“ポケットにまだ入っていた音楽”を取り出す感覚で活動再開しました。
この日、ライダース姿でスタジオにふらりと入ってきた江口洋介さん。自ら軽く髪を整えると「アンアンのTシャツは持ってなかったから、(マガジンハウス刊行の月刊誌と同名の)ポパイを着てきました。よろしくお願いします」と言いながら、私服のままカメラの前に立った。ユーモアがあって柔軟で、なんて素敵な人! 江口さんといえば、『東京ラブストーリー』などトレンディドラマの顔として一躍人気を博し、その後は医療系や社会派のドラマ、舞台、単館上映の映画にも出演するなど役者として幅広い役を演じてきた。その裏で、近年“密かに”音楽活動も再開していたんだそう。
「じつは3年前から、年に3回ぐらいライブハウスでライブをしています。メンバーを集めてライブハウスを予約し、チケットを売って機材を搬入して…。告知はほぼフェイスブックのみの、手作りでした(笑)」
シンガーソングライターでもある江口さん。‘90年代は「恋をした夜は」や「愛は愛で」などのラブソングを中心に大ヒットを飛ばし、ホールツアーなども精力的に行ってきた。
「音楽はもともと大好きだったけど、活動を休止したのは役者としていっぱしになるために専念しようと思ったから。その後約20年間、幅広いジャンルの作品に出演させてもらい、一周したのかなぁ。あれ? ポケットにまだ音楽が入ってる、って取り出す感覚で活動を再開した。レコーディングしてCD発売という選択もあったんだろうけど、大好きな音楽をいきなり仕事にはしたくなくて、まずライブハウスで若い頃に歌ってきた曲や、新曲も作ってやってみようと始めました。それが楽しくて! お客さんと狭い空間で同じ空気を吸っていることを体感できるし、格好つけようとしても間近で全部見られちゃってるから、音楽を通してある意味“裸”になれた感じがした」
役者とミュージシャン、2つのバランスが今は心地いいという。
「役者をやっている以上、その都度、役を背負わなければいけないし、ある種のルーティンを続けなければいけない。その一方で音楽は、決められた通りにやっても全然面白くない。自由に共鳴し合っていくことで、すごく陽気な肯定感みたいなものを得られるんです。そこから、本来役者もそうでなければいけないよな、って原点に戻ったりもして。役者業と音楽は僕の中に共存しています」
10~20代に作った恋愛曲を大人になって歌うことで、新たな発見も。
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「歌詞がピュアというか、ダイレクトというか…当時はもっと前に出たいという思いがあったんだなぁと。今は書けないね(笑)。恥ずかしくてつい、ハードロックの曲ばかり演奏しちゃうけど、次のライブでは昔の曲も新曲も含め恋愛曲をたくさん演奏しようと思っています。いずれレコーディングもしたいけど、今目指すのは、僕が昔NYで不意に立ち寄ったライブハウスで見たような格好いいライブを、今度は僕が東京の街でやりたいということなんです」
1月28日に渋谷のTSUTAYA O-WESTにて行われるワンマンライブ「FREE WILL Yosuke Eguchi Live 2020」のチケットが好評発売中。ヒット曲はもちろん、新曲も披露予定。開場18:30、開演19:00。SOGO TOKYO TEL:03・3405・9999
えぐち・ようすけ 1968年1月1日生まれ。近年の出演作にドラマ『ヘッドハンター』『ストロベリーナイト・サーガ』、映画『孤狼の血』『コンフィデンスマンJP』など。音楽活動は、休止期間を経て2016年に再開。
※『anan』2020年1月22日号より。写真・井手野下貴弘 取材、文・若山あや
(by anan編集部)