左から、小野寺太志さん、小川智大さん、髙橋 塁さん、髙橋 藍さん、関田誠大さん、デアルマス アラインさん

「SVリーグ」男子の2025-26シーズンが10月24日に開幕。昨季リーグ初代王者に輝いた、サントリーサンバーズ大阪の圧倒的な個の力とチームの融合、そして自信と誇り。連覇を狙う“王者のメンタリティ”に迫ります!

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    【小野寺太志(ミドルブロッカー)】コミュニケーションと想像で攻撃のテンポをスムーズに

    「今季はせっかく関さんがうちのチームに来たので、関田家と小野寺家のみんなで集合してUSJに遊びに行きたいですね」

    そうニコやかに語る、ミドルブロッカーの小野寺太志選手。2015年から日本代表でプレーし、2023年にサンバーズに入団後、ブロックの要としてチームを牽引してきた。温厚で兄貴肌の小野寺選手が考えるチーム作りの基盤は、“垣根のないコミュニケーション”にあるのだとか。

    「僕は関さんと仲が良くて、関さんは小川と仲がいい。その小川は藍や塁と仲良しで、僕はアラインとも交流が深い。シーズン前には関さんや小川も誘ってみんなで飲みに行ったし、沖縄合宿でもチーム全員でバーベキューをしましたし。僕がみんなとお酒を飲むのが好きというのもありますけど(笑)、バレーは6人でボールを繋いで点を取りにいくスポーツですから。一つ一つのプレーの質を高めるためにもコミュニケーションは必要ですし、それは普段の関係性から生まれると思います。それとうちは一人一人の能力が本当に高いんですよ。みんな『このシーンだったら、この選手はこう動く』ということをちゃんと想像して自分の持ち味を発揮している。だからこそ安定した戦いができていると思っています」

    そうした中での自身の役割や目標とは?

    「僕のポジションは前衛でのブロックやスパイクで点を取ることが仕事ですが、全員がスムーズに動けるようにする潤滑油の役割もあるんです。例えばショートサーブが来た時に僕がいいパスをセッターに返せたら攻撃のテンポが上がるし、他の選手もいろいろなパターンで使えるようになる。特に今シーズンはコンビや攻撃のパターンを増やすことが大事だと考えているので、僕もここからさらに攻撃やパスの精度を上げたいです。それと昨シーズンはケガもあってあまりいい成績を残せなかったので、今季はスパイクでもブロックでも個人ランキングで上位に入れたらと思っています」

    Profile

    小野寺太志

    おのでら・たいし 1996年2月27日生まれ、宮城県出身。身長202cm。ミドルブロッカー。2023年にJTサンダース広島からサンバーズに移籍。2015年に日本代表に初選出され、2021年の東京と2024年のパリ五輪にスタメンで出場している。

    【小川智大(リベロ)】経験値の厚みがチームの強み。でもまだこんなものじゃない

    「日本代表や世界の強豪クラブなどで長年戦ってきた選手が多い。その経験値がチームの強みだと思います」と冷静に分析する小川智大選手。自身も2021年から代表入り。世界トップレベルのリベロの一人だ。

    「日本の特徴はもともとディフェンス力の高さでしたが、リベロはそのディフェンスを統率しなきゃいけないポジション。だとしたら僕も世界のトップでいないといけない。そういう自負を持って毎回練習や試合に臨んでいるので、そこは僕の強みでもあると思っています。そうした中でも今スキルアップしたいのはブロックディフェンス。サンバーズにはディマ選手やクリュカ選手というブロックに強い選手がいるので、今までなら抜けてきたところにボールが来ずに、逆にいいブロックタッチになったりする。そこが今回初めての経験なので早く慣れたいですね。タッチしたイージーボールを取り逃すと、やっぱりチームの士気も下がってしまいますし。いつか世界のクラブに移籍することになっても活かせる部分だと思うので、しっかりとどこに来るか判断できるようにしたいと思っています。僕の中では他の選手との関係性もプレーも、まだまだこんなものじゃない。今後は悪いところも出てくると思うので、それを修正しながら年間を通してやっていけたら」

    常に高みを目指して歩む。その広い視野と堅実さはコート外での姿にも生きている。

    「自分のSNSを頑張りたい気持ちはゼロですけど(笑)、チームを一番支援していただいている企業の広報活動には少しでも力になれたらとは思っています。だから普段は出ないCMにも出ましたし(笑)。あと個人では手書きでの家計簿をつけてみたいです。SNSで主婦の方がマメにされているのを見て素敵だな、自分は今まで細かく出費を確認していなかったなと気付いたので。小さい頃から普通の暮らしをしてきたし生活水準を高くするのも好きじゃないので、改めてやりくりを見直したいです」

    Profile

    小川智大

    おがわ・ともひろ 1996年7月4日生まれ、神奈川県出身。身長176cm。リベロ。2021年サーブレシーブ部門でVリーグ日本記録賞。同年、日本代表に選出される。ウルフドッグス名古屋、ジェイテクトSTINGS愛知を経て、今季加入。

    【髙橋 塁(アウトサイドヒッター)】「あいつが出てくると嫌」。そう思われるのが一番の価値

    層の厚いサンバーズの中で、セット終盤の切り札“リリーフサーバー”として勝負強さを発揮するのが髙橋塁選手。今季もその役割を第一に考えている。

    「新しい選手も入って昨季以上のスター軍団になったんですけど、その中でもチャンスはあると思っていて。まず一番はリリーフサーバーとして貢献すること。自分の場合、派手なサーブではないけど、『なんか空気が変わったぞ』とか『なんかブレイク(サーブ権がある時の得点)取れちゃうよね』となるのが理想。相手に『あいつが出てくると嫌だな』と思われるのが一番の価値だと思うので、今季もそこに持っていけるように精度を高めていきたい。アウトサイドで出るチャンスも昨季以上にあると思っているので、そのチャンスもつかめるよう頑張っていきたいと思っています」

    弟の藍選手がキャプテンになったことについては、「このパターンって初めてなので、ちょっと不思議な感じ」と笑う。

    「学生の頃はいつも、自分がキャプテンをやっている時に、藍が後輩としてチームにいたんですけど、今は逆の立場なので。でもサンバーズは個々が自立しているので、学生の頃とは違って、キャプテンが率先してすべてやらないといけないわけじゃないし、また違ったキャプテンシーが求められると思う。藍がみんなの前で話している姿や言葉一つ一つに、すごく自信や経験値を感じます。イタリアに行って成長して帰ってきたんだな、と改めて思いました。『イタリアでは自己主張がめちゃくちゃ大事。自分を出していかないと負ける』とよく言っていたので、海外で鍛えられたんだなと。藍には藍のカラーがあると思うけど、自分もサポートできる部分はしっかりサポートして、少しでもプラスになればいいかなと思っています」

    コート内外で、目立たなくともコツコツ自身の役割を果たす。こんな選手がいるから、サンバーズは強い。

    Profile

    髙橋 塁

    たかはし・るい 2000年1月14日生まれ、京都府出身。身長185cm。アウトサイドヒッター。東山高校、日本大学を経て2022年にサンバーズへ。セット終盤に精度の高いサーブで勝利を引き寄せるリリーフサーバーとしてチームに貢献。

    【髙橋 藍(アウトサイドヒッター)】みんながやりやすい環境作り。それがキャプテンにできること

    今季、サンバーズの“キャプテン”を任された髙橋藍選手。攻守の軸であり、バレーボール界屈指の人気選手としてコート内外で注目を浴びる存在だけに、負担が大きすぎるのでは? と心配してしまうけれど、本人は何事もポジティブに捉える。

    「キャプテンをやることで、すごく発言しやすくなりました。自分の意見も言いやすいし、選手側の意見や希望をスタッフに伝えることも。今までも言っていましたが、キャプテンとして言うと、また違うので」

    キャプテンは東山高校3年生の時以来。当時はチームメイトを怒って引き締める厳しい一面もあったそう。

    「監督が怒る前に自分が怒った方が平和に解決したりするので(笑)。オンオフはハッキリしていて、普段はみんなと仲が良かったですしね。サンバーズはみんなそれぞれプロとして自立しているので、僕が活を入れたり選手を怒ったりというレベルではない。もちろん練習でヌルッとした雰囲気があれば声をかけますけど、一番はみんながやりやすい環境作りを意識していますし、それができる立場だと思っています」

    プレー面では「自分はやっぱりオールラウンドで戦っていかないと」と話す。攻撃も守備も世界トップレベルであることが、髙橋藍選手が唯一無二である理由だから。

    「まずはチームを落ち着かせる安定感が必要ですし、その上で得点力もすごく大事。うちにはディマ(ムセルスキー選手)やAJ(アライン)など攻撃力の高い選手がいますけど、人任せじゃなく、自分もアグレッシブに点を取っていきます」

    プライベートでは、日本で一人暮らしを始めてから料理の腕がメキメキ上達。得意料理はカルボナーラと麻婆豆腐だとか。「料理はリフレッシュになるので楽しい。『もっと味濃くしたらよかった』とか、そういうのが色々出てきて面白いですね」

    何でも器用にこなすように見えるのは、どんなことにも本気で取り組み楽しんでいるから。今季も充実のシーズンが始まった。

    Profile

    髙橋 藍

    たかはし・らん 2001年9月2日生まれ、京都府出身。身長188cm。アウトサイドヒッター。19歳で東京五輪、22歳でパリ五輪に出場。日本体育大学在学中からイタリアで3季プレー。昨季サンバーズに移籍しリーグ優勝に貢献した。

    【関田誠大(セッター)】自然と人を観察してしまう。職業病かもしれないですね

    躍進を遂げてきた日本代表の正セッターとして東京・パリ五輪に出場した関田誠大選手は今季、ジェイテクトSTINGS愛知からサンバーズに移籍。今まで対戦相手として見ていたサンバーズと、中に入って感じたサンバーズは少し印象が違ったと言う。

    「昨シーズンまで外からチームを見ていた時は、やっぱりオポジットのディマの印象が強くて、ディマを軸に藍やAJが得点していくというイメージでした。でもこうして中に入ってみると、他の選手もみんな個が強くて、それぞれがしっかり役割を果たしている。攻撃の印象が強かったけど、ディフェンスもいいし、みんな能力が高い上に練習もすごく一生懸命頑張っている。一緒にやっていて楽しいです」

    サンバーズの若手選手たちは最初、日本を代表するセッターのオーラに少し近寄りがたさも感じていたそう。でも今ではすっかり溶け込んだ様子。

    「だんだんみんなも僕に慣れてきたんでしょうね。一番最初にガツガツ来たのはAJ(笑)。でも自分がどういう人か、まだ知られてないところもあって、『この人はどういう時に、どういうことするのかな?』と見られていると思う。考え方やバレーに取り組む姿勢、プレーも含めて、『僕はこういう人だよ』と伝えていけたら。そしてここでも自分のスタイルは貫いていきたい。やっぱりトスでは“スパイカーを活かす”というのが一つ大きなところですね」

    スパイカーを活かすために、まず相手を知ろうと常に観察している。

    「ポジション柄、よく見ていますし、『彼はこういう人だな』と結構感じやすい。敏感というか、繊細というか。(セッターの)職業病かもしれないですね(笑)」

    コートを離れれば大の“古着”好き。

    「関西圏でも古着のお店をもっと開拓したい。アメリカ村とか、神戸や西宮も」と嬉々として話す。新天地でのオフも満喫しながら、自身初のリーグ優勝を目指す。

    Profile

    関田誠大

    せきた・まさひろ 1993年11月20日生まれ、東京都出身。身長175cm。セッター。小中高、大学すべてで日本一に。2016年に日本代表に初選出され、東京・パリ五輪に出場。国内やポーランドのクラブを経て、今季サンバーズに移籍。

    【デアルマス アライン(アウトサイドヒッター)】武器のサーブと“エナジー”をもっとレベルアップさせたい

    2024年に日本国籍を取得したデアルマス アライン選手。高い跳躍力から繰り出す強烈なサーブやスパイクは、チームの士気を1段階底上げする力がある。

    「オフシーズンは、パスとブロックの練習をずっとしていました。特にブロックは今も手の形や腕の出し方などのレベルアップを目指しています。ただ自分の一番の武器はサーブ。バレーボールはサーブから始まる競技なので、強いサーブでチームの勝利を手伝いたいです。あとはもちろんスパイクも強化中。チームのアウトサイドヒッターには他にもクリュカや藍などがいるので、ポジション争いはとてもキツい。だからこそ全部をできるようにして頑張らないといけないと思っています」

    また、アライン選手が大切にしたいと考えているもう一つのことが“エナジー”。

    「俺は全然敬語が話せないし、年上の人にはもう“じじい”呼びになることもあるけれど(笑)、本当に尊敬してるしスタッフも含めて仲がいい。おかげで大事な時にはいつもみんなで声を合わせて戦えているので、これからも良いパフォーマンスのためにはエナジーを燃やして声を出していかないとダメだと思っています。ディマは一番年上ですごく頼りになるけど声はあんまり出さない方だから、そこは自分が代わりにもっと積極的に出していこうかなとも考えていますね」

    そんな熱い彼は、家では優しいパパに。

    「子供が2歳の女の子で、今は全部が『イヤイヤ』状態。言うことを聞かないし、ベッドに行ってもジャンプして全然寝ない。それはちょっとキツいけど、かわいいから許す(笑)。試合の時も『パパ、ゴー! ゴー!』って言ったり、ユニフォームを着た自分に『かわいい~!』って言ったりして、めちゃくちゃかわいい。でも今後は、パパとしてもちょっとレベルアップして怒れるようにしないと……。『パパ、イヤイヤ』にならない程度に頑張ります(笑)」

    Profile

    デアルマス アライン

    2001年3月4日生まれ、キューバ出身。身長189cm。アウトサイドヒッター。2017年、高校入学を機に日本へ留学、2020年にサンバーズに入団。2024年2月に長年の目標だった日本国籍を取得した。愛称“AJ”。

    Profile

    サントリーサンバーズ大阪

    大阪府箕面市、大阪市をホームタウンとする。SVリーグの前身のVリーグ時代を含めると過去5シーズン連続でファイナルに進出し、そのうち4度優勝。2023年の世界クラブ選手権では日本勢として初めて銅メダルを獲得。次は世界一を狙う。

    小野寺さん・ニット¥66,000 パンツ¥179,300(共にエンポリオアルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン TEL. 03-6274-7070) その他はスタイリスト私物
    小川さん・カーディガン¥173,800 パンツ¥168,300 シューズ¥59,400(以上エンポリオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン) ソックスはスタイリスト私物
    髙橋 塁さん・ニット¥88,000 パンツ¥151,800 シューズ¥113,630(以上エンポリオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン) ソックスはスタイリスト私物
    髙橋 藍さん・ニット¥140,800 パンツ¥214,500 シューズ¥113,300(以上エンポリオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン) ソックスはスタイリスト私物
    関田さん・ニット¥62,700 パンツ¥129,800 シューズ¥59,400(以上エンポリオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン)
    デアルマス アラインさん・ニット¥91,300 パンツ¥170,500(共にエンポリオアルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン) その他はスタイリスト私物

    写真・KAZUYUKI EBISAWA(makiura office) スタイリスト・藤長祥平 ヘア&メイク・TOYO タカセヨウコ 立花 花 取材、文・米虫紀子 松木智恵

    anan 2470号(2025年11月5日発売)より
    Check!

    No.2470掲載

    The TEAM 2025

    2025年11月05日発売

    ひとつの目標を目指して集まり、個々の才能や長所が混じり合うことでより高いパワーを発揮することができるチーム。そんなチームの現代における理想的な形や形成するための条件など多角的に考察する特集です。エンターテインメント界における注目チームにもフォーカス。4人の光る個性と大人の魅力に磨きがかかるA.B.C-Zは、メンバー4人によるグラビア&座談会が必見必読。まもなく結成15年を迎える超特急からはリョウガさん、ユーキさん、シューヤさん、マサヒロさんが登場。そして今年20周年を迎えたHANDSOME LIVEからは小関裕太さん、渡邊圭祐さん、東島京さん、本島純政さんに思いを語っていただきました。

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    “我が道をゆく”を徹底したようなテーマの日です。手近な目標を見つけて達成したら、また次の目標を見つけて突き進んでいく、そんな印象です。日々の勉強やトレーニング、そして良質な睡眠と食事を含めた健康管理を怠らず、自分自身を常に万全な状態に保つこと。その結果として大願成就を果たすことも夢ではありません。

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