「みなさんが喜んでくれたら、撮影の苦労は消えるもの」映画『デーヴァラ』主演 NTR Jr.さんが来日!

エンタメ
2025.04.02

新作『デーヴァラ』を携えて来日したN.T.ラーマ・ラオ・Jr.(NTR Jr.)さん

日本で公開されたインド映画のうち、第1位の興行成績を収めた『RRR』でコムラム・ビームを演じたN.T.ラーマ・ラオ・Jr.(NTR Jr.)さんが、プロモーションでは2度目の来日! 3月28日から公開中の主演最新作『デーヴァラ』は、空前絶後のノンストップ海洋バトル・エンタテインメント。そのジャパンプレミアでは、デーヴァラに扮したキンタロー。さんと一緒に踊ったり、お茶目な姿を見せてくれた。来日に先立ちananwebではリモートでインタビューを敢行。来日時に撮り下ろしさせていただいたスペシャルな写真&メッセージとともにお届けします!

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INDEX

    インタビューを始めるにあたって、NTR Jr.さんをどうお呼びすべきかを尋ねたところ、「呼び名がたくさんあるから、どう呼んでくれても構わないよ」と言っていただいたので、ここでは愛称でもある“タラクさん”とお呼びすることに。なお、映画のネタバレを含む箇所は、注意書きの後に掲載しているので、作品を鑑賞後にご覧ください(最後の来日メッセージ部分は、ネタバレはありません)。

    撮影が行われたのは、柔らかな日の光が差し込む、春の兆しを感じる暖かな日。

    太陽の光にも負けないほど眩しく輝く表情を見せてくれたタラクさん。

    シャッターを切るごとに、クールな表情からチャーミングな表情まで

    さまざまな表情を見せてくださり、現場ではスタッフの間からずっと歓声が!

    スターオーラに満ち溢れているのに、

    とても気さくに撮影に臨んでくださり、現場はハッピーな空気に満ちていました。

    01/01

    シヴァ監督の根底には社会的なメッセージがある

    ――『デーヴァラ』の話を初めて聞いた時の感想は?

    『デーヴァラ』の話をいただいたのは『RRR』の公開後だったんですが、コラターラ・シヴァ監督とは実は2010年くらいから付き合いのある友人で、以前には自分の作品で監督・脚本を担当していたこともあるんですよ(2016年の『ジャナタ・ガレージ』)。僕は彼のことを映画に社会的責任というテーマを美しく編み込んでいくことができる監督だと思っていて、今回の作品も非常に重層的です。例えば『RRR』は世界中でインド映画が観られるような状況を作った、ある意味ではバリアを破壊するような超大作でしたよね。今回の『デーヴァラ』にも素晴らしいアクションシーンがたくさんあるし、VFXを多用してもいますが、僕が初めてこの作品のストーリーを聞いた時、シヴァ監督らしいメッセージを相変わらず感じたんです。そのことは彼にも伝えました。数多の映画監督がいる中で、シヴァ監督の根底には社会的なメッセージを伝えたいという想いがあって、だから君はどんな映画を作ったとしてもそれは変わらないし、きっとそれが観客にも伝わると思うよって。

    そしてこの『デーヴァラ』に込められたメッセージは本当に素晴らしいものだと、最初にお話を聞いた時から思いました。もちろん、アクションやドラマティックなストーリーに関しても素晴らしい映画ですけど、この作品で彼が描いているのは、ほんの少し恐れる気持ちを持つのはいいことだ、ということだと思うんですね。ある程度の恐怖心があるからこそ、人は一市民として責任を持つことができるし、責任を感じるからこそ、国においてよき市民になれるんだという風に。そういうことを表立って描いてはいないにせよ、映画の中のシーンやダイアローグの中に、それがしっかりと織り交ぜられているんですよね。僕はストーリーを聞いた時にそのメッセージを受け取って、本当に飛び上がるぐらい喜びを感じました。映画監督と一緒にお仕事をする時、僕は相手の何らかの資質に惹かれることが多いんですが、シヴァ監督に関してはそういう部分が好きなんですよね。最初にこの映画のストーリーを聞かされた時から、すでに彼らしい匂いのようなものを感じることができて、それが本当に嬉しかったです。

    ――その恐れというものは、例えば自然に対する畏敬の念だったり、倫理観というべきものでしょうか?

    今おっしゃったような自然に対する畏怖、恐怖心ももちろん含まれていますが、それ以上に、すべてに対する恐れる気持ちについて描かれていると思っています。人間って面白いですよね。自然に対して、人類は何をしてもいいんだなんて勝手に思い込んでいるけれど、僕たちは自然の猛威というものを今まで何度も何度も目撃しているじゃないですか。荒ぶる自然の前で人間は無力であり、そのたびに自分たちの小ささを感じてきたわけです。だから自然と共存していかなければいけないし、そういう自然に対するリスペクトを持つためには、自然に対する畏怖、恐怖心というものをある程度は持つ必要があるのではないかと思います。そして映画ではそのことについて触れていると僕は考えています。

    倫理的、道徳的に正しいとはどういうことなのかについては、さきほど責任感という形でお話ししましたけど、一市民として責任感を持つためには、その方向性が正しくなければいけないと思うんですよ。ただ与えられるだけではなく、例えば寄付をするなど、もらった分を返していくことを考える必要もあるのではないか、と僕は思います。

    ――タラクさんが演じたデーヴァラはまさにその恐れの象徴でもありますよね。自分の信念を貫く強いカリスマ性を持つヒーローを演じるにあたって考えたことは? タラクさんはデーヴァラをどのような人物だと思いますか?

    初めて彼がスクリーンに登場した時、一生忘れられないような存在感は感じられましたか? (激しく頷くインタビュアーを見て嬉しそうに)そう感じていただけたなら嬉しいです。それくらい、デーヴァラは美しいキャラクターだと思うんですよ。デーヴァラに出会ってから僕はもうずっと感動しっぱなしで、まさに彼のことしか目に入らないという感じで(笑)。デーヴァラは、人間とはある程度の恐れを持つべきだという風に信じているんです。人はただ“善い”だけではいけないのだと。責任感を持って国や社会、自分の村に何かを返していくということをしていかなければいけないんだと信じている。そしてデーヴァラは他の人たちが起こした災いや不幸であっても自ら架け橋になろうとする、そういう信念を強く持っている人物だという風に感じました。彼と出会ってから、僕の人生にもデーヴァラがいなければいけないと考えるようになり、そう心がけていくうちに彼と強い繋がりを感じるようになりました。

    キャラクターとしては、彼は苦しみや苦悩を表には出しません。常に落ち着いているし、すべてを瞳で語るんですよね。例えば痛みや愛、フラストレーション、怒り、それらすべてを瞳だけで表現しています。監督には僕から、暴力的すぎないキャラクターでありたいと言ったこともあります。彼はものすごい力を持っていて、それこそ素手でサメを仕留めるぐらいの超人的な力を持っているんですけど(笑)、痛みを感じることもある、いたって普通の人間です。そういうデーヴァラに僕も監督もどんどん惚れ込んでいきましたし、監督とはシーンごとに「今、彼はどんな感情なんだろう」と話し合いながら作っていきました。

    今作のメインの舞台となるのは、壮大な海! 撮影場所に、そんな海を思い起こさせる真っ青な壁があったので、

    その壁をバックにポーズをとっていただきました。

    劇中では、巨大鮫をも操る伝説の勇者を演じるタラクさんですが、

    ここではキュートな表情も見せてくださいました!

    【ネタバレあり】子どもたちの存在が父親を演じる助けになった

    【以下のインタビューはネタバレを含みます。必ず映画鑑賞後にご覧ください】

    ――強い父デーヴァラから、映画後半では主人公が気弱な息子ヴァラへとスイッチします。姿形は同じはずなのにまったく違う人間のように見えましたが、2人を演じ分けるのは大変だったのでは?

    ヘアスタイルが違うので、まずはデーヴァラのシーンを撮ってからヴァラのシーンへと移行したのですが、気持ちを切り替えるのは非常に難しかったです。以前も父と息子の一人二役を演じたことはあったんですが、当時はまだ父親になっていなかったから、あまりいい父親像を演じることができなかったのではないかと思っていたんです。今はいたずら好きな2人の息子がいるので、ヴァラを演じるにあたってそれが助けになりましたね。ヴァラに関しては、これは完全にネタバレになりますが、本編最後でデーヴァラと似た資質を感じられるシーンがあるものの、それまではまったく違いますよね。ヴァラはナイーブで、子どもっぽくて、デーヴァラが持っていた超人的な力やヒーロー的な存在感は微塵も感じさせない。なので、(演じ分けは)すごく難しかったです。それまでずっとデーヴァラを演じた後、今度は逆にそれを全部解体して、一から新しくヴァラを演じなければいけなかったので…。プロデューサーが少し時間をくれて、なんとか気持ちを切り替えることができたんですが、僕はもともと自分が演じる役を引きずってしまうタイプなんですよ。

    それにまつわる面白い話があって、普段はお猿さんみたいにいたずら好きで、いつも僕にちょっかいをかけて遊ぶ息子たちが、僕がデーヴァラを演じている間はまったく近寄ってこなかったんですよ。その後、ヴァラを演じ始めたら元に戻りましたが(笑)。そういうところにも2人の違いが表れていたんじゃないかと思いますし、この美しい2人のキャラクターを演じることができて、演者として学ぶことが多かったです。

    ――今作は水中アクションやナイフ、素手でのバトルなどさまざまなアクションシーンが盛りだくさんでしたし、ストーリー的にもタフなお話だったと思うのですが、撮影していて印象に残っているシーンや出来事はありますか?

    僕は山と海のどっちが好きかと言われたら、完全に山派なんです。海は見ているだけでいいタイプで、小さな頃からプールに行ったりもしなくて。泳ぎ方は母から教えてもらいましたが、あまり水には縁がありませんでした。なので、どのシーンも大変でしたが、やはり水中のシーンが1番大変でしたね。(水中シーンは)はじめは3日間の撮影予定だったのが、最終的に21日間も撮影したんですよ。水槽タンクを使って撮影したんですけど、息を止めて水中に潜って、スタントをこなして息を吸いに戻り、そしてまた潜るというのの繰り返しで、それを21日間もやったので本当に大変でした。技術的にも、フィジカル的にも大変だったシーンですね。祭りで戦うシーンは、本当に砂埃が立つように、泥のような土をスタッフさんが用意してくれたんですよね。だからくしゃみは出るし、咳も出るし、しかも僕だけでなくて全員がそういう状況でした(笑)。ただ、『RRR』でも動物が飛び出したり、ラーマとビームのド派手なアクションがあったり、そういうシーンってみんなが喜んでくれると思うので、やっぱり作品の中に1つは絶対にそういう箇所は欲しいんですよね。『デーヴァラ』が他と違うのは、全編そういう感じだというところかもしれないですが(笑)。けど、みなさんが喜んでくれさえすれば、そういった当時の辛さや痛みは消えるものなんです。みなさんに楽しんでいただくためには痛みを伴わなければいけないと思っているので、文句はありません(笑)。

    ――それまで情けない姿を見せてきたからこそ、ヴァラの真の姿にはギャップを感じて非常に驚きましたし、また最後の彼の決断にも驚かされました。タラクさん個人として、ヴァラの決断についてどう思いますか?

    (快活に笑いながら)また取材してもらいたいから、今回は言うのをやめておこうかな(笑)。もしこれ以上言ってしまったら監督に首を切られてしまうので、続編ですべてが明かされるまでどうか待っていてください。今作は、映画を観ていただければきっとエモーショナルな感情を抱いてもらえると思っていますが、次作ではさらにエモーショナルな気持ちにさせます!

    ――では、続編が公開される時にもまたインタビューを受けてくださるということでいいですか?(笑)

    はい、もちろん! 『RRR』の時も「すぐにまた来日するよ」とみんなに約束して、今回その約束を果たしに行きます。これからも日本に何度も何度も訪れて、できるだけたくさんの取材を受けたいと思っていますので、また、ぜひ、よろしくお願いします。

    今作でも、タラクさんの抜群のダンステクニックが炸裂する

    デーヴァラとヴァラの親子の物語には、驚きの展開が…

    荒ぶる“赤海”の勇者・デーヴァラは、巨大な鮫をも操る

    登場人物たちの絆や因縁が渦巻く、骨太な物語が綴られる

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    祝来日! 日本のファンへのメッセージも

    そして映画が公開される前に、タラクさんとの日本での再会が実現。『デーヴァラ』ジャパンプレミアに参加するために来日したタラクさんを撮影させていただくことに! 以前『RRR』がバックカバーを飾った「anan」を見せると、嬉しそうに手にとってくれた。撮影はどのカットも素晴らしく、自前のサングラスをかけてポーズを取ってくれたり、まるでランウェイのように歩いてくれたり、サービス精神満点のタラクさんに編集部も大歓喜。リモートインタビューでは聞けなかった、日本についてのお話をうかがうこともできた。

    ――日本は今回で何度目ですか?

    今回で3度目かな。以前、『RRR』のプロモーションで来日したのが1回と、子どもたちとのホリデーで1回来ているので。

    ――以前、『RRR』で来日された時に日本のファンと初めて会った時の感想を教えてください。

    最高でした。だからこうして何度だって日本に来たくなるんですよ。まったく想像もできないような素敵な経験でした。こんなにも純粋な愛の形ってあるんだと思いましたし、今日こうして「anan」の取材チームとお会いして、その思いを再確認しました。今もその気持ちは変わりません。おたがいの距離がさらに近くなって、日本のファンのみなさんついてもっと深く知ることができたような気がしますし、これからも日本へのジャーニーは続いていくと思います。

    ――日本でやりたいことはありますか?

    たくさんありますが、大阪にはまだ行ったことがないので、いつか行ってみたいですね。日本では、温泉に入っているお猿さんを観たことがあります。本当にかわいかったです! そして日本にいる間はどこに行っても、おいしいごはんを食べるのが楽しみです。今までに何度か言ったことがありますが、僕の人生でもっとも好きな食べ物がジャパニーズフードなんです。これは日本にいるから言っているわけではなくて、なんなら妻に聞いてもらってもいいですよ(笑)。僕が日本食が大好きだから、子どもたちも日本食好きに育ちました。特に好きなのは寿司ですね。寿司はなんでも好きです。あとはうな丼ですね。

    ――うなぎといえば、ひつまぶしはご存知ですか?

    (通訳さんの説明を聞いて)ああ、3回食べ方を変えられる食べ物! 映像では観たことがあるよ。そういえば成田の近くにうなぎが有名なお店があるんですよね。ぜひそこでうなぎを食べてみたいです。

    ――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

    日本のファンのみなさんにはずっとお礼を言いたいと思っていました。それくらい、本当にたくさんの愛をいただきました。ありがとうございます! 『デーヴァラ』は『RRR』の後に出演した映画ですが、日本のみなさんにもぜひ観て楽しんでいただきたいですし、この映画を大好きになっていただけたら嬉しいです。

    「少し離れたところから歩いてきていただけますか?」とリクエストしたところ、

    サングラスをかけた颯爽とした出立ちで、

    とびきりかっこいい歩き姿を見せてくださり、

    スタッフ一同思わず拍手!

    また来日してくださることを、心からお待ちしています!

    近日、anan本誌に、今回撮影した別カットを掲載予定! どうぞお楽しみに!

    PROFILE プロフィール

    N.T.ラーマ・ラオ・Jr.(NTR Jr.)さん

    1983年生まれ、アーンドラ・プラデーシュ州(当時)ハイダラーバード出身。1950年代からのテルグ語映画のトップスターで、政界に転じアーンドラ・プラデーシュ州首相にまでなった祖父ナンダムーリ・ターラカ・ラーマ・ラーオ(NTR)に始まり、多くの映画関係者を輩出してきた映画一族の生まれ。古典舞踊クーチプーディなどの訓練を受ける。子役を経てのヒーローデビューは17歳の時の『Ninnu Choodalani』(2001、未)で、続く『Student No.1』(2001、未)から『RRR』(2021)までS.S.ラージャマウリ監督と4回のコラボレーション歴がある。日本で上映された他の作品には『ヤマドンガ』(2007)、『バードシャー テルグの皇帝』(2013)など。

    『RRR』の裏側に迫ったドキュメンタリー『RRR : ビハインド&ビヨンド』も、4月11日(金)より新宿ピカデリー他全国132館にて2週間限定公開!

    INFORMATION インフォメーション

    『デーヴァラ』

    1996年、クリケットのワールドカップを控え、厳戒態勢にあったムンバイのインド警察本部に巨大犯罪組織による破壊工作の情報が入る。特別捜査班のシヴァムは、犯罪組織のリーダーを追って南インドへ向かった。アーンドラ・プラデーシュ州とタミル・ナードゥ州の州境にあるベンラトナギリという地域は“赤海”と呼ばれていた。そして、その海を縄張りとする4つの村からなる集落は、航行する貨物船から積荷を密かに運ぶ密輸団の巣窟として恐れられていた。シヴァムは密輸業者に成りすまして情報を得ようとするが、そこで長老シンガッパから、12年前に始まる、その集落で起きた凄惨な抗争事件と、“赤海”の英雄デーヴァラの伝説を聞くことになる…。
    監督:コラターラ・シヴァ 『ジャナタ・ガレージ』
    出演:NTR Jr. 『RRR』 ジャーンヴィー・カプール 『グンジャン・サクセナ -夢にはばたいて-』、
    サイフ・アリー・カーン 『ヴィクラムとヴェーダ』
    新宿ピカデリー他、絶賛上映中!

    公式サイト

    写真・泉山美代子 取材、文・尹秀姫

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