臭いおならは要注意!! 医師が教える、おならトラブルの原因&解決法

2022.7.31
老若男女、誰だってちょっと恥ずかしい、おなら。空気や、腸で発生したガスが肛門から出てくるのですが、健康な人でもおならは出るのが普通だそうで…。

おなら

trouble

おならとは?

口から飲み込んだ空気と、腸で発生したガスが肛門から、プッ。
腸内環境と心身の繋がりを研究している内科医の桐村里紗先生によると、なんと人間は1日に10~20回ほどおならをしているのだとか。つまり、おならが出ること自体は至って普通のこと。

「口から飲み込んだ空気と、体内の消化活動で発生するガス、さらに腸内で細菌が食物を分解したときに発生するガスなどが、気体として肛門から排出される。それがおならです。空気を飲み込む、というとあまり想像がつかないかもしれませんが、人は、食事のときやガムを噛んでいるとき、また唾液を飲み込むときなどに、一緒に空気を飲み込んでいて、意外とその量が多い。それが腸内を通って下から出てくるわけです」

心療内科医・伊藤克人先生によると、おならの構成比は「飲み込んだ空気が7割、腸内で発生したガスが3割」とのこと。また、おならが出やすいタイミングというのもあるそうで、

「朝起きたときに出やすいのは、胃腸が動き出すタイミングなので、それに従いおならが発生。またリラックスすると胃腸の動きが活発になりおならが出やすく。お風呂に入っているときに出やすいというのは、そういう理由からなんです」

◎臭くないおならは問題ナシ。
実は、ニオイのないおならは健康な消化活動が行われている証拠。

「ニオわない、問題のないガスの代表選手といえば、大腸などで発生する二酸化炭素や水素ガス、酸素ガス。これらは肛門に向かって進む中で、腸管に吸収されたり、腸内細菌が利用したりもします。回数が多くても、それほど問題ではありませんし、音も腸内の健康とは関連はありません」(桐村先生)

原因は?

早食い、大食いも原因に?! お肉の食べすぎも要注意。
一方で、臭いおならは大問題。それは腸内で良くないガスが発生している証拠です。

「食物繊維の多い食材や、肉などの動物性タンパク質を摂りすぎると、大腸で分解したときに腐敗性のガスが発生します。主に硫化水素で、それは体には吸収されない上、とてもニオいます。さらに、便秘気味であることも、消化物が腸に長い時間とどまることになりガスが発生するので、臭いおならが出る一因に。また、ストレスや暴飲暴食で腸内環境が乱れているパターンも。消化がうまく行えておらず、悪玉菌が増え臭いガスを発するようになるに従って、おならも臭くなります」(桐村先生)

お酒をよく飲む人も、おならが多い傾向が。

「アルコールの大量摂取は大腸の運動を停滞させるので、ガスが押し出されず溜まってしまい、お腹の張りとおならがひどくなることも」(伊藤先生)

また空気をたくさん飲み込む生活習慣も、おならの原因に。こちらは腐敗性のガスとは関係はありませんが、生活習慣の見直しで減らすことは可能。

「早食いや大食いの人は、食事のときに人より多く空気を飲み込んでいます。食事はゆっくり落ち着いて摂るように心がけましょう」(伊藤先生)

どうしたら?

ガスを消す薬や漢方の服用も。食事の内容や食べ方の見直しを。
気になるようであれば、腸に溜まったガスを減らす薬の服用も一つの手。

「消泡剤という薬は、胃や腸内に発生したガス溜まりをつぶし膨満感を和らげてくれる。お腹が張っているのが苦しい人にはおすすめです」(桐村先生)

「体に優しい漢方薬もおすすめ。桂枝加芍薬湯や大建中湯といった薬は、腹部の張りの緩和に一役かってくれるので、お腹まわりがラクに。腸内環境を整えることも、臭いおならを減らすためには有用なので、整腸剤も使うといいでしょう」(伊藤先生)

また、食べるものによって発生するガスが変わってくるので、食事も見直したい。

「イモ類や豆類は、大腸で分解するときにガスが出るので、悪いガスではないですが、おならを減らしたい人は少し控えめにするといいかも。ニオイが気になる人は、分解のときに腐敗性ガスを発生させる、肉や魚といった動物性タンパク質の量を減らす。さらに食事を早食いする習慣はやめて、ゆっくりよく噛んで、消化が良くなるような食べ方を心がけてください。飲み込む空気の量が減り、しだいにおならの回数も減少していくことでしょう」(伊藤先生)

「緊張すると、人は無意識に唾液と一緒に空気を飲み込むもの。ストレスを減らす生活を心がけてみてください」(桐村先生)

きりむら・りさ 内科医、認定産業医。tenrai株式会社代表取締役。ヘルスウェルネスに関する発信も多数。著書に『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が。

いとう・かつひと 東急病院心療内科、HDCアトラスクリニック、労働衛生コンサルタント。専門は心身医学、森田療法。著書に『いちばんわかりやすい過敏性腸症候群』(河出書房新社)など。

※『anan』2022年8月3日号より。イラスト・HONGAMA

(by anan編集部)