知っておきたい話題をおさらい。フェムケアの現在地2025。ここでは、「心と体」にまつわるニュースをお届けします。
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フェムケアやフェムテックはここ数年で急速に認知され、市場が拡大。吸水ショーツをはじめ、デリケートゾーン専用のソープや保湿オイルなどが手軽に買えるようになり、生理や性に関する話題をオープンに語れる空気も広がりつつある。この流れを「とても喜ばしいこと」と話すのは、日本フェムケア協会代表理事の冨田愛さん。
「大手企業がフェムテック&フェムケア市場に参入してきたこと、さらに国の施策として女性支援が重視され始めていることが普及の要因。フェムケアはもはや一過性のトレンドではありません。女性の健康課題が『個人の悩み』から『社会全体の課題』に位置づけられ、ケアの幅が広がったことで、少しずつ女性のQOL(生活の質)も向上してきているのではないでしょうか」
冨田さんによると、フェムケアにとくに関心が高く積極的なのは、心身の悩みが切実になる40~50代の更年期世代なのだそう。一方、20~30代のanan読者世代は、比較的フェムケアを自分ごととして捉えにくい傾向が。
「若い世代は、仕事に遊び、おしゃれと、毎日全力です。その分、自分の体にじっくり向き合う余裕が持ちにくいのかもしれません。でもだからこそ、まずは歯磨きをする感覚で、デリケートゾーンには専用ソープを使い、保湿する習慣を取り入れてほしい。ニオイのケアになるのはもちろん、何より毎日快適に過ごせるようになるでしょう。こうした見えない部分のセルフケアは、自分自身を大切する第一歩。忙しい日々のなかでも、心と体のバランスを整えるきっかけにもなるはずです」
また、PMSなど女性特有の不調に悩む人は、ピルの服用を含め、自分に合ったケアを選ぶことが大切になる。
「せっかくセルフケアできる環境が整ってきたのです。『自分の体は自分で守り、改善する』意識を持って行動してほしいです。その積み重ねは、人生を自分の手でコントロールする力を育むことにもつながっていきますよ」
① 大企業が相次いでフェムケア市場に参入
数年前まではいわゆるベンチャー企業がサービスを展開することが多かったフェムケア業界。しかしパナソニックが女性の体調をナビゲートするサービス「RizMo」をスタートさせたり、ロート製薬がデリケートゾーン専用ソープ「LABiOME」を発売するなど、昨年末から今年にかけ、大手企業の本格参入が続いている。
「大手メーカーは全国展開や、手に取りやすい価格設定を実現しやすいのが強み。誰もが知る企業ならではの発信力と影響力で、さらなる市場の拡大が期待できます」(冨田さん)
②「女性版骨太の方針2025」にフェムテックの活用と普及に関する項目が明記
今年6月に閣議決定された「女性版骨太の方針2025」では、フェムテックの活用と普及に向けた具体的な施策が盛り込まれた。セルフケアやセルフチェック製品の開発支援、医療機関との連携体制を作るなど、フェムテックを社会的インフラとして定着させることを目指す。
「フェムケア市場が急成長を遂げたこと、そして女性の健康課題が社会的な課題として認識され始めたことの表れでしょう。時代の進化を改めて感じますね」
③ ミニピルの処方&緊急避妊薬の薬局販売など広がる選択肢
血栓症のリスクが少ない「ミニピル」の処方や、緊急避妊薬(アフターピル)の市販化が今年正式に承認された。その背景には、女性が自分の体に関する選択を、自らの意思で行える環境を整えようという社会的な流れがある。
「自分の体調や生活に合わせて、PMS対策や避妊法を選択できることはもちろんですが、思いがけない妊娠のリスクに対して速やかなセルフケアが可能になるのは、女性にとって非常に大きな意味を持つと思います」
お話を伺った方
Profile
冨田 愛
一般社団法人日本フェムケア協会代表理事。20年以上のキャリアを持つセラピスト。女性の自活力を高めるフェムケアを提唱。講座や体験会を開き、女性のウェルビーイング向上に尽力。
anan 2472号(2025年11月19日発売)より




























