実は、妊娠に安定期という概念はない? 知っておきたい“妊娠~出産までのスケジュール”

ウェルネス
2023.07.30
ananフェムケア連載「Femcare File」。今回のテーマは、妊娠~出産までのスケジュール。“いつか”のために知っておきたい妊娠中の暮らし方や、職場などに妊婦さんがいる際に注意すべきことを伺いました。

妊娠~出産までのスケジュール。

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“生活のあらゆることに気をつけなくては”とナーバスになりがちな妊娠中。産婦人科医の稲葉可奈子さんは「やみくもに不安になる必要はありません。医師の指示がなければ、基本的にはこれまでどおり過ごして大丈夫」と語る。一方で、妊娠中には予期せぬ事態に直面することも。たとえば、妊娠4か月までの妊娠初期には、流産などが起こる可能性も。

「ですが、妊娠初期のこういったトラブルは、母体側が原因ではないケースが多いので、お母さんは自分を責めないこと。また、周囲が“仕事を休むべきだった”などと責めるのも、絶対にやめましょう」

妊娠5か月に入ると一般的には「安定期」といわれる時期だが…。

「実は、本来、妊娠には安定期という概念はありません。“安定期だから旅行してもOK”などと誤解されがちですが、妊娠中の旅行はおすすめはできません。旅先で突然の出血や切迫早産などが起きる可能性があるからです。普段どおりに仕事をする分には問題ありませんが、妊娠中は疲れやすいので、無理をしないようにすることも忘れずに」

妊娠8か月過ぎまでには、出産に備え、産気づいた時に病院に行く手段をシミュレーションしておくことも大事だ。

初期、中期、後期と妊婦健診のスパンは異なる。中期以降、母子ともにリスク要因が増えるため、健診回数も多くなる。

「中期はエコーで赤ちゃんの臓器や成長具合、切迫早産のリスクなどを確認。後期は成長が順調か、母体の血圧などお産時のリスク要因がないかを確認します」

では、職場に妊婦さんがいる場合は、どんな点に気をつけたらいいのだろうか。

「つわりをはじめ、妊娠中の諸症状は個人差が大きいので、妊娠中という理由だけで周囲が無理にセーブさせる必要はありません。ですが、“通勤が負担なので在宅勤務にしたい”などと本人から申し出があれば、聞いてほしい。そういった要望を我慢せず言える職場環境が大切です。また、産前休暇前に、切迫早産などで突然入院となることもありうると、知っておいてほしいです」

一方、これから妊娠を考える人が今から始めておくといいことは?

「妊娠に備え、葉酸や鉄分を摂ること。子宮頸がん検診を受け、生理痛などのトラブルがあれば婦人科を受診するなど、普段から体と向き合ってほしいですね」

妊娠~出産までの一般的なスケジュール

妊娠初期(健診:4週間に1回)
2か月…つわりが出始めるころ
3か月…つわりがピークになる人が多い
4か月…つわりが落ち着き始める13週目以降は流産の可能性も低くなる

妊娠中期(健診:2~4週間に1回)
5か月…お腹が徐々に目立つように
6か月…超音波などにより性別がわかる人も
7か月…腰痛などが起こりやすくなる

妊娠後期(健診:1~2週間に1回)
8か月…お腹が張りやすくなる
9か月…多くの人が産休に
10か月…出産

いなば・かなこ 産婦人科医。京都大学医学部卒業、東京大学で博士号を取得。2015年より関東中央病院産婦人科医長。子宮頸がん予防などについて、SNS等を通じて広く発信中。

※『anan』2023年8月2日号より。イラスト・REDFISH 取材、文・音部美穂

(by anan編集部)

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