
ゆっきゅんの連載「ゆっきゅんのあんたがDIVA」。シンガーソングライター・吉澤嘉代子さまとの対談を終えて…
「氷の奥歯」、聴ける日が待ち遠しい♪
吉澤嘉代子さんの魅力はたくさんあるけれど……楽曲のことを語るとき、私は歌詞について考えることになります。やはり詞先で作られているらしい。そして対談中、嘉代子さんはどの流れだったか忘れてしまったけれど、ふと「魅了されて、」と言いました。なんだかそのとき私はとても納得して、話を遮るようにして自分なりの吉澤嘉代子論を展開してしまいました。私の中に「魅了」という語彙がなかったからかも。嘉代子さんの詞世界の主人公の心はたしかに誰かにいつも「魅了」されている! と思ったのです。
自分の話ですが、客観的に見て私ゆっきゅんの作詞は、新しい視点を探して作られていくもののように感じています。まだ歌になっていないような新しい人物の視点や、ありふれているものへの新たな視座、こういうものを探して書いていて、そのまなざしはあくまでドライだと思う。でも嘉代子さんの詞は、歌の主人公が想う相手との間に、万華鏡のような筒があって、その、相手によって作られたのか自分が作り上げてしまったのかもわからないカレイドスコープ(それはまるで宇宙)を大切に覗き込んでいるような世界だなと、私は感じます。そのきらめきを強く信じるまなざしに、疑いがない。揺るがないコーティングがされた、邪魔の入らない筒。優しくて容赦がない。主人公がその相手に魅了されて、嘉代子さんがその姿に魅了されて、我々はそんな嘉代子さんに魅了され……。惚れっぽい星座の連鎖みたいなものが起きているんだと思いました。
あとまじで痺れたのが、タイトルストックの話。いつか発表されるかもしれない本当の新曲だから、誌面上で発表していいのかわからなかったけど、嘉代子さんは「氷の奥歯」、私は「付き合ってないけど別れたくない」という、歌詞も書いていない歌のタイトルを教え合いました。冷たい温度があって、触感(食感?)があって、そこに官能があって。タイトルを聞くだけでもうその人の歌ってことがわかる、すごいことだ……と思いました。
そういえば、私は2022年に「日帰りで」という楽曲をリリースしたのですが、歌詞を書き始めてもタイトルがしばらく決まらなかったんです。そのときふと、自分が勝手に一人で考えていた「aikoさんの楽曲にギリありそうでギリまだないタイトル一覧」の存在を思い出し、その中から私の歌詞にぴったりだった「日帰りで」を拝借(?)したのを思い出しました。そんな変な話もまた聞いてほしい!
シンガーソングライター・吉澤嘉代子さんとの対談
Profile

ゆっきゅん
1995年生まれ、岡山県出身。2021年からセルフプロデュースで「DIVA Project」を開始。配信EP「OVER THE AURORA」を8月27日にリリース予定。作詞家としてアイドルへの詞提供も行う。
anan2459号(2025年8月20日発売)より