2011年に結成された女子カーリングチーム。チーム名「フォルティウス」の意味はラテン語で「より強く」。吉村選手(写真中央)の他、近江谷杏菜選手、小野寺佳歩選手、小林未奈選手、小谷優奈選手の5名のプレーヤーが在籍する。

「2025カーリング日本代表決定戦」でみごと優勝を果たし、女子日本代表として2026冬季オリンピックへの挑戦権を勝ち取ったフォルティウス。その強さの秘訣とは?


みんなで逆境を越えてきたことでより粘り強いチームになれました

冬季オリンピック競技の中でも注目度の高い女子カーリング。吉村紗也香さんが所属するチーム「フォルティウス」は、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックの出場をかけた世界最終予選に向け、調整を進めている。

「オリンピックに出場すること、そして金メダルをとることを目標に、この4年間でチームの絆を深めてきました」と語る吉村さん。

その道のりがとりわけ険しかったのには事情がある。2021年にメインスポンサーとの契約が終了し、新たなスポンサーを得るためにも勝ち続ける必要があった。

「応援してもらえるチームになるには、常に結果を出さなければいけませんでした。一年一年が勝負で、負けたら先がないという気持ちで戦っていました。厳しい状況ではありましたが、みんなで力を合わせてここまで来られたと思います。粘り強さは私たちの一番の強みです」

4年間、吉村さんは試合の司令塔であるスキップというポジションを担ってきた。若手、中堅、ベテランと年齢差のある少人数チームにおけるリーダーの役割とは?

「実は、キャプテンとかはいないんです。プレー中はそれぞれに役割がありますが、各々がチームを引っぱっていく気持ちで、みんなで盛り上げて、みんなで支え合っていくという感じでしょうか。年齢差があっても敬語は一切なし! そのあたりはチームによって違うところだと思いますが、フォルティウスはずっと“タメ口”です」

新しい環境での経験がチームを一回り成長させる

5人のチームメンバーは、いつも一緒にいるのが当たり前。少人数だからこそ、チーム内の密度は必然と濃くなるもの。

「そこにストレスはまったく感じません。練習後もすぐ別れずにみんなでごはんを食べに行ってカーリング以外の話をしたりします」

とはいえ、強くなるために深く話さなければいけないときがある。話し合いの空気が重くなることも。行動を共にしているからといってお互いの考えが伝わるわけでもなく、聞いてみて初めて「そう思っていたんだ」とか「自分はこう思っていた」とわかり合えることがあるという。

「すごくよく話し合うチームだと思います。私たちには信頼関係があるからこそお互いを尊重して、安心して意見を言い合える環境があります」

まずは、悲願のオリンピックまでもうひと息! 世界最終予選は12月6日から始まる。

「今のチームが結束できているのは、絶対オリンピックに出たいという個々の強い思いがあってこそ。カーリングはどんな場面でも冷静さを求められる競技ではありますが、チーム全員、熱い気持ちを胸に秘めて戦っています」

日本のみならず、アジアのレベルも年々上がってきている中で、より強いチームとなるために必須なのが国際経験だと吉村さん。フォルティウスは今秋もカナダに滞在して数多くの試合に出場している。

「トップチームは皆、1~2か月という長期遠征を行います。会場によってアイス(氷面)の特徴も違い、アイスを読む力や対応力、どう戦っていくかが勝負の分かれ目に。世界で勝つためには多くの経験がとても大切だと感じています」

Profile

吉村紗也香

よしむら・さやか 1992年、北海道北見市生まれ。小学校4年生の時にカーリングを始め、ジュニア時代から活躍。2014年、大学卒業と同時にフォルティウスに加入。2018年からチームの司令塔であるスキップを担当する。

取材、文・黒澤 彩

anan 2470号(2025年11月5日発売)より
Check!

No.2470掲載

The TEAM 2025

2025年11月05日発売

ひとつの目標を目指して集まり、個々の才能や長所が混じり合うことでより高いパワーを発揮することができるチーム。そんなチームの現代における理想的な形や形成するための条件など多角的に考察する特集です。エンターテインメント界における注目チームにもフォーカス。4人の光る個性と大人の魅力に磨きがかかるA.B.C-Zは、メンバー4人によるグラビア&座談会が必見必読。まもなく結成15年を迎える超特急からはリョウガさん、ユーキさん、シューヤさん、マサヒロさんが登場。そして今年20周年を迎えたHANDSOME LIVEからは小関裕太さん、渡邊圭祐さん、東島京さん、本島純政さんに思いを語っていただきました。

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