中森明菜の『BEST III』が、デビュー40周年記念 ワーナーイヤーズ・全アルバム復刻シリーズとして、2024ラッカーマスターサウンド(アナログレコードの原盤「ラッカー盤」にカッティングし、レコード針で再生した音をデジタル化)&全曲オリジナル・カラオケ(2024 Remaster)の2CDでリリースされる。本作は4枚目のベスト・アルバムで、オリジナル盤がリリースされたのは1992年。アイドルからアーティストへと完全に脱皮を果たした時期の中森明菜の、ヒット曲から隠れた名曲まで、全12曲が収録されている。

ポップな友情ソングも! 歌姫の七変化が聞こえるベスト・アルバム。

Entame

妖艶さが極まった「二人静‐「天河伝説殺人事件」より」。竹内まりやが作詞・作曲を手掛け、のちに彼女自身がセルフカバーをしたバージョンも広まった「駅」。その後の中森明菜の実力と個性を知らしめる、エスニックな路線を切り拓いた「ミ・アモーレ〔Meu amore…〕」の別歌詞&ラテン・ロング・バージョン「赤い鳥逃げた」。他にも、様々な角度から大人の女性が描かれた楽曲が揃っているが、特に24thシングルの「Dear Friend」は、彼女らしさを作り上げてきたしっとりとしたバラードでも、情熱的なラブソングでもない。〈Come on〉〈hey〉など明るいフックを交えながら、カラリと女性の友情を歌っているのだ。当時、中森明菜が、初めて“等身大のお姉さん”に見えた。さらに、そのカップリング「CARIBBEAN」も、穏やかに幸せを噛みしめるカリプソ調のナンバーで、その軽さは新鮮だった。

歌い方も、ジャンルも、感情も、楽曲によって七変化できる中森明菜の実力が発揮された本作。「Blue On Pink」などの、囁くような、それでいて存在感のある歌い方からも、“すぐれたシンガーは、大きな声を張って歌うもの”という単純なイメージを、メジャーシーンで覆した革新性を改めて感じる。

何度かの活動休止を経ながらも、2021年にデビュー40周年イヤーに突入してからは、テレビやラジオでの特別番組の放送や、Xでの自身のメッセージの発信など、現在進行形の姿を見せている中森明菜。今こそ真の“歌姫”に触れてみてほしい。

ラッカーマスターサウンドで進化した、ワーナーイヤーズ・全アルバム復刻シリーズ第9弾、アルバム『BEST III』。【通常盤(2CD)】¥2,750 【完全生産限定盤(2LP)】¥5,940 【COMPLETE BOX 5枚組完全生産限定盤(2CD+2LP+CT)】¥11,550(WARNER MUSIC JAPAN)

なかもり・あきな 1982年デビュー。「飾りじゃないのよ涙は」「DESIRE ‐情熱‐」「難破船」など、多数のチャート1位ヒット曲を誇る。2023年にはセルフカバー「北ウイング‐CLASSIC‐」が発表された。

※『anan』2024年2月28日号より。文・高橋美穂

(by anan編集部)

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line

Today's Koyomi

今日の暦
2025.6.
24
TUE
  • 六曜

    先負

  • 選日

    天恩日

六曜の先負とも通じますが、「急がず焦らず進むのが正解」という意味の日です。先を急ぐ気持ちが思わぬミスを招き、予備知識もないまま難しい状況に迷い込んでしまう原因になります。また、人にものを伝える際にラフすぎたり曖昧だったりして理解されにくい傾向も出ますので、面倒に思えても丁寧に伝えることを心がけましょう。

Movie

ムービー

Regulars

連載