知る人ぞ知るバー『王様の耳』では、これまで誰にも話したことのなかった自身の「秘密」を買い取ってくれるという。〈ガイダロス〉というカクテルを注文すると奥の小部屋へ通され、ミステリアスなオーナーの鳳麟太郎(おおとり・りんたろう)がその話の価値を査定。噂を聞きつけて、夜な夜な、さまざまな悩みや過去を持つ客が訪れる。
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そそる設定、魅力的なオーナーとバーテンダーのシバケン、ゾクゾクする内緒話の数々。オトナ女子の気持ちを鷲掴みするコミックが、えすとえむさんの『王様の耳』だ。

「ワルな男たちを描きたい、というところから企画がスタートしたんです。その舞台として、バーは秘密めいた話や打ち明け話をするのにちょうどいい場所だなと。バーテンダーさんのような後腐れのない相手に、お酒が入った勢いで、知り合いには言えないような、普段ならしないような、特別な話をついしたくなるというか。個人的には、ああいうオーセンティックなバーでしっとりもいいけれど、みんなでワイワイビール飲んでいるのが性に合います(笑)」

本作では、各章のタイトルがカクテルの名前になっていたりする遊び心も。ヤクザの組長や50代の刑事、秘密を売りに来る男性客ら、続々登場するイケオジたちもステキで、随所に読者サービスが詰まっている。

「つるっとした卵のような若いイケメンよりも、年配の男性の方が骨感というか筋感というか、そういうのが出せて、作画的にはすごく楽しいんです。私の場合、実はいちばん筆が進むのがおじいちゃんなんですね。どう描いても、シワとして味が出るので」

1巻では不倫話やTVキャスターのスキャンダルなどゴシップめいた話が中心だったが、2巻に入ってからは、俄然、犯罪がらみのアブナイ話題があちこちで絡まり始めて…。

ホストに入れあげて借金まみれになった会社員や、過去の少年事件をめぐり後悔を抱え続けている刑事、夫殺しの告白を繰り返す認知症の女性など、人物や事件の輪がつながり、先が気になってしかたがない。

そして、最大のミステリーは、オーナーやシバケンは何者なのか、だ。

「オーナーの正体はちゃんとはまだ明かしてませんが、人外であることは示しています。オーナーに〈君からは秘密の匂いがしない〉と言われたシバケンですが、過去に何かありそう。人に言えない究極の秘密とはなんだろうと考えながら、伏線を回収しつつ、そこに向かってラストまで走りたいなと思っています」

3巻は来年2月に発売予定とのこと。待ちきれなくて、バックナンバーを読み漁ってしまいそう…。

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えすとえむ『王様の耳 秘密のバーへようこそ』2 デザイナーのteraccoさんが手がけた装丁も注目ポイント。2巻の透明カバーの窓からのぞくのはシバケンこと柴健斗。背景になっているバーの棚の絵も圧巻だ。小学館 880円 ©えすとえむ/小学館

えすとえむ マンガ家。東京都出身。2006年、『ショーが跳ねたら逢いましょう』でデビュー。『いいね! 光源氏くん』がドラマ化。本作は、『女性セブン』で連載中。

※『anan』2022年11月30日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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