意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「TikTok買収」です。
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モバイル向け動画のプラットフォーム、TikTokが急成長。ダウンロード数は世界で20億件を超えました。

TikTokの親会社は中国企業のバイトダンス。個人情報が中国政府に流出するのではという懸念から、インドは6月に国内でのTikTokの使用を禁止。トランプ大統領も「安全保障上の理由から、閉鎖されるか売却されるかだ」と述べ、TikTokのアメリカ事業の買収に、マイクロソフトほか数々の企業が興味を示しました。最終的には、オラクルとの提携が決定。

TikTokやWeiboなど、中国のSNSを運営する企業の真の目的は、利用者のスマホのなかに、どれだけ自分たちのビジネスインフラを入れ込めるかということです。利用者のモバイルに入り込み、利用者の情報をコントロールし、嗜好にぴったりのモノを売るインフラを世界に広げていこうとしています。中国は5月に「デジタル人民元」の試験運用を開始。中国当局が発行するデジタル通貨がアプリを介して世界に流通する日も遠くないでしょう。すると、中国系のアプリサービスや通貨を使用しなければ、世界の商売に参画できなくなる可能性も出てきます。アメリカやEU諸国は、そうして世界の貿易地図が中国に塗り替えられることを最も恐れています。

日本や欧米諸国からすればそんな中国は脅威ですが、世界に照らしてみれば、中国に親和性のある国のほうが多数。一帯一路構想が広がり、東南アジアやアフリカ、東欧、中欧諸国などは、経済的に強く結びついている中国との共存共栄を望んでいるのです。

独自のITインフラを持っていない日本は、すでにアメリカ系のインフラを使用しています。EUも独自のインフラはありませんが、自衛のために、個人情報を企業に握らせないルールづくりを徹底し、制裁金を課すなどのプレッシャーをかけています。日本政府は国民に何のリスクも知らせないまま、行政までもが海外のプラットフォームを使っています。これは、危機感が少し足りないのではないでしょうか。自国の商売や国民の情報を守るのが国の役割。それができないのなら、自衛の策を直ちに打つべきだと思います。

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堀 潤 ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開中。

※『anan』2020年10月7日号より。写真・中島慶子 題字&イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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