岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「一発録り」です。
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「レコーディングで一発録りをした」なんていうコメントを雑誌のインタビュー記事などで見かけることがあると思います。みなさん、「一発録り」とは、どういうものを想像されますか? 言葉の通り受け取るとバンド全員で一斉に演奏して、それ一発で決めることのように思いませんか? 僕もずっとそうだと勘違いしていました。ライブのように一発で決めることを指すのだと。ディープ・パープルの名曲「SMOKE ON THE WATER」で有名なギターリフをリッチー・ブラックモアがミスピックしたけど、そのまま収録された音源があります。ああいうのを「一発録り」やなと思っていましたが、あれはライブ盤であり「一発録り」とは違うそうです。

実際の「一発録り」とは、メンバー全員が同じ空間で同時に演奏していることは間違いないのですが、その演奏がたった一度きりとは限りません。僕がバンドをやっている友達に素朴な疑問として「この前、一発録りしたって雑誌で読んだけど、そんなにうまいこと演奏できるもんやねんな」と感想を述べたところ、「いや、確かに一斉に演奏はしてるけど、それを何回も録ってるんやで」と教えてもらったことで、そのことが判明しました。ファーストテイクで決めなくてはいけないわけではなく、何テイク録るかはうまくいくか次第なんです。だから、正確に言うと「一発録り」とは「一斉録り」または「一気録り」のことなんですね。ちなみに「一発録り」の対になるのが「バラ録り」です。これは、ひとつずつ楽器の演奏を録音していって、音を重ねていきます。

「一発録り」のメリットとしては、一体感があるということでしょうか。バンドとしてのグルーヴを出したいなら、一斉に演奏したほうが、それが醸し出されるはずです。デメリットは、録音の難しさがあると思います。バンドの形態に合わせてマイクもたくさん立てないといけないですし、ギターとベースはめっちゃうまくいったけど、ドラムがイマイチだったから録り直ししないとあかんとか、全員の息が合ってないと難しい。バラ録りなら、それぞれのベストテイクを使えばいいわけですから、それぞれにいいところ、難しいところがあります。とはいえ、僕は常に一人きりなので、ある意味何やっても「一発録り」です。常に緊張感を持って、一人でレコーディングしております。

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※『anan』2020年9月16日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・村田真弓 文・梅原加奈

(by anan編集部)

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