「奢る奢られる、どのくらい払うか」問題
森田:きましたね、お会計問題。「あれ、今日は割り勘? こないだは奢ってくれたのに…」なんて探り合いになってモヤモヤしたり。
清田:彼女側も稼いでいて、お返しとか気遣いのコストを払うくらいなら、お金は平等に払っておけば。逆に、もっと奢ってほしいと思っているなら、あらかじめルールを作っておくこと。食事量や酒量はもちろん、収入差や年の差もあるだろうから、良き割合を二人で話し合って。
森田:そうだね。世間的なジェンダーの規範に引っ張られて、なんとなく彼が奢っているけれど、相手も負担に感じているかもしれないし。
清田:外食にかぎらず、たとえば家で料理を作るとき。食材費も彼女が出しているなら、負担増だと思うから、食材費は徴収していいと思う。なかなか言い出しづらいなら、一緒に買い物に行って払ってもらうとか。不満は溜めない方がいいから、その都度その場で解決すべき。
→男女平等に払っておくのが無難。不満があるなら、ルール作りを。
「デートの提案が基本こちらから」問題
清田:まずは「デートに誘うのも、行く場所もこちら任せで、正直疲れる」という問題です。日程調整したり、相手がどこに行きたいかを考えつつプランを練ったり、誘う側は結構労力やコストがかかるよね。それを誘われる側は知らないから、負担になっているなら相手に伝えるべき。
森田:その伝え方が重要だよね。負担を不満として言うと、相手への批判になるから、「誘われなくて悲しい」「毎回プランを考えるのがすごく大変」とか、自分の感情ベースで伝えるのがいいかも。
清田:そうだね。あと解決策としては、分担制にして、負担をシェアしてみるのも手かも。たとえば偶数月は彼女、奇数月は彼氏がプランを考えるとか、あらかじめ仕組みを作っておくのもよさそう。日程調整が面倒なら、シフトみたいに1か月分くらい先に決めておいて、カレンダーアプリとかで共有したり。ルール作りが、前向きな問題解決への近道!
→負担になっていることを相手に伝えて、分担制にするなど、仕組みを作る。
「気になるマナーや服装、指摘すべきか」問題
清田:ドクロのTシャツ、箸の持ち方…など、相手のマナーや服装が気になって仕方がない、という問題。生理的な嫌悪感につながってしまったり、嫌いになりたくないから、直してほしいという気持ちはわかる。でもそれは、育った環境やセンスが関係してくることかもしれないから、とてもデリケートな問題でもある。
森田:どうしても直してほしいなら、軽いノリで言ってはダメ。プライドを傷つけるかもしれないから。身内みたいな存在になれていれば、相手もその指摘を受け入れてくれると思うけれど、指摘するか悩むってことは、まだ相手との距離感が遠い証拠だから、より慎重になるべき!
清田:相手に指摘せずに直してほしいなら、たとえば相手の食事のマナーが気になるときは「仕事でマナー研修を受けなきゃいけなくて、不安だから一緒に行ってくれない?」と提案してみるとか。二人で学んでいくのは解決策のひとつかも。
→まだ関係性を築いている過程なら、軽はずみに指摘するのは避けるべき。
清田隆之さん 2001年に「桃山商事」を結成。単著に『よかれと思ってやったのに―男たちの「失敗学」入門』(晶文社)。待望の新刊『さよなら、俺たち』(スタンド・ブックス)が7月2日発売予定。
森田雄飛さん 1200人以上の恋バナを聞き集め、“恋愛とジェンダー”をテーマにコラムやラジオなどで発信。『モテとか愛され以外の恋愛のすべて』(文庫ぎんが堂)など、桃山商事としての著書多数。
※『anan』2020年7月8日号より。イラスト・オカヤイヅミ 取材、文・鈴木恵美
(by anan編集部)