1994年にロンドンで設立されたヘザウィック・スタジオは、ニューヨーク、シンガポール、上海、香港など世界各地で革新的なプロジェクトを手掛け、世界のデザイナーや建築家から注目されるデザイン集団。彼らが手掛けた仕事といえば、上海万博の英国パビリオンや、ロンドン五輪の聖火台、グーグルの新社屋など、そのいずれも独創的! 今をときめく建築界のトップランナーだ。

世界が注目するデザイン集団の革新的な仕事術。

本展はそのヘザウィック・スタジオの主要プロジェクト28件を、大空間で紹介する日本初の展覧会。創設者トーマス・へザウィックは、自身の信条を「建築という大きな建物や空間にも、魂を込める」と語る。これは人々が集い、対話し、楽しむという空間づくりを見据えてプロダクトや建築物のデザインをするという意味だ。

なかでも特徴的なのがバイオフィリアに基づいて生まれた作品の数々。バイオフィリアとは、“人は本能的に自然とのつながりを求めている”という概念で、植物や水、太陽の光など、自然のゆらぎの中に、人は居心地の良さを感じると彼は説明している。自然界のエネルギーや建築物の歴史を取り込みつつ、小さなプロダクトも大規模な都市も創る。革新的なデザインの着想は、人を想う心が原点だと語る。

展覧会は、彼らの仕事を〈ひとつになる〉〈みんなとつながる〉〈彫刻的空間を体感する〉〈都市空間で自然を感じる〉〈記憶を未来へつなげる〉〈遊ぶ、使う〉の6つのセクションで構成。日本の暖簾や垂れ幕に着想を得たユニークな展示デザインになっている。また会場では、彼らが手掛けたロンドンバスの高さ4mを超える原寸大模型も展示。さらに彼らがデザインした回転椅子《スパン》に座って、展望台からの眺望を楽しむこともできる。

「作品は抽象芸術のようなもの。すぐに理解できなくても、時代や地域を超えて自由な解釈をしてもらえたら」とヘザウィック氏。足を運べば建築の魅力の正体がわかるはずだ。

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ヘザウィック・スタジオ 《上海万博英国館》 2010年 撮影:イワン・バーン
「たんぽぽ」の愛称が付いた上海万博の英国パビリオン。中核を6万本以上の透明なアクリルのポールが覆う。

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ヘザウィック・スタジオ 《リトル・アイランド》 2021年 ニューヨーク 撮影:ティモシー・シェンク
NYの《リトル・アイランド》は彫刻風プランターが連なった水上公園。

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ヘザウィック・スタジオ 《スパン》 2007年- Courtesy:Magis 撮影:スーザン・スマート
座ると弧を描きながら360度回転する椅子。

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ヘザウィック・スタジオ 《新ルートマスター(市バス)》 2012年 ロンドン 撮影:イワン・バーン
ロンドンバスも彼らの手により50年ぶりにリニューアル。

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ヘザウィック・スタジオ 《麻布台ヒルズ/低層部》 2023年(予定) 東京 ©DBox for Mori Building Co., Ltd.
今秋に誕生する麻布台ヒルズ。低層部の建築は日本初のプロジェクト。

Thomas Heatherwick

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1970年、英国生まれ。マンチェスター工科大学、RCAで3Dデザインを学び、’94年ロンドンに自身のスタジオを設立。以後は建築、空間デザインを軸に、世界10か国30以上のプロジェクトを担う建築界のスター。
撮影:ラケル・ディニス

※『anan』2023年3月29日号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)

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