岩田剛典「イメージとのギャップを笑いに変えたい」挑戦し続けるアーティストの新境地

エンタメ
2024.12.20

東京・立川を舞台にバカンスを満喫する神の子イエスと仏の悟りを開いたブッダのゆる〜い日常を描いたギャグ漫画『聖☆おにいさん』が待望の実写映画化!『今日から俺は!!劇場版』、『銀魂』シリーズの奇才・福田雄一がメガホンを取り、唯一無二の壮大なコメディ映画が完成した。今回はそんな本作のなかで、天使長・ミカエルという人智を超える存在を演じた岩田剛典にインタビュー。本作で披露した新たなコメディアンとしての一面や、福田組の撮影で受けた刺激について語ってもらった。

回数を重ねるごとに福田組としての勘がよくなってきている。

——  本作のオファーを受けた時の気持ちを教えてください。

福田さんとは今回で3度目となるのですが、シンプルにまた呼んでいただけたことが俳優としてとても嬉しかったです。反面、今回は天使長という設定から非現実的なキャラクターだったので、どう演じたらいいのか悩みました。意外と脚本自体にギャグは全然書かれていなくて、そのまま演じたら普通になってしまうので、今まで参加した福田組の作品と比較しても一番考えた気がします。家で一人でこのミカエルという役について考えていたときの僕は絶対にお見せできないですね(笑)。

—— どのようにアイデアを加えられたのでしょうか?

セリフ自体もかなり足しましたし、セリフが書かれていないパートを自分で考えた動きで埋めようとリハーサル前の段取りで考えてきたアイデアを全部出しました。同じシーンで共演していた白石さんや主演のおふたりもびっくりしていましたけど、採用になったものも多くてやってみてよかったなと思いました。

—— 手応えを感じられたんですね。

監督やキャストを笑わせることができたので、いける! と思ったのですが、そこからリハーサル、本番と続いていくうちにみんなも慣れてきてしまうので、だんだんとしんどくなってきました(笑)。

—— 『新解釈・三國志』の頃と、今回の作品の現場で岩田さんご自身の気持ちや向き合い方はどのように変化があったと思いますか?

あの頃から考えると、回数を重ねるにつれて福田組としての勘がよくなってきていると思います。なんとなくですが、監督が欲しいものが分かるようになってきたのかな。福田組の作品は唯一無二の世界観なので、他の仕事とは全く違うスイッチを入れる感覚。自分が出演するどのメディアにも出していない顔をぶつけています。

—— ちなみに、劇中に出てくるラップもご自身で?

そうか、あれはラップか。自分の中ではボイパの気持ちだったんですよ。そのくらい脚本には何も書かれていなかったんです。本気でふざけられるのはあのシーンだけだと思ったので、何か爪痕を残したくてとにかく思いっきりいこうと思って、家で夜な夜な刻んだライムを披露しました。

—— 新しい岩田さんの魅力を垣間見ることができた気がします。

本当にここでしか見れないと思います。ファンが減らないかが心配ですね(笑)。

真面目な雰囲気のときほどふざけたくなっちゃう、意外な素顔。

—— 撮影から一年が経って、今振り返るとどんな現場でしたか?

ほぼ同年代の方々ばかりのシーンだったので、ほんとに休み時間もずっと喋って、ずっと喋っていたら日が暮れて現場が終わるみたいな感じでした。この撮影の後で、松山ケンイチさんとは、NHKの連続テレビ小説『虎に翼』でご一緒したんですけど、「普通の芝居もできるんだね」って言われました。普通の喋り方もできるんだねって(笑)

—— 松山さんとは二つの作品で共演されていかがでしたか?

二作とも全く異なる役どころで、現場の雰囲気からして全然違います。百戦錬磨というか、見習うべきところがたくさんあるなと感じました。松山さんは変幻自在で空気を掴むのがすごく上手な方。今回僕の役はかなりふざけていたと思うんですけど、それを全部キャッチしてくれる。松山さんだけでなく、染谷さんとのコンビの安心感たるやすごかったですね。

—— この一年で岩田さんの演じられる役柄の振り幅をすごく感じたのですが、今後やってみたい役や作品はありますか?

僕は個人的に明るい作品が好きなんです。ドラマでも映画でも、ほっとできるような作品やコメディというのは子供から大人まで楽しめると思うので。福田組もそうですし、他の現場でもそういうジャンルで自分を呼んでいただける場所があるなら、出ていきたいです。

—— コミカルな役を演じるのは楽しいですか?

リミッターを外すような感覚で楽しいです。映像にすると多少薄まるような印象があって、だからこそ現場は振り切って演じた方が、映像になったときにちょうどいいバランスになるんじゃないかと思います。回数を重ねるごとにそういった勘がよくなってきているような気がします。

—— 岩田さんの持つスマートなイメージからのギャップが面白いですよね。普段から誰かを笑わせたりすることはお好きですか?

真面目な雰囲気のときほどふざけたくなっちゃうんですよね。衝動に駆られるというか。そのギャップを笑いに変えられたらいいなと思います。

—— 全体を通して、岩田さんのお気に入りのシーンだったり、見どころのシーンがあれば教えてください。

神木くん演じるヨハネさんの登場シーンは段取りから爆笑しました。やばいやつが出てきた! みたいな。あとは、賀来くんのただ声がでかいっていう梵天も面白かったです。

今のパフォーマンスにもつながる、人生最大の推し活。

—— 岩田さんが演じられたミカエルはヨハネさんをめちゃくちゃ推していましたが、岩田さんの人生史上1番の推しってありますか?

ロサンゼルス発祥のクランプダンスに関しては、ずっと推しています。確か17歳くらいのときに出会って、そこからはとにかくロサンゼルスのダンサーの映像をYouTubeで見漁っては、見様見真似でやってみるというのが今の人生につながっています。今でもずっとチェックしていて、本場のシーンから受ける影響は自分のパフォーマンスにも生きているし、情熱にもつながっていると思いますね。

—— 当時の岩田さんの中でゴッドみたいな方はいらっしゃったんですか?

タイト・アイズというダンサーがまさにゴッド。当時からすごかったけど、今もどんどん技を磨いて2024年もまだゴッドの座に君臨し続けているすごい人です。マニアックですが本当にかっこいいです。

—— 2024年は岩田さんにとってどんな1年でしたか?

とにかく充実した1年でした。今はグループでのツアー真っ只中ですが、前半はソロアーティストとしてアリーナツアーを周りながら、朝ドラと日曜劇場に参加することができましたし、この作品にも出演できて、本当にありがたい1年でした。

—— では、来年はどんな年にしたいですか?

ありがたいことに2025年も上半期くらいまでいろいろと決まってきていて、まだお話できないですが全部のお仕事が楽しみです。ただ、忙しくなると普通の生活をする時間が取れないというか、こうやって振り返ったときに仕事しかしていなかったなとなってしまうので、そこはうまくバランスを取って自分自身の時間を作れるようになりたいですね。

岩田剛典さんの、いま好きなこと。

一周回って映画館に行くこと。1人でも時間ができたら足を運ぶようにしていて、やっぱり映画館っていいなって行くたびに思います。やっぱりあれだけ集中できる環境というのは格別ですよね。

PROFILE プロフィール

岩田剛典

2010年、三代目 J SOUL BROTHERS 「Best Friend's Girl」でデビュー。2016年、映画『植物図鑑運命の恋、ひろいました』で映画初主演を務め、第40回日本アカデミー賞の新人賞俳優・話題賞、第26回日本映画批評家大賞の新人男優賞などを受賞。2019年より、ルイ・ヴィトンの新アンバサダーに就任。今年はNHK連続テレビ小説「虎に翼」、TBSテレビ日曜劇場「アンチヒーロー」に出演。EXILE、三代目 J SOUL BROTHERSのパフォーマー活動を中心に、俳優業、CM出演等、各方面で活動中。

INFORMATION インフォメーション

©中村光/講談社 ©2024 映画「聖☆おにいさん」製作委員会

映画『聖☆おにいさん THE MOVIE ~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』

神の子イエスと仏の悟りを開いたブッダが東京・立川にある6畳一間のアパートでふたり暮らしをしながら下界を満喫する日常を描いた人気ギャグ漫画「聖☆おにいさん」を実写映画化。原作者・中村光が映画化のために描いた原作エピソード「スクリーンへの長い途(みち)」をもとに、福田雄一監督がメガホンをとり、松山ケンイチがイエス役、染谷将太がブッダ役でW主演を務める。
脚本・監督/福田雄一
原作/中村光
出演/松山ケンイチ、染谷将太、賀来賢人、岩田剛典、勝地涼、白石麻衣、仲野太賀、神木隆之介、川口春奈、山田孝之、窪田正孝、藤原竜也ほか 
12月20日(金) 全国ロードショー

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写真・鳥羽田幹太 スタイリング・渡辺康裕 ヘアメイク・下川真矢(BERYL) インタビュー、文・市谷未希子

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