――この話を聞いた時の気持ちは?
布川ひろき:ある日、作家の方から「絵本を作りたいんですけど、いかがですか?」って言われて。もちろん嬉しかったけど、大丈夫か? って。
みちお:僕はお話をいただいた時、あ、確かに! なぜ今までなかったんだろうって思いました。
布川:「確かに」じゃねーよ! まだわからないからな。急に出版がなくなるかもしれないし。
みちお:なくなっても、確かに! って思うけどね(笑)。
布川:あははは(笑)。物語は、パンを5つ合体させて最強のパン、“キングパン”を作るというもの。これは僕らのネタをベースに、作家の方が作った完全オリジナルです。
みちお:僕らのいつもの感じとは違うテイストがたくさん入っていて、楽しい絵本になっていると思います。
布川:あと、絵がめちゃくちゃ可愛い! 僕って今でも道を歩いているだけで、不審者扱いされて職務質問されるんだけど、この絵みたいに可愛くしたらいいのかな?
みちお:髪は真ん中分けの青色でね。僕の場合はそのまま絵にすると妖怪になりがち。でも特徴を捉えつつ、可愛い仕上がりですげぇ! って。
――失礼ながら…“狂気の漫才”がなぜ、子供に向けた絵本に?
みちお:昨年の『M‐1グランプリ』の敗者復活戦でやったネタは、赤ちゃんが見るとなぜか泣きやんで、さらに笑うそうです。それで“赤ちゃんが泣きやむ”でお馴染みの歌「POISON」(反町隆史)、「タケモトピアノ」のCMに並び、僕らのネタが注目され始めて。音響の専門家に調べてもらったら「子供がびっくりするリズムが入っているから笑う」と言われ、不思議でした。
布川:偶然中の偶然です。スペインの赤ちゃんも泣きやんでましたから。
――すごい! それぞれ、お気に入りのページを教えてください。
みちお:“パンチンパンジー”を山に返すシーン。1斤のパンを一枚ずつスライスすると、パンが少しずつチンパンジーに戻っていくんです。この発想はなかった!
布川:オチも斬新。この絵本を読んで思ったのは、僕ら自身が縛られていたということ。もっと自由に、いろんな発想で漫才を作りたいと思いました。本当に脳みそが柔らかくなるし、知育にいい絵本です!
みちお:お子さんに読んであげる時はぜひ、“パンパン”という破裂音を強調してみてください!
トム・ブラウンの中毒性あるネタをベースに、リズミカルでカラフルに仕上げた子供から大人まで笑える絵本。『がったい!』出演/トム・ブラウン 作/こにしけい、たなかけんた 絵/萬田翠 講談社 1760円
上・布川ひろき 1984年1月28日生まれ、北海道出身。ツッコミ担当。下・みちお 1984年12月29日生まれ、北海道出身。ボケ担当。STV『道産人間オズブラウン』出演中。『オールナイトニッポンPODCASTトム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』(ニッポン放送)が配信中。
※『anan』2024年9月4日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) インタビュー、文・若山あや
(by anan編集部)