沸かしたての白湯は薬だった。
「本来アーユルヴェーダでは、白湯は発熱時の薬でした。60°Cほどの白湯をゆっくりすすりながら飲むことで熱の原因となる物質の排出を促し、身体機能の回復に働きかけると考えられているのです」
と、話すのはアーユルヴェーダドクターの及川史歩さん。
胃腸にとっても、白湯は同じような効果があるのだといいます。
「白湯を飲むことで胃腸だけでなく腎臓や膀胱なども浄化され、解毒を促すことができます。まずは食道に溜まった食事の油分や老廃物などを白湯で洗い流すことでフラットな状態に戻し、胃腸をはじめとする身体機能を活性化させるのです。そのため、食間に飲むのがおすすめです」
冷たいままの水だと吸収されるまで体内で温める必要があるので、体温に近い温度の白湯であることが重要なのだとか。
「熱いまま飲むことが肝で、さらに私たちの体質を作っている日本で採れたミネラルウォーターを使うのがポイント。これさえ守れば、たとえ電子レンジだろうとお湯を沸かす方法は問いません」
とはいえ、白湯は万人に効くわけではないので注意が必要だとも。
「私たちのリサーチでは、アーユルヴェーダでいうピッタ体質の人は、白湯ではなく湯冷ましの方が体質的に合うことがわかっています。体の声を聞いて調整していくことも大切なこと。まずは白湯を3日続けて、便の調子や目覚めたときの気分などを観察し、自分に合うか見極めてみてください」
白湯が腸に与える影響とは。
便秘でも下痢でも寝る前にコップ1杯の白湯を飲むことで、腸内環境を整えることができる。及川さんが主宰する白湯研究会の調査では、約8割の人の症状が改善されたという。「変化のなかった約2割はピッタ体質の方々。彼らは800mlの水を600mlになるまで煮詰めて常温にした湯冷ましを日中こまめに飲むことで症状の改善が見られました」
白湯で排便は改善されましたか?
改善…77%、変化なし…23%
モニター145名(20~60代の男性29名、女性116名)に実施。方法:65~80°Cくらいの熱い白湯を、夜、歯を磨いた後、寝る直前に200mlすすりながら飲む。(『白湯の処方箋』より引用)
白湯に加えても。胃腸に効果的な食材。
白湯の味がどうしても苦手だという人は、どちらも白湯本来の効能とは異なるものの、胃や腸の調子を整えてくれるちょい足しレシピを活用しては。「クミンシードをホールのまま鍋に入れて空炒りし、水を加えて数分間煮出したクミンシード茶は消化促進に。また、白湯にレモンを搾れば、胃液の分泌を促すので消化力をアップさせることができます」
及川史歩さん インド政府認定アーユルヴェーダドクター、日本アーユルヴェーダ・スクール副校長。編著に『白湯の処方箋 ~実験してみました~』(日本アーユルヴェーダ研究所)がある。
※『anan』2023年7月12日号より。写真・市原慶子 スタイリスト・野崎未菜美 取材、文・宮尾仁美 撮影協力・UTUWA
(by anan編集部)