左から、小野寺太志さん(ミドルブロッカー)、関田誠大さん(セッター)、髙橋 塁さん(アウトサイドヒッター)、髙橋 藍さん(アウトサイドヒッター)、小川智大さん(リベロ)、デアルマス アラインさん(アウトサイドヒッター)

サントリーサンバーズ大阪の圧倒的な個の力とチームの融合、そして自信と誇り。連覇を狙う“王者のメンタリティ”に迫ります!

Index

    【頭脳】司令塔はチームの頭脳。繰り出すサインに全員が注目

    「相手のサーブ、ブロックやうちの攻撃陣の配置を踏まえ『このローテーションをどう回すか』を考えてサインを出します。スパイカーとは毎回目を合わせているわけじゃないですよ。そんな時間ないですから。何か伝えたい時や様子を窺いたい時だけ、『どお? 大丈夫?』『いける?』という感じで。それでスパイカーも『次ワンチャン来るかも』って気づくんじゃないですか。たまに小さい声で『上げるよ』と言うこともあります」(関田)

    【攻撃】共に攻撃の要を担うスパイカー。考えるよりも先に足を一歩前へ

    「藍は同じ年の生まれだけど、俺よりもかなりレベルの高い選手だと思っています。スパイクはパワーだけじゃなく細かいフェイントといった変なこともよくするけど(笑)、それで点を取るからやっぱりすごい。コート上ではいつも『とりあえず打っていいよ、すぐにカバーに入るから』って言ってますね。考えていたら足が止まる。だからお互いに声を出して思うままに動く。そっちの方がどうにかなるし、どうにかできることが多いです」(アライン)

    【信頼】切り札であるリリーフサーバー。期待と信頼を力に変えて

    「コート内の選手の温度は高いけど、自分がサーブで入る時は“冷静に”を意識しています。太志さんに代わって入る時は、『頼むぞ!』と言ってくれるし、コートに入ると全員の『ホント頼むよ、ここ1本』という思いがひしひしと伝わってくる。でもプレッシャーより、『やったるぞ!』という気持ちになります。藍が『リリーフサーバーってすごい。1本で結果を出さなきゃいけないから。俺にはできねえわ』と言ってくれるのが嬉しいですね」(髙橋塁)

    【牽引】キャプテンの勝利への執着心が自然とチームを先導する

    「キャプテンだからというわけじゃなく、もう立場的に、点を取らなきゃいけないし、チームを勝たせなければいけないポジション。シーズンは長いので波はあると思うし、リーグ中盤あたりになると、みんなモチベーション的にも難しい部分もあると思う。そういう時にチームを引き締めたり、雰囲気を盛り上げたり。それが自分自身のキャプテン像かな。ちょっとしんどいなという日もあると思うけど、そこで一つ頑張るのがキャプテンかなと」(髙橋藍)

    【補完】コート上で“先”を読む守護神。声かけも相手と空気を読んで

    「僕は試合中に感情的になるタイプですけど、太志さんはずっと冷静。なので言いたいことをワーッと伝えるというよりは、ポンッと『こうしてほしい』とシンプルに伝える方がスッと理解してくれる選手だなと思っています。逆にそうやって伝える分、僕は抜けてくるボールやブロックタッチをちゃんと拾っていかなきゃいけない。“ディグ”(強打を拾うレシーブ)は練習だとあまり上がらないことが多いですけど、試合だとなんか上がるんですよ(笑)」(小川)

    【防御】ブロックで守って、逆に崩す。連係プレーの秘訣は俯瞰力

    「この3人はブロックの時に並んで跳ぶのはもちろん、アラインの攻撃力を活かすために僕が囮になって跳ぶ中で、関さんがアラインにトスを上げて打つという構図になることも多いんです。あと僕は、後衛に回ったタイミングでコートを離れる時間もあるので、試合中にコート全体を俯瞰することができる。そこで『もっとこういうタイミングで跳んだ方がいい』と感じた情報などを伝えることで、より連係を深めてもいます」(小野寺)

    CROSS TALK

    ―― 今回の特集は“人はチームで強くなる”というテーマなのですが、皆さんが感じる“チーム”であることの強みや魅力とは。

     助け合えること。1人じゃないこと、かな。

     うん、助け合いだと思います。

    小野寺 1人で勝てるわけじゃないからね。自分がダメでも他の選手が良かったらチームは勝つし、その逆も然り。誰かがダメでも自分が活躍してチームを助けることもできるので、それが魅力かな。

     自分がめっちゃ調子良くても負ける時はありますからね。その分やっぱり優勝した時は達成感が大きい。みんなで喜べるのが強いチームだし、魅力だと思います。

    関田 それぞれ長所短所があると思うけど、短所を周りが補ったり、誰かが誰かの調子を良くしたり。そうやって補い合えるところがチームの強みですよね。

    小川 同じです。ホントに一緒です。助け合いが大事です。

    アライン サンバーズは結構、ピンチの時はみんなで助け合えるチーム。常に声が出せているし、大事なところでコミュニケーションがすごくとれています。

     それにチームにはいろんな個性を持った選手が集まるので、お互いに刺激を受けたり、日々いろんな経験ができる。いろんな人からたくさんのことを学んで成長できるところは、個人競技とはまた違うチームスポーツのいい部分なのかなと思いますね。

    ―― 「◯◯◯。だからサンバーズは強いんです!」。「◯◯◯」に入る言葉といえば?

    小川 経験値が多い選手がたくさんいる。だから、サンバーズは強い! AJは?

     「俺がいるからサンバーズは強い!」でしょ?(笑)

    アライン 違うよ!

    関田 謙虚。

    小川 謙虚だな。お前いつも自分のいいプレーのことばっかり言ってるのに。

    アライン 日本代表メンバーがいっぱい揃ってるから、サンバーズはめちゃくちゃ強い!(笑)

     確かに代表メンバーは多いけど(笑)。そこに感化されて周りの選手もどんどんレベルアップするので、それも強さに繋がる。

     みんな個性は強いけど、お互いにリスペクトし合っていて、バランスがとれているから、チームとして強いんだと思います。

    小川 藍、ラスト締めよう!

     仲がいいから強いんです!

    小川 原点原点。

    小野寺 よっ! シンプル!

    関田 大事大事。

     個性豊かですけど、仲は間違いなくいいです。

    ―― 個性がぶつかり合うことはないんですか。

     ないですね。みんないい距離感で仲良くしてます。

    小川 ま、ぶつかっても、それもいいことです。

     一番当たり障りなく浅く付き合ってる本人が言う(笑)。

    ―― 関田選手、小野寺選手は?

    関田 同じです。

    小川 一緒だと思います、太志さんも。全然意見のない人なんで。

     言い方悪いわ!(笑) これです。こういう感じです。

     いじり、いじられ。

    小野寺 許してやってる側ね、俺。

     間違いなく、上の人(先輩)たちが素晴らしいです。

    小川 行きすぎない、一線を越えない後輩、それを許容してくれる先輩。だからサンバーズは……。

    小野寺 いま、結構ギリだからな、ギリ(笑)。

    ―― 先輩の抱擁力ですね。

     それはあります。コミュニケーション能力の高さですね。

     信頼関係があるんで。

    ―― こんなやりとりが日常的に?

    関田 男の子です。男の子(笑)。

    Profile

    関田誠大

    せきた・まさひろ 1993年11月20日生まれ、東京都出身。身長175cm。セッター。小中高、大学すべてで日本一に。2016年に日本代表に初選出され、東京・パリ五輪に出場。国内やポーランドのクラブを経て、今季サンバーズに移籍。

    デアルマス アライン

    2001年3月4日生まれ、キューバ出身。身長189cm。アウトサイドヒッター。2017年、高校入学を機に日本へ留学、2020年にサンバーズに入団。2024年2月に長年の目標だった日本国籍を取得した。愛称“AJ”。

    髙橋 塁

    たかはし・るい 2000年1月14日生まれ、京都府出身。身長185cm。アウトサイドヒッター。東山高校、日本大学を経て2022年にサンバーズへ。セット終盤に精度の高いサーブで勝利を引き寄せるリリーフサーバーとしてチームに貢献。

    髙橋 藍

    たかはし・らん 2001年9月2日生まれ、京都府出身。身長188cm。アウトサイドヒッター。19歳で東京五輪、22歳でパリ五輪に出場。日本体育大学在学中からイタリアで3季プレー。昨季サンバーズに移籍しリーグ優勝に貢献した。

    小野寺太志

    おのでら・たいし 1996年2月27日生まれ、宮城県出身。身長202cm。ミドルブロッカー。2023年にJTサンダース広島からサンバーズに移籍。2015年に日本代表に初選出され、2021年の東京と2024年のパリ五輪にスタメンで出場している。

    小川智大

    おがわ・ともひろ 1996年7月4日生まれ、神奈川県出身。身長176cm。リベロ。2021年サーブレシーブ部門でVリーグ日本記録賞。同年、日本代表に選出される。ウルフドッグス名古屋、ジェイテクトSTINGS愛知を経て、今季加入。

    サントリーサンバーズ大阪

    大阪府箕面市、大阪市をホームタウンとする。SVリーグの前身のVリーグ時代を含めると過去5シーズン連続でファイナルに進出し、そのうち4度優勝。2023年の世界クラブ選手権では日本勢として初めて銅メダルを獲得。次は世界一を狙う。

    髙橋藍さん・ジャケット、パンツ、シューズ 髙橋塁さん・ジャケット、パンツ 関田さん・スーツ、シャツ、シューズ 小川さん・スーツ、シャツ、シューズ デアルマス アラインさん・シャツ すべて参考商品(以上エンポリオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン TEL. 03-6274-7070) その他はスタイリスト私物

    写真・KAZUYUKI EBISAWA(makiura office) スタイリスト・藤長祥平 ヘア&メイク・TOYO タカセヨウコ 立花 花 取材、文・米虫紀子 松木智恵

    anan 2470号(2025年11月5日発売)より
    Check!

    No.2470掲載

    The TEAM 2025

    2025年11月05日発売

    ひとつの目標を目指して集まり、個々の才能や長所が混じり合うことでより高いパワーを発揮することができるチーム。そんなチームの現代における理想的な形や形成するための条件など多角的に考察する特集です。エンターテインメント界における注目チームにもフォーカス。4人の光る個性と大人の魅力に磨きがかかるA.B.C-Zは、メンバー4人によるグラビア&座談会が必見必読。まもなく結成15年を迎える超特急からはリョウガさん、ユーキさん、シューヤさん、マサヒロさんが登場。そして今年20周年を迎えたHANDSOME LIVEからは小関裕太さん、渡邊圭祐さん、東島京さん、本島純政さんに思いを語っていただきました。

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    “我が道をゆく”を徹底したようなテーマの日です。手近な目標を見つけて達成したら、また次の目標を見つけて突き進んでいく、そんな印象です。日々の勉強やトレーニング、そして良質な睡眠と食事を含めた健康管理を怠らず、自分自身を常に万全な状態に保つこと。その結果として大願成就を果たすことも夢ではありません。

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