
ちょうどいい時間に眠くなる、そして質の良い睡眠がとれる。そんな体を作るためには、日々の食事が重要です。眠りを誘う栄養素や香りを持つ食材、そして食べ方を知ることが、スヤスヤと眠れるゴールへの近道!
Index
食事のタイミングで生活のリズムを整え、眠りに良い栄養を!
「さまざまな女性たちから話を聞く中で、20~30代前半の層がもっとも睡眠の問題を抱えている印象があります」
と言うのは、睡眠コンサルタントであり、また大学院で睡眠の研究も行う友野なおさん。
「忙しく働く世代なだけに、規則正しい生活が送れず、食事の時間もバラバラ、という人が多いと思います。でも睡眠にとって、不規則な生活は一番の敵。まずは毎日なるべく食事の時間を揃えることで生活リズムを整えて、睡眠の質を上げましょう」
食事の中身は、バランスよくいろんな食材を摂ることが大事。
「パンだけ、麺だけ、おにぎりだけなどの単品食事は避け、味噌汁や副菜を足して食材の種類を増やす。また眠気を誘ったり睡眠の質を上げる要素を含む食材を積極的に選ぶようにすることも効果的です。紹介しているすべてを行う必要はなく、可能なことから少しずつ取り入れていくだけでも、良質な睡眠に近づくので、ぜひトライを!」
起きて1時間以内に朝ごはんを食べよう
「生活のリズムと睡眠には密接な関係が。そのためには食事の時間を日々なるべく同じにすることが大事です。まずは毎日、起床から1時間以内に朝ごはんを食べる習慣をつけましょう。そうすることで体内時計が整い、時間が来るとお腹がすいたり、夜になったら自然に眠くなったり、といったリズムに変化」
お昼ごはんは13時までにぜひ。単品ではなく、定食スタイルで
「睡眠の質を上げるためにはバランスの良い食事は必須。麺類や丼ものなど炭水化物に偏りがちな昼食は、定食スタイルにすればOKです。例えばコンビニで買うならおにぎりとお味噌汁とサラダ、また、外食で丼ものを食べるなら、同じく味噌汁となにか副菜を一緒に。それだけでバランスが格段に良く」
晩ごはんは寝る3時間前、脂っこい食事なら4時間前までに終了
「人の体には、内臓の温度が下がると眠くなるというメカニズムが。熱を生む消化を終わらせ、内臓がリラックスした状態で就寝を迎えたい。なので、就寝の3時間前までには食事を終わらせるのがベター。焼き肉など脂っこいメニューはより消化に時間がかかるので、4時間前までには食べ終わりましょう」
あわせてcheck!
ビタミンとミネラル、ポリフェノールで睡眠の敵・ストレスを軽減
「良い眠りの最大の敵といえばストレス。そのストレスを和らげるのに効果的なのが、抗酸化物質。ブロッコリーのβ-カロテンや、パプリカやオレンジのビタミン類、豆類が持つミネラル、ナスのポリフェノールをバランスよく摂ることで、ストレスを軽減。眠りの質を上げることが期待できます」
セロトニンを生み出すためには卵、アボカド、ナッツ、豆類を!
「睡眠を促す物質・メラトニンの材料となるセロトニン。それを生成するためには、トリプトファンという必須アミノ酸の摂取がポイント。卵、肉、魚、乳製品といったタンパク質系食材に加え、アボカド、豆やナッツ類にも多いので、3回の食事と間食にもうまく取り入れ、積極的に食べましょう」
腸内環境は眠りと直結。食物繊維を摂りましょう
「眠れない人は、便秘や下痢の確率が高いという調査結果があります。さらに腸内環境の悪化は眠りの質を低下させるので、ますます悪循環。きのこや海藻、芋や野菜を積極的に食べて善玉菌のエサになる食物繊維を摂取し、腸内環境を整え、夜に腸で便を作り朝排出するという流れを作りましょう」
心を落ち着かせるためにGABAを含む食品を継続的に
「GABAは、精神的な興奮を抑制する神経伝達物質と同じ働きをする物質。最近心が不安定、気が高ぶっていると思う人は、GABAが多く含まれる食材を食べましょう。例えばトマトやナス、かぼちゃ、じゃがいものカレーを玄米にかけ、上にブロッコリースプラウトをたっぷりのせれば、ベストです!」
香りで眠りを誘う…。夜はアロマベジタブルをどうぞ
「野菜にはリラックスさせてくれる香りを持つものも。パセリの精油成分〈アピオール〉やセロリの葉に多く含まれる〈アピイン〉は不眠解消に有効といわれ、三つ葉の香り成分〈ミツバエン〉やレタスの〈ラクチュコピクリン〉には鎮静効果が。加熱すると香りが落ちるので、生で食べましょう」
安眠したいなら“夜納豆”!刻んだネギやチーズ、生姜を加え、狙えW効果!
「納豆に含まれるナットウキナーゼという成分には血液の塊を溶解する力があるので、夜に納豆を食べることで就寝中の血液循環が促されます。刻んだネギを加えれば香りで睡眠が促され、チーズならトリプトファン、生姜は体を温めて眠りを誘うなど、トッピング次第でW効果も期待できます」
寝る2時間前で、お酒は終了。いわゆる“寝酒”は、安眠の敵…
「お酒を飲むと血管が拡張し血流が上がり、眠くなるのは事実。でも睡眠中にアルコール分解にエネルギーが使われてしまうため、肝心の体のメンテナンスがおろそかになり、結果翌日だるくなる、ということも多々。アルコールをある程度分解してから寝るために、就寝2時間前にお酒はストップ」
お話を伺った方
Profile
友野なお
睡眠コンサルタント。自身が眠りを改善したことで体質改善に成功した経験から、睡眠を積極的に研究。著書に『新版 わたしを救う睡眠パーフェクトブック』(大和書房)など。眠りを誘う塗り絵の提案も。
anan 2460号(2025年8月27日発売)より