哲学書&思想書がブーム! 思想家のイケメン度にも注目の3冊

エンタメ
2020.07.02
昨今のベストセラーリストに必ず食い込んでいるのが現代の哲学書や思想書。そのブームを分析し、おすすめの本を選書してくれたのは、2015年からロングセラーを続けている『哲学用語図鑑』の編集者で自著も持つライターの斎藤哲也さん。

クールな思想家たちが牽引する、イケてて面白い哲学&思想書に注目。

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「日本の将来の不透明さがもたらす危機感や不安から、物事を根本的に問い、考えようとする書物に手を伸ばす人が多くなったように感じています。メジャーなビジネス誌が哲学特集を組むのもその表れでしょう」

昨今の思想家たちはイケメン揃いなところもハートをくすぐられる。

「最近は、ハラリやガブリエルのようなテレビによく登場するスター思想家が出てきました。佇まいもカッコいい彼らの本は総じて読みやすく、語られている内容も刺激的です」

『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』
ユヴァル・ノア・ハラリ著 柴田裕之訳 河出書房新社 2400円

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世界的なベストセラーとなった『サピエンス全史』で人類の過去を、『ホモ・デウス』で人類の未来を説いた著者が、現在に焦点を当てて書いた最新刊。「雇用、自由、平等、ナショナリズム、移民、ポスト・トゥルースなど、現代人が直面している課題を明晰に整理する手さばきが見事です。と同時に、本書は、ハラリ自身のエピソードや世界観について多くを語っている点も読みどころ。既出作と併せて読めば、その語り口に魅了されることうけあいです」

『世界は贈与でできている―資本主義の「すきま」を埋める倫理学』
近内悠太著 ニューズピックス 1800円

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お金では買えないものやその移動に「贈与の原理」という概念を用いる著者。贈与は人や社会にどう影響しているのか。「若き在野の哲学研究者が書いたデビュー作。私たちが普段何気なく行う贈与という行為はとても不思議なものです。人はなぜお返しを求めず贈り物をするのか。交換と贈与は何が違うのか。著者が親しんできた哲学や思想を渉猟しながら贈与の秘密に迫っていく本書を読むと、いままでとは違う世界の景色を発見できるかもしれません」

『世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか』
マルクス・ガブリエル著 大野和基訳 PHP研究所 960円

著者は、ポスト・トゥルースの時代における「新しい実在論」の提唱者であり、“哲学界のロックスター”と称される。「ガブリエルの主著『なぜ世界は存在しないのか』は、硬派な哲学書としては異例といっていいほどヒットしました。が、それでもけっこう難解なので、語りおろしで言葉も平易な本書から入るのがおすすめ。気候変動やグローバル資本主義、AI、GAFAなど時事的なテーマも多く、哲学者ならではの挑発的かつ反常識的な議論を楽しめます」

※『anan』2020年7月8日号より。写真・中島慶子 文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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