人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは女優の草笛光子さん。生きる上で大切にしていることはどんなこと? 第3回は、今は亡きお母様との合言葉を教えていただきました。

洋服には、その人間の人生が出ます。

Entame

18年に、『草笛光子のクローゼット』という、スタイルブックを出版させていただきました。そのおかげか、おしゃれなイメージを持たれることが増えましたが、私は全然おしゃれじゃないし、洋服好きでもない。ただ、役柄のために衣装を考えるのは楽しいわね。

もうすぐ公開される映画で演じたのは、“かつてあった老舗和菓子屋の奥さん”。たぶんずっと着物を着ていて、その経験があって今は洋服を着ている人ね、とピンときた。その感覚をもとに、衣装を探しました。それからヘアスタイル。イメージは“洋服にも合う日本髪風スタイル”。そうやって細かいところを詰めていくと、より役柄にリアリティが出る。今年放送された『その女、ジルバ』でも、“バーで働く80歳の女”が持つにぎわいを意識して、自分のドレスも含めて衣装選びをしました。洋服には、人生が出るんです。今回も、私の私服や帽子がいくつか活躍しています。そんなところも見ていただけたら!

「こんちくしょう!」できれいに生きる。

長いこと私のマネージャーをしてくれた母は、いろんなアドバイスをくれました。芸能に関してはまったくの素人の母の言葉だからこそ、とても私に響いたものが多々。その中でも今も私が大事にしているのが、「きれいに生きましょう」という言葉。「光子ちゃん、きれいに生きましょうね」とよく私に言っていました。それは、ズカズカと出ていき誰かの役を奪うとか、裏で何かをして便宜を図ってもらうとか、そういう汚いことをせず、きちんと生きましょう、という意味です。

心の奥底を覗けば、人を押しのけたい気持ちや、陥れたりしそうになる闇がある。でもそんなことをして生きるなら、今いる場所から降りたほうがいいと、私は思っています。もちろんきれいに生きようとして、バカを見たこともたくさんあります。そんなときは思い切り泣いて、「こんちくしょう!」って立ち上がる。それで再び、きれいに生きる。今でもその言葉は、私と母の合言葉です。

くさぶえ・みつこ 女優。1933年生まれ、神奈川県出身。松竹歌劇団を経て女優デビュー。以来映画、ドラマ、舞台、ミュージカルなど幅広く活躍。10/30より映画『老後の資金がありません!』が公開。衝撃の傑作コメディです!

アクセサリー協力・ABISTE(TEL:03・3401・7124) その他はスタイリスト私物

※『anan』2021年10月27日号より。写真・中島慶子 スタイリスト・市原みちよ ヘア&メイク・中田マリ子(ヘアーベル)

(by anan編集部)

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意気投合する友達や、目標を同じくする相手と過ごす時間は貴重なものです。特に憧れの先輩や先生がいる人は、付き従っていろいろと学ばせてもらうのに良い日です。相手の⻑所や気品、考え方、見習いたい行動などを吸収していきましょう。逆の立場では、周囲の期待や崩せないイメージに悩むかも。それは責任感が強い証拠です。

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