「恋愛が面倒」が1位に…アンケートから読み解く、最新“現代恋愛事情”

ライフスタイル
2021.08.18
リアルな声から見えてくる、現代恋愛事情レポート。18歳~39歳の女性313名にアンケート調査し、ニッセイ基礎研究所・天野馨南子さんとエッセイスト・ものすごい愛さんに分析していただきました。

Q.片思い、両思い関係なく、いま恋をしていますか?

はい…57.5%、いいえ…42.5%

love

Q.恋をしていますか? に「いいえ」と答えた人。恋をしたいと思いますか?

はい…50.4%、いいえ…49.6%

Q.恋をしたいと思いますか? に「はい」と答えた人。恋をするための活動(=「恋活」)をしていますか?

している…18.0%、していない…82.0%

恋をしていない人には、待ちの姿勢が多い模様。

恋をしたい人のうち、恋活をしている人はわずか18%。「普段から結婚相談所のデータや実例を見ていても、結婚した人としていない人では圧倒的に行動量が違う。それがこの結果にもわかりやすく反映されています」(天野さん)。「大っぴらに『恋をしたい!』と言ったり、恋のために行動したりすることに対して、周りの目が気になる人が増えたということかもしれません」(ものすごい愛さん)

Q.恋をするための活動(=「恋活」)をしていますか? に「はい」と答えた人。「恋活」をしていて、どんな悩みがありますか? (複数回答)

いろいろな人とのやり取りが疲れる…38.5%、自分の人を見る目が信用できない…30.8%、交際やデートまでなかなか発展しない…30.8%、そもそも恋愛が苦手で、楽しめない…23.1%、自分の好みのタイプがわからない…23.1%、タイプの人に出会えない…15.4%、好きな相手に好きになってもらえない…15.4%、お金がかかる…15.4%

恋活の障害となるのは精神的な疲れ。

「恋活・婚活の現場での理想を聞くと、“普通の人でいい”という方が多いです。でも、身長、体重、学歴、お顔立ちの4つの条件全てが上位半分あたりに入る男性は未婚男性の16人に1人。“普通”を求めるのは、実はとても大変なのです」(天野さん)。と、無自覚のうちにとても高い条件を設定している人が多いよう。そのため、ピンとこないままいろいろな人とやり取りを続けることになり、精神的に消耗してしまう…という結果に陥っているのかも。

Q.恋をしたいと思わない理由を教えてください。

30

1位…恋愛が面倒、2位…自分に自信がない、3位…お金がかかる

恋愛を敬遠する事情には時代背景が。

時間、コスト面の他、傷つくことを避けたいという考えが「恋愛が面倒」という結果につながっているよう。「恋愛相談を受けていても“傷つきたくない”という人は増えています。また、仕事で活躍する女性も多い中で、ビジネスで重要とされる“波風を立てないように、敵を作らないように”という価値観が、恋愛にも影響しているのでしょう」(ものすごい愛さん)

Q.あなたにとって、恋愛はどれくらい必要ですか?

人生で必要不可欠…17.6%、必要不可欠ではないけれど、できれば恋愛しているほうがいい…50.2%、恋愛していなくてもいい…24.6%、恋愛していないほうがいい…7.6%

Q.自身を恋愛体質だと思いますか?

はい…31.6%、いいえ…68.4%

Q.恋をすると、どんなところが変わりますか? (複数回答)

服装やメイク…39.6%、性格…25.2%、生活リズム(起きる時間・寝る時間など)…25.2%、趣味…19.5%、声のトーン、話し方…17.9%、金銭感覚…12.1%、体調…8.9%、その他…11.8%

恋愛一辺倒ではない価値観が主流に。

恋愛にこだわらない人も多い。「恋愛は他の人間関係や趣味などと並んで、大事なものの中の一つになってきました。恋愛に依存しなくなったのはいいこと」(ものすごい愛さん)。「“必要不可欠”と答えた割合は、30代前半が比較的高め。友人の結婚など統計上20代後半で多発する結婚を受けて、焦りや友人と比較して恋愛結婚にこだわる傾向が現場では見られます。ただ、出会い方にこだわって出会いを逃すのは本末転倒」(天野さん)

アンケート結果から…

アンケート結果を見ると、意外にも恋への意欲は低くなさそう。でもそれと同時に、恋愛が最重要ではないと考える人も多かった。

「SNSで他の人の生活がのぞけるようになり、恋愛第一ではなく、自分を持っていて自由に生きている人がカッコよく見える世の中になったこともあるのでしょうか。自分が幸せに思わないのであれば恋愛が絶対でなくてもいいし、他に安心できる場所を持っているというのは良いことだと思います。ただ、交際を経て好きな人と結婚生活を送ったら楽しいし、予測していなかったピンチが起こっても好きな人と向き合って乗り越えれば、一段と絆が深まることもある。恋愛や結婚でしか得られない喜びもあるのかもしれません。もちろん恋愛しても結婚しても、主軸は自分の人生ですが」(ものすごい愛さん)

シングルの人の回答結果には、理想の相手になかなか出会えないという本音も見えた。

「親世代と比べると、学歴や職種などでも男女の差はかなり縮まり、理想の相手に選ばれる、相手から与えられるのを待つ時代ではなくなりました。世界の他の国に比べると貧富の差が比較的小さい日本では、“人との出会いで人生を変える”といった出会いへの渇望の文化が育ちにくい。だからこそ、身のまわりの一つ一つの出会いを大切にして、出会った相手と自分の人生を時間をかけて育み、新たな理想を見つけるという考え方も、恋をしたい人に持ってほしい視点です」(天野さん)

天野馨南子(かなこ)さん ニッセイ基礎研究所の生活研究部所属、人口動態シニアリサーチャー。少子化対策や女性活躍推進などの研究が専門。講演や寄稿などで活躍。著書に『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)ほか。

ものすごい愛さん エッセイスト、薬剤師。webメディア「AM」での恋愛相談連載「命に過ぎたる愛なし」をはじめ、様々なメディアにエッセイを寄稿。著書に『今日もふたり、スキップで~結婚って“なんかいい”』(大和書房)が。

※『anan』2021年8月25日号より。取材、文・若山あや

(by anan編集部)

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