ぺこぱ“ツッコまない漫才”を生んだのは“プロポーズ”というネタだった!

エンタメ
2021.10.03
相方のボケに「なんでやねん!」とツッコむ… 。そんな王道漫才のお決まりを軽快に飛び越えて、“ツッコまない漫才”で一世を風靡したぺこぱ。ボケを抱きしめるように受け止めるスタイルが生む、優しい笑いのヒミツとは。

“ツッコまない”が期待を裏切る! ボケを拾い抱きしめる優しい会話が生む笑い。

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――否定しないツッコミという新しいスタイルで、今やメディアで顔を見ない日がないほど大人気となった、ぺこぱのお二人。ボケを優しく受け止めるツッコミが誕生したのは、2018年のことだった。

松陰寺:それまでも、他のコンビとはちょっと違うネタをやっていたのですが、まったく世に出るきっかけにならなくて。もっと違う形を模索している時に、ボケに対してツッコまずに受け入れるという形を見つけ、新しいと思いました。常に人に優しくありたい、否定ばかりする世の中が嫌だと思っていたわけではないんです(笑)。

受け入れるツッコミは理由、理論、共感が要。

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シュウペイ:そのネタを最初にやった時は、正直、笑いどころが理解できなくて。自分が知らないお笑いに出合ったからですけど、のみ込むまでに苦労したというか。相方はボケを受け入れているのに、僕はなかなか、この漫才を受け入れられませんでした(笑)。

松陰寺:ははははは。一番最初はプロポーズというネタで、俺が女性、シュウペイが男性を演じながらも、シュウペイまで女性になっちゃうというボケがある。それに対して「女性同士が結婚したっていいじゃないか」と言ったのが始まりです。“このネタにかける!”とかではなく、試しにやってみようかくらいの気持ちでしたね。あと、相方は、俺が書いた台本通りにやっているのに、ツッコまれて、否定されて、シュンとする役回りなのが変やなと思ったことがあって。それも“ノリツッコまない”スタイルが生まれた要因かも。

シュウペイ:僕、困り眉だから、シュンとしたように見えたのかな。最近は眉毛サロンに通っていい感じになってるので大丈夫で〜す!

松陰寺:今の発言、書いてあげてください。ただ、「そういうのがあったっていい」と受け止めることは簡単にできるけど、それじゃ面白みがないし笑いは生まれない。だから、受け入れるにあたっての理由とロジックと共感を、テーマとしておいています。“そういう考え方もあるよね”と思ってもらえるやりとりを意識しています。

――漫才のネタを作る時は、松陰寺さんは脳内でシュウペイさんと掛け合いをしているという。

松陰寺:頭の中でシュウペイが話して面白かったら台本に書き、ネタ合わせをして本当に面白いかを確かめる。台本を書いた時点でのネタの完成度は、50%くらいです。

シュウペイ:シュウペイとしてネタを見せたい部分があるので、「俺だったらこういう言い回しをするな」と伝えたり、変更することも。まぁ、下ネタとかは絶対に許しませんけどね。シュウペイ、そういうキャラじゃないから。

松陰寺:おかしいでしょ。そもそも俺、下ネタ書かないから(笑)。

――ラジオでは、いつものキャラクターとは少し違う二人のやりとりを披露することも。

シュウペイ:昔から松陰寺さんのことを知っている僕が、彼のやばい部分をケアしながら話しています。たとえば、松陰寺さんが自分が着ている服がダサいと言えば、「いや、松陰寺さんがダサいだけだよ」と言う、そういうケアです。もともと僕が汚い言葉を使わないこともあり、マイルドに聞こえるから、バランスがいいんだと思う。

松陰寺:俺が暴言めいたことを言うと笑ってくれるんで、調子に乗っちゃうんです。ラジオではこういう一面を見せ、子どもが見る番組では優しいツッコミをしたりと、割り振りを決めています。

――否定しないツッコミが生まれた時のように、これからも違うお笑いを目指していくという。

松陰寺:今、世間の皆さんに、シュウペイがボケて俺が受け入れるというスタイルを、一通り知っていただいたと思うんです。その上で、新しい展開を見せていきたいですね。10月の単独ライブでも新ネタをたくさんやるし、今までとは違うぺこぱを披露できるはず。

シュウペイ:終わった時には達成感で泣くと思うので、皆さんにも感動する準備をしていただけたら。そして、僕がデザインしたグッズを愛してもらえたら!

松陰寺:ははははは。これからもずっと、お客さんの予想を裏切るネタをやっていきたいですね。

ぺこぱが選ぶ! 松陰寺さんの名フレーズ4選。

これまで披露してきた、すべてを優しく包み込むツッコミの中からお二人がお気に入りをセレクト! 名言のオンパレードをご堪能あれ。

「漫画みてぇなボケしてんじゃねーよっ! て言うけど、その漫画ってなんですか!?」

シュウペイさん演じるおじいさんが、電車のドアに顔を挟まれるというボケに対するセリフ。「自信を持ってできるネタ。ウケもいいです」(松陰寺さん)。「素直に納得できますよね」(シュウペイさん)

「…時を戻そう」

漫才がオチまで進んで別のバージョンに移る時、展開を頭に戻すタイミングで使われるキラーフレーズ。「これは、ちょっと革命を起こしたのかな、と思っています」(松陰寺さん)

「急に正面が変わったのか…?」

ネタ中に突然、舞台の隅に行ってしまったシュウペイさんを見て、自身を疑い始める松陰寺さんの姿が印象的なセリフ。「葬儀屋のバイト中、棺の向きが逆になっていたのを見て生まれました」(松陰寺さん)

「お前よりはうるさい」

松陰寺さんが世の中のことについて一方的に喋った後、意見を求めた相方から「うるさい!」と言われた時に返すフレーズ。「お客さんみんなが、“たしかに”という空気に包まれていました」(松陰寺さん)

ぺこぱ 2008年結成。『ぺこぱのオールナイトニッポンX(クロス)』(ニッポン放送)が毎週木曜24時~放送中。10月3日に単独ライブを開催予定。

※『anan』2021年10月6日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)

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