胃から大腸までは粘膜組織に覆われ、食物の消化、分解、吸収をするために大切な役割を担っている。腸の調子が悪い時は、当然、胃の調子も悪化していると捉えて正解。
腸内細胞は、数日間で生まれ変わる。そのため、食生活や生活習慣を改善すれば、健康な腸の状態に徐々に変わり、腸内細菌が活性しやすい環境に整ってくる。早い人では、数日で便秘が治るなど、改善の実感をスピーディに得られる場合も。諦めずに続けることで、腸は必ず応えてくれる。
新常識
- 悪玉菌は、絶対悪ではない! 菌全体のバランスを重視。
- 死んだ乳酸菌は、実は腸内細菌の活性に役立っている。
悪玉菌でも、腸にとって必要な働きをしている場合も。実は不要な菌はなく、あなたのカラダに必要なものとして、全ての腸内細菌は生息している。大切なのは、細菌のバランスを整えること。善玉菌、悪玉菌、日和見菌と分けること自体、考え直す時に来ているという腸スペシャリストの声も。
善玉菌の代表とも認識されている乳酸菌は、生きたまま腸に届かないと意味がないと思っていたら、それは間違い。“加菌”ではなく、腸内環境全体を整え、菌を活性化させる“育菌”の観点に立てば、死んだ乳酸菌が役立つ場面が多々。免疫力を上げる点では、死菌の方が活躍する、という事例も。