『鯖の塩焼き専門店 鯖なのに。』の塩鯖弁当
その小さな食堂の暖簾には「鯖」の文字が揺れていた。引き戸をあけると厨房が広がり、鯖の焼かれる香りでお腹がきゅうっと空いてくる。
そう、ここは鯖の店。お品書きはたったひとつ、鯖の塩焼き定食専門店なのだ。「鯖なのに、おいしすぎたんです」。そう語る店主の小畑雄太郎さん。使用する鯖の干物「もの凄い鯖」に惚れ込んだのがこの店のはじまりなのだという。「もの凄い鯖」は、茨城の老舗・越田商店が作る完全無添加干物。特筆すべきは製造開始当初から継ぎ足し使い続ける秘伝の漬け汁で、鯖のフィレから滲み出た旨味や酵母菌が溶け合い味の要を成している。
そんな特別の干物を炭火で焼き上げた塩鯖定食は店内で頂けるのは勿論、お弁当として持ち帰ることもできる。蓋をあければどんと鎮座する鯖の塩焼きは、まるで臭みがなく、ふくよかな旨味とすっきりとした脂が溶け合う至上の味。その控えめながらもジューシーな色気に、鯖を甘く見てきた過去を反省したくなるほど。羽釜炊きの白米もまた、一粒一粒にぱつっと旨味がつまって、冷めてからが勝負と言わんばかりのおいしさだ。
見た目は決して華美ではない。わっと驚くような仕掛けもない。ただそこには、強がりもせず真っ当であろうとする心構えが滲んでいる。目新しいことがすべてなのだろうか? と、移り気な時代の流れにそっと句読点を打つ、そんな鯖弁当がここにはある。
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