鼻呼吸と唾液量アップで免疫力を上げる。
「もともとは、噛み合わせや顎関節症治療の一環として考案したメソッド。天然のマスクである鼻呼吸を促進することで、免疫力アップに役立ちます」
と言うのは、補綴専門医の小島理恵先生。まずチェックすべきは、話すときと食べるとき以外、口を閉じているかどうか。
「うっすら口が開いているなら、口呼吸の可能性が高いです。口呼吸をしていると、空気中のウイルスや雑菌が鼻毛や鼻の粘膜などのフィルターを通さずに体内に入るので、風邪やインフルエンザなどの感染症やアレルギー疾患にかかりやすくなります。また、口内が乾燥して唾液が少なくなるため、虫歯や歯周病になりやすくなるというデメリットもあります」
口呼吸改善には、舌や口まわりの筋肉のバランスを良くすること、あごを動かす筋肉をほぐし関節の可動域を上げること、舌の定位置を正すことが不可欠。
「歯ヨガを習慣づけると、早い人は1週間で効果が出ます。唾液の量が増え、姿勢が改善されて呼吸が深くなることでの相乗効果も。顎関節と連動している股関節のエクササイズも行うと、さらに効果的です」
正常な口のフォーメーション
4つのポイントをチェックしよう!
・舌は上あごに張りついている。
・舌先は上の歯に当たらず、前歯の裏側のふくらんでいる部分にセット。
・上下の歯は少し開いている。
・唇は閉じている。
舌や口まわりにある筋肉のパワーバランスが整っていて、それぞれの機能が正常であれば、口の中で舌は上にあり、上の前歯の裏側の少しふくらんでいる部分「スポット」についている。また、上下の歯が接触していると、強く噛み締めていなくても筋肉が疲労し、関節にも伝わるので大きな負担に。歯ヨガを続けると、自然と上のようなフォーメーションになってくる。
【口腔ケア歯ヨガ】まずはこの3つから!
免疫力アップのために、この3つの歯ヨガから始めてみよう。鼻呼吸、唾液の分泌、胸を開いた正しい姿勢を意識しながら毎日行えば、徐々に口内環境が改善され、免疫力もアップ!
POSE1 舌ワイパー+ゴックン舌キープ
正しい舌のポジションがイマイチわからないという人は、必ず行いたいエクササイズ。最後につばを飲むと、舌が自然に上あごの正しい位置につき、鼻呼吸に。舌ワイパーは、舌をゆっくりと動かして。
1、後ろで手を組む。
姿勢を正して後ろで手を組み、胸を開く。深い呼吸ができる状態に。
2、上の歯を舌でなぞる。
口を閉じて、上唇と歯茎の間に舌を入れ、左の奥歯から右の奥歯までゆっくりとワイパーのように歯をなぞる。往復10回。
3、正しい舌の位置に。
ゴックンとつばを飲むと、舌を前歯の裏側のふくらんでいる部分につくはず。その状態で60秒キープ。
POSE2 頬すぼめふくらませ
口の中を吸ったりふくらませたりを繰り返すことで、筋力を鍛えるエクササイズ。舌を上あごにつけたまま、鼻呼吸で行うのがポイント。一連の動作の後、ブクブクうがいの動作を3~5回行うとさらに効果的。
1、口内を思いきり吸う。
口を閉じ、舌を前歯の裏側のふくらんでいる部分につけたまま、3秒間、鼻で息を吸い続けながら頬をすぼめる。
2、思いきりふくらませる。
口を閉じたまま、3秒間、鼻から息を吐き続けながら頬をふくらませる。一連の動作を5~10回繰り返す。
POSE3 後ろ手タオル上げ下げ
鼻呼吸をよりしやすくなる、姿勢改善エクササイズ。背中側でタオルを持ち、頭の上に上げることで、正常な呼吸で使う横隔膜などの筋肉が使いやすくなる。呼吸が深くなり、体幹が整った疲れにくい体に。
1、背中側でタオルを持つ。
タオルを背中に回して両手で端を持ち、タオルをピンと伸ばしたまま息を吐きながら5秒かけて下げる。
2、タオルを頭の上に上げる。
息を吸いながら両手を頭の上までしっかり上げる。一連の動作を5~10回繰り返す。
歯ヨガの効果を後押しする“股関節エクササイズ”
顎関節と似た形状をしている股関節。実はこの2つは連動しているので、股関節のエクササイズをすることで、顎関節の可動域も上がる。股関節がしっかりと動いていることを意識しながら行おう。
肩入れ股関節伸ばし
足を大きく開き、膝のあたりに手を置き、できるだけ腰を下ろす。左肩を内側に入れ、10秒キープ。右側も同様に行う。左右で1回とし、5~10回行う。
四股
肩幅より広めに足を開き、つま先は外側に向ける。上体をまっすぐにキープしたまま、お尻を下ろし、足首、膝、股関節が垂直になるよう意識する。息を吸いながら、軸脚を伸ばすことを意識して反対側の足を上げる。息を吐きながら足を下げ、反対側も行う。一連の動きを5~10回行う。
小島理恵先生 小島歯科医院副院長、補綴専門医。虫歯や歯周病などの治療を包括的に行うため「歯ヨガ」を考案。著書は『歯科医が教える歯ヨガ』(KADOKAWA)。
※『anan』2023年3月29日号より。イラスト・岡田 丈 取材、文・古屋美枝
(by anan編集部)