「『イディオムの鳥』というタイトルには、言葉が繋がり、新しい意味が生まれる慣用句(イディオム)と、解放されて羽ばたいている鳥のイメージが重なったことがきっかけで辿り着きました。ただ、いろいろな解釈があるので、その余白を感じていただければ」(谷口さん)
展示空間を彩るのが日下さんの作品。物語を想像させる絵は、全体のトーンは決して鮮やかではないのに、観る者の心をほぐし、不思議とあたたかい気持ちで満たしていく。
「描く時には、行動の前後に意識を向けるようにしています。例えば、“本を読む”姿を描こうと思った時に、実際に読んでいるところではなく、“本を読もうとしている”姿を描くような。そうすると絵に奥行きが出る気がします。大事にしているのは“相反する世界”を同居させること。日常に少しの空想を加えることで、現実と非現実の境界を曖昧にし、観る人によって様々な捉え方をしてもらいたいです」(日下さん)
repairの制作は、全体のテーマを照らし合わせた後、谷口さんが言葉を書き、途中からは対話をしながら日下さんが絵をつけていくスタイル。だからこそ、柔らかく混じり合った2人の感性が伝わってくるのかも。repairの音楽も楽しむことができる贅沢な空間で、空想の世界に心を飛ばしてみて。
絵と音と言葉のユニット「repair」個展 「イディオムの鳥」 にじ画廊 東京都武蔵野市吉祥寺本町2‐2‐10 5月20日(木)~6月1日(火)12時~20時 水曜休 無料 TEL:0422・21・2177
※『anan』2021年5月19日号より。All Pictures ©Akira Kusaka
(by anan編集部)