アスリートは体が資本。バレーボール女子日本代表の石川真佑選手も、そう実感していると話す。
「チームメイトの会話を聞くと、特に睡眠に対する意識は皆高いです。普段の雑談でも『よく寝た』『昨夜は寝るのが遅くなっちゃった』など、何気なく睡眠のことをよく口にしていて。それぞれ睡眠に気を遣っているんだろうなと」
石川選手自身も例に漏れない。
「睡眠が充実すれば頭の回転も良くなるし、何よりパフォーマンスに直結するので、毎晩なるべく早く寝るようにしています。遅くなっても就寝時間が日付を越えないように意識していて、早ければ22時、遅くても23時半には布団に入ります。また、試合前は睡眠時間を長めにとっています。“長め”といっても、いつもより1時間、早く寝る程度ですけどね。あまり早くに寝ると、夜中に目が覚めてしまうので。ただ目覚めるタイミングを完全にコントロールするのは難しいので、実際早めに寝て、途中で目が覚めたら次はもう少し就寝時間を遅らせる。微調整しつつ、朝までしっかり眠れるリズムをいつも探っています」
また夜から朝にかけての睡眠に加え、空き時間があればパワーナップ(積極的仮眠)も取り入れる。
「普段の練習の日、昼食を摂った後に午後練にいいコンディションで臨めるように仮眠をとることが多いですね。夜遅い時間に試合がある日も同様です。仮眠の時間が長すぎると逆にパフォーマンスが下がるので、30分程度に収めます」
もともとどこでも寝られるタイプだと話す石川選手。いつも熟睡できる秘訣を分析してもらった。
「入浴は大きいと思います。昔からお風呂好きですし、練習で疲れた体を回復させるためにも入浴は重視していますが、毎晩お湯に浸かる習慣が睡眠の質を高めることに繋がっていると思います。私の体感ですが、お湯に浸かって発汗し、体がすっきりした状態で睡眠をとると、だいたい翌朝の目覚めもいい。湯船と水風呂を行き来する交代浴をよく実践しています」
シャワーで済ませるのは時間がとれない時だけ。逆に、少しでも浸かれるならば湯船に浸かる。入浴で一度深部体温を上げておくと、その反動で、数時間後に眠る頃には深部体温がほどよく下がるため、眠りにつくのもスムーズに。
よっぽどのお風呂ラバーでないと、湯船に浸かっている間、なんとなく手持ち無沙汰になるもの。石川選手も“長湯派”ゆえ、飽きずに浸かるために様々な工夫をしているそう。
「スマホを持ち込んでSNSをチェックしたり、ネットフリックスもよく見ます。あとは音楽を流すことも。アップルミュージックにあるトップ100のプレイリストなどを再生して、最新の曲を楽しむことが多いです」
練習で日中の活動量も人一倍多く、入浴のルーティンもここまで確立されていたら、眠れない夜はほとんど経験がないかもしれない。
「試合前日で緊張して眠れない…ということは確かにないですね。でも国際試合などで海外に遠征すると、マットレスの寝心地や枕の高さがあまり合わないことは結構あって、そういう時はいつもほど睡眠の質が良くないような。そういう意味では自分に合う寝具を選ぶことが重要だと思っています」
また、今秋からはイタリア1部リーグのフィレンツェに移籍する石川選手。新生活に突入するうえで、睡眠に関して一つ気になることが。
「日本と違い、イタリアは湯船がない環境の方が多いと思うんです。今までのように入浴できなくなると睡眠にも影響があるかと。でもそれは仕方ないし、寝具などを工夫して新たなリズムをつくればいいだけ。睡眠のスタイルも柔軟に変えていくつもりです」
睡眠のお供
仮眠ではアイマスクで視界をオフ。
仮眠をとる時にはアイマスクをつけて。「いつも使っているのは『めぐりズム』。目の疲れにも効くし香りで落ち着くのもいいなと。私はラベンダーの香りを選ぶことが多いです」。視覚を遮って少しでも深く眠れるよう工夫。
睡眠の質に直結するアイテムは吟味。
寝具を選ぶ際は、自分の体に合うかどうかを入念にチェック。「ミズノの新商品のマットレス『ReFull』は手持ちのものに重ねて使えるし、枕もほどよいサイズ感です」
とある日のスケジュール
6:00 起床
6:00~6:30 入浴
6:30~7:30 朝食
7:30~11:30 午前の練習
11:30~12:00 昼食
12:00~12:30 昼寝
12:30~18:00 午後の練習
18:00~20:30 夕食&入浴
20:30~22:30 リラックスタイム
22:30 就寝
いしかわ・まゆ 2000年5月14日生まれ、愛知県出身。’19年より女子日本代表に選出。’23~’24年のシーズンはイタリア・セリエAのイル・ビゾンテ・フィレンツェにてプレー。X(旧Twitter)は@m_ish_0514 Instagramは@mayu_00514
※『anan』2023年9月6日号より。写真・黒川ひろみ(石川さん) ヘア&メイク・高松由佳(石川さん) 取材、文・門上奈央
(by anan編集部)