“なぜ昆虫には食欲がわかないのだろう”という自分自身への疑問がきっかけで趣味としての研究を始め、今はラオスでNGOの活動として昆虫の養殖を通じた栄養改善の技術開発をしている佐伯真二郎さん。
「2013年、国連食糧農業機関の報告書が昆虫食を見直し、“先進国も食べるべき”と主張したことから世界における昆虫食への考え方が大きく変化しました。栄養価が高く、環境負荷の低い養殖や殺虫剤を使わない農業として研究され始め、今のところ重大な食品事故も起こっていません。論文でも食用に適する証拠が集まっています」
ここでは、日本でも目にする機会が増えた、コオロギを材料とした料理やアイテムをピックアップ。
「コオロギは茹でても香ばしく、クセが少なく穏やかな旨味があります。養殖技術が安定していたことも一因でしょう。エサや空腹度によってばらつきはありますが、乾燥コオロギは50~70%がタンパク質で、脂質は30%以下。昆虫は炭水化物をほぼ含まないので、米のおかずとして相性がいいでしょう。表皮の成分であるキチンも、動物性の食物繊維として再評価されているようです。ただ、昆虫はエビカニと近縁で、食物アレルギーのリスクがあります。生食パフォーマンスや罰ゲームは重大事故になりかねません。まずは安全に食べる方法を知り、少しずつ試してください」
ポップなソーダはビギナーにぴったり。
鳥獣虫居酒屋 米とサーカス 渋谷PARCO店
コオロギと蜂蜜、ハイビスカス、ジンジャーを混ぜてソーダで仕上げた、トロピカルな味わいのMUSHIソーダ(¥580)。昆虫食に興味のある人が必ず食べるという「6種の昆虫食べ比べセット」など、さまざまなメニューが。
東京都渋谷区宇田川町15‐1 渋谷PARCO B1 TEL:03・6416・5850 11:30~22:00 無休
1杯あたり100匹以上! 濃厚なラーメン。
ANTCICADA
種類のコオロギで出汁をとり、麺にも粉末を練り込んだコオロギラーメン(¥1,000)。独特の芳醇な味わい。
東京都中央区日本橋馬喰町2‐4‐6 TEL:03・6881・0412 金曜19:00~22:00、土曜12:00~15:00 or 19:00~22:00(コースのみ、予約制) 日曜11:00~21:00(コオロギラーメンのみ) 月~木曜休
朝食は手軽なグラノーラで。
カナダ産のコオロギと国産玄米に、ドライフルーツを配合。素材はすべてオーガニック。スーパーコオロギ玄米グラノーラ 80g¥800(MNH https://www.concricket.com/)
スープやお菓子作りにぴったり。
コーヒーのような香りとクセの少なさが特徴の「ジャマイカンフィールドコオロギの粉末」。スープに入れると旨味アップ。100g¥1,480*税込み(TAKEO https://takeo.tokyo/)
発売すぐに完売も。大人気アイテム。
コオロギ粉末入りの一口サイズのおせんべい。後引く香ばしい風味。入荷時期により在庫がない場合も。コオロギせんべい 55g¥190*税込み(無印良品 銀座 TEL:03・3538・1311)
さえき・しんじろう 蟲ソムリエ。NPO法人食用昆虫科学研究会理事長。これまでに419種の昆虫を食し、記録。著書に『おいしい昆虫記』(ナツメ社)がある。
※『anan』2020年10月28日号より。写真・中島慶子 取材、文・重信 綾
(by anan編集部)