多くの女性たちの悩みを受け止め、的確なアドバイスを繰り出してきたジェーン・スーさん。あるとき、動物の生態や特徴などについて書かれたものを読んでいたら、「こういう女の子、いるな」「あれ? 私とも重なる部分がある…」などいろいろ見えてきたのだそう。女性たちを動物になぞらえるエッセイを書き、その連載の延長で始めたお悩み相談を合わせてできあがったのが、この『女のお悩み動物園』だ。

自分に似た動物を見つけて納得! モヤモヤを振り払ってくれる名回答。

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「オオカミやサルにはボスがいて、上意下達の命令系統がはっきりしています。一方、『イルカにはボスはいないがリーダーはいる』というのをどこかで聞いて、そっちが私たちの理想とする働き方だなと思った。そんなこともヒントになりました」

行動や心理パターンから、〈悪あがきするアヒルさん〉〈攻撃的なヤマアラシさん〉など16の動物に、女性を分類。そうした女性だからこそ陥りがちな悩みを、スーさんが分析。ポジティブな解決策も探ってくれる。

「自分も若いころは、アヒル的なところがあったなと反省しているんです。それは自信のなさの裏返しでしたし、いまは『人には人のペースがあるのだから、自分でやってしまった方が早い』と何でも背負ってしまうトラかな。おかげで四苦八苦しています(笑)。よかれと思って変わっていったところの先に、また違う悩みも生まれるし、新しい武器を手に入れたからこそ、足りないところにも気づく。ただ、誰もがそんなことの繰り返しだと思うので、卑下しすぎず、悲観しすぎず、自分の目指すところへ少しずつ近づいていけばいいんじゃないかなと思うんです」

バサッと斬ってくださいと頼まれるのは好きじゃない、とスーさん。

「スカッとするのははたで見ている人だけで、斬られる相談者ではない。万人に刺さる答えや、間違いのない安全パイの答えをひねり出すより、あくまで相談者さんと向き合って、大人の知恵で助けてあげられたらなと思っていました」

シスターフッド(女性同士の連帯)の潮流を、本書からも感じる。

「だからこそ、過去の常識や『これがふつう』という言葉で、相談者さんや読者に自分の価値観を押しつけないようにしました。どこからでも読めるし、心が軽くなったと言われると嬉しいですね」

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作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。1973年、東京都生まれ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で講談社エッセイ賞を受賞。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』放送中。

『女のお悩み動物園』 見習いたい理想の動物あり、我々の同胞的な愛すべきダメ動物ありで、どれも首肯してしまう。20代から40代の働く女性が抱く悩みを網羅。小学館 1500円

※『anan』2021年1月20日号より。写真・土佐麻理子(スーさん) 中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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我が身を振り返る、内省する意味のある日で、そこから発展して自分に近い人たちとその外にいる人たちとの関係を見つめることまで含みます。異なる視点・意見をもった相手との間で対立したり迎合したりと揺れ動く様子もイメージされますが、いずれにしても自分の考えや気持ちについてしっかりと見つめることが大切です。

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