ムーミン人気を決定づけたコミック原画を日本初公開。
ムーミンが漫画に初めて登場したのは‘47年。フィンランドの新聞ニィ・ティド紙に2年間掲載されると、‘54年からは英国イブニング・ニューズ紙で連載がスタート。最盛期には全世界で120紙・2000万部の紙面を飾り、世界的なムーミン人気につながっていった。これをきっかけに、トーベは児童文学作家としての国際的な名声を得たのである。
ただ、この連載コミックスはトーベ一人で仕上げたものではなかった。当時、アート制作や書籍の執筆などマルチな活躍をはじめたトーベに代わり、それまで主にネタ探しや英訳を担当して彼女を助けてきた弟のラルスが’60年からコミックスを引き継ぎ、15年にわたり執筆を続けた。実は、弟あってこその共作だったのだ。
本展ではそんなコミックスを、日本初公開となる原画やスケッチ280余点などを通して紹介。ムーミンの物語やキャラクター以外にも、ヤンソン姉弟がこの物語を守ってきた背景や仕事ぶり、ひいては家族の絆までも知ることができる。従来とはひと味違った切り口のムーミン展だ。
ムーミンを家族で守るヤンソン家の絆に注目。
トーベ・ヤンソンとラルス・ヤンソン。彫刻家の父と挿絵画家の母との間に生まれた長女トーベ(左)と次男ラルスは12歳差。長男のペルは写真家と芸術一家の中で育つ。©Moomin Characters TM
トーベ・ヤンソン「『黄金のしっぽ』習作」。新聞連載の第18話の下書き。©Moomin Characters TM
トーベ・ヤンソン「『まいごの火星人』スケッチ」。第11話には警察官など人気キャラも。©Moomin Characters TM
ラルス・ヤンソン「『Moomin and the Ten Piggy Banks』原画」。ラルスが手掛けた最後のムーミンコミックス。©Moomin Characters TM
「ムーミン コミックス展」 松屋銀座8階イベントスクエア 東京都中央区銀座3-6-1 9月24日(木)~10月12日(月)10時~20時(9/27、10/4、10/11は~19時30分、最終日は17時閉場。入場は閉場の30分前まで) 日時指定制/一般1200円ほか TEL:03・3567・1211(松屋大代表)
※『anan』2020年9月30日号より。文・山田貴美子
(by anan編集部)