左から、為永幸音さん、川名凜さん、伊勢鈴蘭さん

アンジュルムの通算36枚目のシングル『アンドロイドは夢を見るか?/光のうた』が2025年5月21日にリリースされる。『アンドロイドは夢を見るか?』はAIが台頭する現代、人類の可能性を探るというアンジュルムらしい壮大な楽曲。振付ではロボットのような動きのポッピンを取り入れるなど、これまでにない表現に挑戦する。新曲と、リーダー・上國料萌衣さんの卒業について伊勢鈴蘭さん、川名凜さん、為永幸音さんにたっぷり語ってもらいました。

──『アンドロイドは夢を見るか?』は、それぞれ挑戦があったのではないかと思います。バレエ経験者で、しなやかなダンスが得意な伊勢さんの力強いダンスは非常に印象的でした。

伊勢鈴蘭(以下、伊勢):ありがとうございます。その感想が欲しくて、ダンスにものすごく力を入れました。しなやかな動きを褒めてもらえることも嬉しいんですが、アンジュルムでいろいろなダンスに挑戦していく中で「変化を見せたい」と思っていたんです。そんな時に、初めてのジャンルの曲が来たので「挑戦するしかない」と思って頑張りました。

川名凜(以下、川名):1回練習しただけで、翌日初めての部位が筋肉痛になりましたよね(笑)。

伊勢:これまでと使う筋肉が全然違ったので、踊って覚えるしかなくて、ひたすら練習しました。

──川名さんもダンスはもちろん、歌の頼もしさがアップされています。特に「バイタリティ」というワンフレーズのインパクトが強かったです。

川名:絶対に歌いたいパートだったので、歌割りをもらえたときは“よしっ”と思いました。初めてのタイプの曲だったので、レコーディングではリズムを意識して、一つひとつの音に歌詞をハメられるように歌ったり、リズムを覚えるために何度も踊って、身体に染み込ませたりしました。

──為永さんのキレのあるパフォーマンスとAI的な表情も完璧でした。

為永幸音さん

為永幸音(以下、為永):レギュラーで出演している『ハロプロダンス学園』でポッピンを教えていただいて、その時期ものすごく練習したんです。筋肉を止める動きが難しくて、BEYOOOOONDSの平井美葉さんにレクチャーしてもらって。いつか、番組で練習したことをグループ活動でも活かしたいと思っていたので、ダンスの先生から『習ってた?』と言っていただけて嬉しかったです。

川名:止める動きが難しいよね。上國料(萌衣)さんは音が見えるようなダンスで、個人的にお手本にしています。

──お互い“憧れ”のパートはありますか?

為永:“Na na na”というフレーズは伊勢さんにしか歌えないと思います。メンバー全員いろんなバージョンで録ったんですけど、断トツで声と表現が素敵でした。

伊勢:うれしい!ガラッと世界観が変わるパートなので、絶対に歌いたかったですし、正直歌える自信がありました(笑)。最初は中々レコーディングで納得できなくて、自分なりにイメージした歌い方をさせてもらったんです。「宝塚の娘役さん風に歌ってみてもいいですか?」って。そしたら、ディレクターさんにおもしろがっていただけました。私は、2番Aメロのセンターで踊るケロ(川名)の表情。めちゃくちゃカッコよくて、MVには映っていないのでライブで見てほしいです。

川名凜さん

川名:目立つ位置で、歌詞にある“ディストピア”の表現を任されて、かなり模索したパートなので褒めていただけて嬉しいです。私はラストの、平山遊季ちゃんのフェイクですね。声の切り方が特徴的なんです。短い音とぺい(平山)の声質が合っていてカッコいいですし、曲の雰囲気がガラッと変わるので大注目です。もうひとつ、いいですか?2番Aメロでハモリがあるんですが、1番Aメロとは違うクールなトーンで曲のアクセントになっています。アンジュルムとしても、ハモリは珍しいので好きなパートです。

伊勢:私ももうひとつ!ケロと松本わかなちゃんの“絶望なんてしないわ”の甘くて可愛らしい歌声も楽曲のアクセントになっていてお気に入りです。あとは、しおんぬ(為永)の表情も完璧ですね。

──ステージを準備するうえで、メンバー間でどんな話をされましたか?

為永:表情については、かなり話し合いました。カッコいい中の面白さを出したい、とディレクターさんから話があったので、アンドロイドを極めるというより、少し人間味を出す。無表情ではなくて少し微笑んで、ユニークさを加えることを意識しました。

川名:面白くてカッコいいってどういうニュアンスなのかも話しましたし、メンバーそれぞれがすごく考えたと思います。私は最初のライブで面白みを意識しすぎて少しノリが軽くなってしまって。その後のライブで、AIと人間の配分バランスを変えるイメージで、少しクール目に調整しました。

──歌詞も「なんちゅうなんちゅう新時代」「ほんじゃあほんじゃあ」などユニークですよね。

伊勢:初めて楽曲を聴いた時に、すごく「ハロプロだな」って思いました(笑)。歌詞もダンスも曲全体を通して特徴的ですよね。

為永:これに違和感を覚えていない私は、もうハロプロに染まってますね(笑)。

リーダー上國料萌衣さんの卒業。誠実に接してくれる、愛の人

──横浜アリーナで開催される「アンジュルム 10th Anniversary tour 2025 春 桜梅桃李 上國料萌衣 FINAL 〜お先はまっキラ!~」をもって上國料さんが卒業されます。「ツアー初日で、千秋楽を迎えたかと思うくらい準備をしてきた」と伊勢さんがおっしゃっていましたが、どんな準備を積み重ねたのでしょうか?

伊勢:ツアーがはじまる前の1か月間、ずっとリハーサル室にこもっていた記憶があります。リハーサルは自分と向き合う時間なので正直しんどい部分もあるんですけど、今回は個というよりみんなで作っている感じがありました。「今の私たちの最大を見せよう」って気合いが入っていて、いいリハーサルだったなって思います。

川名:ツアー全体を通して新しいことに挑戦しているので、それぞれ大変で「やばいぞ」「忙しいぞ」って張り詰めた空気になってしまった時期があったんです。そしたら、松本わかなちゃんが「ごはんを食べるときだけは、みんなでおしゃべりしよう」って言ってくれて。そこでメリハリがついて良かったです。

伊勢:全員がものすごく集中してたよね。

川名:ごはんの時間も削って練習しちゃいそうになってましたよね。でも、休憩あってこそ練習の密度が上がると思いました。

為永:私はリハーサルの最終段階で、全然仕上がってないって思っちゃって落ち込んで。でも、できることはやりましたし「やるしかない」ってゲネプロに臨んだら、なんかできたんです(笑)。

伊勢、川名:よかった!

為永:ゲネプロの日はメモを握りしめるくらい不安で。でも、いざやってみたら全部頭に入っていて、一度もメモを見ませんでした。そこで、今までちゃんとやってきたし、積み重ねてきたものがあったんだと感じられて、「できるじゃん、私!」って成長を感じました。

──たくさんの思い出の中で、特に印象的な上國料さんとのエピソードは?

伊勢鈴蘭さん

伊勢:そうですね…加入して一番に「一緒に写真撮ろう」と声をかけてくださったのが上國料さんでした。温かく迎え入れてくださったのが嬉しくて、私めちゃくちゃなついて(笑)。その思い出が強烈で、愛の人だなっていう印象はずっと変わらないです。今は背中合わせで歌える機会も増えて、グループやステージについてすごく真剣に話し合えるようになって、関係性がギュッと深くなれました。「アンジュルムが大好きだな」って時が経つほど思うのは、上國料さんが常々グループへの愛を口に出してくれたからだと思います。

川名:上國料さんってすごく素直な方で、言葉に嘘がないなって感じます。なので、想いが伝わってきますし、誰ひとりとして取り残さないよう誠実に接してくださる。私は後輩に対してカッコつけてしまうことがあるけれど、上國料さんは対等なので、たとえば歌詞を間違えたら正直に「ごめんなさい」って言うんです。距離を感じさせない言葉選びや配慮に救われてきたなって思います。あとは、おもしろエピソードもたくさんあるんですが、話しきれません!

為永:ハロプロ研修生のときから、上國料さんは私のことを注目してくださっていたんです。研修生って先輩と関わることがほぼないんですけど、上國料さんから話しかけてくださって。アンジュルムに加入してすぐ、ハロプロすべてのグループを4つに分けた「花鳥風月」ツアーで同じチームになり、一対一でイチから全部教えてくださいました。私ができなくて泣いちゃっても、ずっと付き合ってくれました。

──3 人とも先輩の立場になってきましたが、お互いの先輩力について聞かせてください。

川名:伊勢さんは努力家なので、出てくる言葉に重みがあって心に残ります。伝えたいことがあっても相手をよく見て、タイミングを見極めて、相手の意欲が削がれないように伝えたり言葉を選んだりしてますよね。あとは、背中で見せるタイプです。

為永:相談にもたくさん乗ってくれます。背中を見せながらも話も聞いてくれる、完璧です。

伊勢:聞いたことがなかったから、嬉しいです。ケロは先輩にも後輩にも平等で、自然に話している姿に憧れます。私は考えすぎちゃうんですけど、ケロの接し方は素敵だなって思います。

為永:あと、一人ひとりとの向き合い方を考えて、行動しているのがすごいなと思います。分析力というか、周りをよく見て考えているのが優しい。

伊勢:しおんぬ(為永)は、相談したくなる人。私もよく相談に乗ってもらっています。聞き上手だし、言葉が温かくて安心させてくれるので、メンバーも落ち込むとしおんぬのところに駆け込んでいるところをよく見ます。

川名:心の距離が近いですよね。だから、後輩にしおんぬから伝えると響き方が違うなって思いますし、先輩と後輩を繋いでくれる存在です。

──現体制での活動期間も残り1 か月と短くなってきましたが、どんなふうに過ごしていきたいですか?

伊勢:それぞれ課題や悩みは違うかもしれないけど、楽曲もツアーも「絶対にいいものにしよう」という思いが強くて、気持ちがまとまっています。ツアーの中でうまくいかなくて落ち込むことがあっても、最後までこのいい状態を保ちたいですね。あとは、怪我なく体調を壊さず、全員で完走したいです。

川名:これまでも先輩が卒業されて、体制が変わる場面が何度もありましたけど、今回はいい意味で「最後」を意識しすぎてなくて、心置きなくステージを楽しめている感じがします。それはきっと、メンバーそれぞれがものすごく頑張っているところを見ているし、信じられるので、「アンジュルムっていいな」って気持ちを持ち続けたままステージを楽しみたいです。

為永:最後に向かうにつれて寂しさや不安が募っていくけれど、せっかくの貴重な時間なので、不安を抱えたままだともったいないと思うんです。なので、ステージもメンバーだけで過ごす時間も全部楽しみたいです。

伊勢:新体制になるたびに「変わらなきゃ」って、気負いすぎていた気がします。でも、このまま個々が自分を磨きながら切磋琢磨すれば、自然と変わっていくはず。今の私たちならいい状態を更新していける気がしますし、変化し続ける私たちを「見逃すな」って感じです!

Information

『アンドロイドは夢を見るか/光のうた』

上國料萌衣のラスト参加両A面シングルは全5種形態。『アンドロイドは夢を見るか/光のうた』【初回生産限定盤A/B(CD+BD)】各¥2,090【初回生産限定盤SP(CD+BD)】¥3,850【通常版A/B(CD)】各¥1,200 5/21 発売。(UP-FRONT WORKS)

Group profile

アンジュルム

2009年4月に前身の「スマイレージ」が結成。’14年「アンジュルム」に改名。現在行われている春のコンサートツアー「桜海桃李」をもってリーダー上國料萌衣が卒業。『光のうた』はアンジュルムに馴染みの深い、堂島孝平が作詞作曲。グループがこれまでも歌ってきた愛を新たな形で表現している楽曲となっている。

personal profile

伊勢鈴蘭

いせ・れいら 2004年1月19日生まれ、北海道出身。愛称はれらぴ。バレエで培ったしなやかなダンスと安定した歌声でグループを支える。趣味は宝塚観劇。

川名凜

かわな・りん 2003年12月6日生まれ、千葉県出身。カエル好きが高じて、愛称はケロ。重要なパートを任されるほど急成長を見せている。

為永幸音

ためなが・しおん 2004年2月9日生まれ、長野県出身。愛称はしおんぬ、ためちゃん。アンジュルムのダンスを引っ張る存在、少女漫画が大好き。

写真・しばたみのり インタビュー、文・羽佐田瑶子
Check!

No.2446掲載

レスキュー美容 2025

2025年05月14日発売

年々亜熱帯化が進む中、紫外線や大気汚染、湿気やムレ…この夏、肌と髪に迫る危機を救うためのメソッドや最新コスメを紹介する特集号です。藤井サチさん、爪切男さんら注目の美容賢者が自身のとっておきケアや愛用品を語るほか、いま話題のIt girl、池端杏慈さん、乃木坂46の新加入メンバー・瀬戸口心月さんの気になる肌と髪ケアインタビューも。

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line

Today's Koyomi

今日の暦
2025.5.
25
SUN
  • 六曜

    先勝

  • 選日

    天赦日

天赦日は各季節にある転換点の一つで、個々の命運に応じて吉凶どちらにも働きます。今は暦では夏で甲午の日ですので、ものすごく大雑把に言えば秋や冬の生まれの人には吉に働きやすいでしょう。さて、今日の暦は新しいことを知る・学ぶことに適しています。未知なことや興味を引かれたことがあれば積極的に見聞きしてみて。

Movie

ムービー

Regulars

連載