もう一つの新しい居場所を見つける。パラレルキャリアという生き方。
今の会社や職種で行き詰まりを感じている人の中には、転職すべきか迷っている人も多いはず…。
「状況を変えるには、職場や働き方を変えてみることも選択肢の一つ。その一つとして最近増えているのが、私も実践している“パラレルキャリア”という働き方です。本業を持ちながら、自分の好きなことに関係のあるコミュニティや非営利活動に参加したり、本当にやりたいことを複業として始めるなど、新しい居場所を見つける、もしくは作るというもの。今までにない経験や知識を手に入れることでスキルアップでき、その結果、ほかの人にはない魅力や、代わりのきかない人材になれます」と、パラレルワーカーの三原菜央さん。
これからの時代を生き抜く上でも、パラレルキャリアは役立つ。
「今は、AIに仕事を代替されたり、人生100年時代といわれて定年後の暮らしもシビアに考える必要がある。だから、自分にしかできないことや価値を作ることが大事になります。複業をよしとする企業も増えているし、SNSの普及によって自己の発信や多くの人とつながることは、すごく簡単になりました。二兎を追って二兎を得る生き方は、より主流になっていくはずです」(三原さん)
パラレルキャリアを始めるには、本当にやりたいものを選ぶことが一番のカギになると言うのは、ジャーナリストの堀潤さん。
「誰かが作ったシステムの中で生きる本業とは違うので、本当に好きだったり、無理なくできるものを選びましょう。そのためには、自分自身と対話をして、何をするのが楽しいのか、本当に興味があるものは何かなどを考え、見つけることが不可欠になります」
実際にパラレルキャリアを成功させた2人が、そのメリットと始め方を伝授します!
新しい居場所を持つメリットって?
これまでとは違う居場所を持つパラレルキャリアを実践することで生まれる、ポジティブな影響を解説! スキルアップや、より良い未来を切り開けるなど、今の自分をアップデートできるものばかり。現状に不満を抱えていたり、モヤモヤしている人は挑戦を。
【1】“選択肢にあふれた未来”を作ることができる
「自分で一から始めたパラレルキャリアで得た成果は、すべてが個人としての成果になります。そうしてキャリアや成功体験を積み重ねていくと、不確かな未来に立ち向かう自信が芽生え、自分の武器となる強みが手に入る。結果、将来に持てる選択肢が広がります」(三原さん)
「本業という幹があるうちに、新しい取り組みや複業といった枝葉を広げておくことが大切です。というのは、本業をやめたいと思った時に、ほかに何もないと怖くて動きづらいもの。あらかじめ、セーフティネットをいくつか作っておくと思い切って行動できます」(堀さん)
【2】新しく得た知識や経験を生かし“スキルアップできる”
「複業や新しいコミュニティでの活動を始めることで得た経験や知識は、自分の新たなスキルとなり、また、本業にフィードバックされることも少なくありません。私の場合は、イベントを主催することで得た集客の知見が、本業のPRの仕事に生かせました。パラレルキャリアは、それぞれの仕事のパフォーマンスが上がるという、うれしい相乗効果も期待できるのです」(三原さん)
「新たなコミュニティでの出会いから想像もしていなかった人脈が広がり、自分を高めるために必要な、求めていた人材やツールに出会えることもあります」(堀さん)
【3】本当にやりたいことができて、“好奇心が満たされる”
「“本当はこんなことやりたくない”“挑戦したいことがあるけど、部署が違うから私にはやらせてもらえない”といった不満は、閉塞感を生み、精神的にも健全ではないですよね。自分がやりたいことは何かを見極めて、実践することが大切です。その点、パラレルキャリアは生計のかかった本業ではなく、自分一人のために始めるもの。だからこそ、やりたくないことを我慢してやる必要は一切ありません。本来やりたかったことや、興味のあるものをとことん追求して、好奇心を満たすことができる、そんな素晴らしい体験を得られます」(堀さん)
【4】ほかを知ることで“今いる場所の良さを再確認できる”
「“他を見て己を知る”ではないですが、本業とは違う環境に身を置くことで、本業の良さがわかるということも。また、離れたところから見ると、現状の何が嫌かということに気づきやすい。それを改善し、今の環境を居心地のいいものに変えることもできます(三原さん)
「ずっと同じ環境にいると、知らないうちに幸福の価値を押し付けられていたり、思考が凝り固まりやすくなる。大切なのは、さまざまなコミュニティに参加し、いろいろな人に会って多様な視点を持つこと。現状の見方が変わり、いい発見ができるかもしれません」(堀さん)
【5】時代が変化しても“代わりのきかない人になれる”
「複業やコミュニティに参加することで、“私はこういう人です”“これが好きです”という、新しいキーワードを持つことができます。すると、自分を象徴するキーワードが1つしかない時にくらべ、世の中に必要とされるシーンが増えます。また、キーワードをいくつか持ち、掛け合わせることによって、“その人だからできること”が生まれるのも大きなメリット。たとえば、“北欧が好き”と“PRに詳しい”が掛け合わさり、北欧に関する仕事が舞い込むことも。自分にしかできないことを身につけると、代わりのきかない存在に」(三原さん)
みはら・なお 2016年からパラレルワーカーとなり、今では本業であるPRのほか、3つの肩書を持つ。著書に『自分らしく働く パラレルキャリアのつくり方』(秀和システム)。
ほり・じゅん ジャーナリスト。NPO法人「8bitNews」代表。『モーニングCROSS』(TOKYO MX)ではMCを担当。小誌にて「堀潤の社会のじかん」を連載している。
※『anan』2019年7月31日号より。イラスト・そで山かほ子 取材、文・重信 綾
(by anan編集部)
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