堀潤の「社会のじかん」第516回:自民党総裁選

意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「自民党総裁選」です。


何のための選挙か。政治の空白を作らないで

10月4日に自民党総裁選が行われ、高市早苗さんが新総裁に選ばれました。自民党総裁選は1年前にも行われましたが、候補者はほぼ同じ顔ぶれでした。昨年は石破茂さんが勝ち、総理となりましたが、7月の参院選で自民党が大敗したため、その責任を取る形で総理の座を退くことになりました。

ただ、参院選の敗北理由は、石破総理が大きな失点を犯したからということではありません。トランプ大統領との難しい関税交渉もなんとか乗り越え、周辺諸外国との関係もそつなくこなしました。経済政策ではパワーに欠けるところはあったものの、退陣する必要が本当にあったのかどうか定かではありません。国民が選挙で自民党にNOと突きつけた大きな理由は、政治と金の問題です。それは石破さんを含む自民党全体の話なので、他の候補者の方は免罪されるという話ではありません。

総裁選では、高市さんも小泉進次郎さんも「政治と金の話の片はついた」と話していました。政治資金収支報告書の不記載問題に関わった候補者には、自民党公認を与えないなど処置をしているのでそこで済んだことになっています。しかし、今後同様の問題が起きないために資金の流れを透明化するような具体的解決策は何も実行されていません。政治と金の問題への対応が不十分という理由で、公明党は26年間続いてきた自公連立から離脱すると発表。ただでさえ少数与党ですから、今後の政権運営が不安視されています。

自民党を支えてきた保守支持層は離れ、参政党や日本保守党など右派に流れています。中道右派の政党が弱くなると、極右や極左などポピュリズムが台頭しやすいので、自民党の皆さんには、歯を食いしばってでも、本当の改革、自浄作用を働かせてほしいです。

中道右派や中道左派政党が議席の奪い合いで牽制し合ううちに、意表をつく形で、実現不可能かつ短絡的な政策を掲げたポピュリズム政党が票を伸ばしていきます。そうすると、救済されるべきものや構築しなければいけない成長戦略が置き去りとなり、財政改革もできずに、さらなる混乱が国民の不安を増殖させていくでしょう。この政治の空白が何よりも問題だと思います。

五月女ケイ子解読員から一言
トランプ氏が目立ちすぎなのですが、石破氏の印象は薄く、自民党も誰が総裁になっても変わらなそうでした。ここで、新総裁の高市氏がネットで大人気になっています。好感エピソードが次々と広がり、人気が国を動かすのかどうか気になるところです。

解説員

Profile

堀 潤

ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜18:00~19:00)が放送中。新刊『災害とデマ』(集英社)が発売中。

解読員

Profile

五月女ケイ子

そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。

写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

anan 2469号(2025年10月29日発売)より

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