宝石やアクセサリーが大好きな女子高生の谷川瑠璃(ルリ)。無謀にもひとりで水晶ハントに出かけた先で、鉱物学を研究中の大学院生・荒砥凪(ナギ)に出会う。かくて、ナギさんの手ほどきもあり、ルリもまた、鉱物採集の世界に足を踏み入れることに…。

水晶、砂金、ガーネットなど、小さな鉱物が見せる大きな宇宙。

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『瑠璃の宝石』は、自然の中にある鉱物とのふれあいを楽しめるユニークなコミックだ。著者の渋谷圭一郎さんは、大学の研究室で学術的に鉱物を学んだそう。

「水晶やその他の鉱物を採集しに行くというと、『私も行きたい』という女子学生もわりといるのですが、社会に出ると離れてしまう。やはり鉱物採集の現場には、年季の入ったおじさま方が多いです。実態を言えば、岩石ハンマーを手にして岩と格闘している泥くさい世界なんですが、そこはマンガ。女性キャラに活躍してもらい、広い読者に案外身近な世界なのだなと、楽しんでもらえたらと思いました」

ルリは石は好きだが、いかんせん初心者。だが、ナギさんの解説を聞くうちにどんどん興味を深めていく。一方、ナギさんは自然を理解しようとするキャラクターとして描かれる。

「もともと科学は、自然現象を理解しようというところから始まっているんです。雷は電気なのかとか虹はどうしてできるのかとか。そういうスタンスを持っている人物として、ナギは描きたいと思いました。現代では科学はお金になるかどうかが優先されがちですが、純粋にロマンを追いたいという思いもある。鉱物学や天文学など“地学”は科学が本来持っているそんな魂をいまも備えていると思うんです」

作中では、鉱物がいかに生み出され、壮大な自然を見せてくれるかが随所で力説される。〈この景色を作るために自然はどれだけのエネルギーと時間と偶然を必要としたんだろうな〉〈人間の時間感覚とは全く違う(略)スケールで動いているからだ〉など、ナギさんの名言に心が揺さぶられずにはいられない。

白黒の線で鉱石の輝きを表現するのは難易度が高そうだが、

「むしろ、そういう宝石などの見せ場を描いているときがいちばん楽しいですね。山の中など自然を描くのも、自分がここにどんな樹や岩を置こうかと自由にデザインできるので、楽しいです」

鉱物採集の魅力をルリやナギさんと一緒に楽しんでいる気分になれる。

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『瑠璃の宝石』1 火山国で4枚ものプレートがひしめき合う日本は、種類が世界有数の鉱物産出国だそう。2巻は、サファイア採集を軸にしたストーリーになるらしい。KADOKAWA 680円 ©渋谷圭一郎/KADOKAWA

しぶや・けいいちろう 群馬県出身。理科教員などを経て、リケジョの部活マンガ『大科学少女』(双葉社)で連載デビュー。現在、本作を『ハルタ』で連載中。

※『anan』2021年2月17日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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