クマとサケが営む甘味処に、悩みを抱えた人たちが夜な夜な訪れる、中山有香里さんの『泣きたい夜の甘味処』。その続編が、“出前スタイル”に形を変え、『疲れた人に夜食を届ける出前店』としてリリースされた。

読んでも作っても心の栄養になる夜食のチカラ。

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「前作も今作もSNSで発表した作品がもとになっていて、前作は1話が10ページ程度のボリュームでした。忙しくて原稿が進まないとき、フォローしていただいている方に少しでもお返ししたくて、1ページのマンガにしたのが続編のきっかけです。前作でも活躍したクマとサケが、フォロワーさんに食べ物を持っていくていで描き始めました」

中山さんは現役の看護師でもあるのだが、夜食に対する思いも強い。

「憧れの夜食は、おにぎりとソーセージと卵焼き。ほかにも翌日の罪悪感を考えるとなかなか食べられない甘いものやガッツリしたものも、絵で食べた気になってもらおうと、いろんなメニューを用意しました」

さらに前作は“泣きたい夜”がテーマだっただけに、食べる側のエピソードに寄ったしっとりとした内容が多かったが、今作はコミカルな要素が多いのも特徴となっている。

「たぶん私自身が楽しんで描いているのが、そうなった一番の理由です。夕方から夜にSNSにマンガをアップすることが多いのですが、疲れた人や理不尽な目に遭った人に一日の終わりに何かを渡すとしたら、あったかいごはんの絵とともに、コミカルな話で背中をなでてあげるのがいいのかなと思っています」

注文していない出前を勝手に届けてくれるのは、クマとサケだけでなく、ゴリラ、ネコ、天使、魔王など多彩な顔ぶれ。見た目はいかつい魔王が、引きこもりがちな青年の食生活を親身に世話したり、いたずら好きな天使はカロリーたっぷりな食べ物ばかりを持ってきたり。登場するおいしそうな夜食は、実際に再現することもできる。中山さんの絵をもとに、管理栄養士の中村りえさんがレシピを作成しているのだが、疲れた人がササッと作れるよう、手順が簡略化されているのもポイントだ。

「おにぎりの作り方やソーセージのおいしい焼き方など、通常のレシピ本には載らないようなことも盛り込めました。レシピによっては、私が住んでいる関西の味付けを再現してもらえたのも嬉しいですね」

中山さんから読者へ愛情のこもった夜食は、どこから読んでも、どう味わっても自由なのも心地よい。

「夜食は、体はもちろんですが心の支えになるものですよね。どんなに疲れても、嫌なことがあっても明日は来るので、その前にちょっとでも立て直すという意味で、夜食の力を感じてもらえたらと思っています」

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『疲れた人に夜食を届ける出前店』 『泣きたい夜の甘味処』で第9回料理レシピ本大賞コミック賞を受賞したシリーズの第2弾。鮭茶漬け、ハムエッグ丼、肉うどんなど、46のレシピ付き。KADOKAWA 1210円 ©Yukari Nakayama/KADOKAWA

なかやま・ゆかり 看護師兼イラストレーター、マンガ家。主な作品に『ズルいくらいに1年目を乗り切る看護技術』シリーズ、『泣きたい夜の甘味処』。

※『anan』2022年12月7日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子

(by anan編集部)

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