自分の夢はもっと上。いまはまだその途中です。
朝ドラ『ひよっこ』での優しく爽やかな好青年から一転、ドラマ『今日から俺は!!』では、目つきが悪く非道な不良高校生を演じ、そのギャップに驚いた人も多かったはず。最近では、『きのう何食べた?』で演じた、マッチョな彼氏を振り回す小悪魔“ジルベール”役も話題に。作品ごとに違う顔を見せる磯村勇斗さん。次回作は、なんと初のミュージカル。舞台『プレイハウス』で演じるのは、幼少期からモテまくってきたカリスマホスト。
――まずは、目前に控える初のミュージカルについて伺えますか。
磯村:自分がミュージカルをやるイメージがなかったので驚きましたけれど、ひとつ挑戦の場所だなと思っています。作・演出の根本宗子さんとは今回が初ですが、何を考えているか読めない、独自の世界観を持っていらっしゃるように感じます。隙を探られているような、見透かされているような…。
――歌はお好きだったんですか。
磯村:全然。好きでもないし、嫌いでもなくて。友達とカラオケに行くことはありますが、人前で歌うということはしてこなかったので、どういうことになるのか、いまはまったくわからない状態です。
――今回演じる役が、モテてモテて仕方ない男だそうですけど…。
磯村:僕が根本さんに幼稚園の頃のモテエピソードを話したので、そこから繋がっているのかもしれません。僕のモテ期のピークが幼稚園時代で、園の女の子を全員並ばせてキスしてたっていう(笑)。いまじゃ味わえないような、まさにホスト状態ですよね。
――きっと「そんなことないです」とおっしゃられると思うのですが、幼稚園がピークと言いつつ、ずっとモテ人生でしたよね。
磯村:そんなことないです(笑)。小学生の時に、イケメンの男の子がいて、その子と張り合っていた記憶はあります。誰々と誰々は、○○くんのことが好きだけど、あの子は俺のことが好きだから、俺の方がひとり多いな、とか考えたりして。小5~6くらいの頃ですけど。
――中高の頃は?
磯村:その時期はバスケットに夢中になっていたんで…。でもまあ、中学生の頃は、試合があると他校の女子から黄色い声援はもらっていました。ただ、中高になると、幼稚園や小学校の頃のモテとは感覚が変わってて、ちょっと照れもあったりして。気になる子がいても、自分からオラオラ行けるような感じではなかったので、どうやって話しかけようかとか、連絡先を交換するのにも躊躇したりして。
――でも、磯村さんの存在は、他校にまで轟いていたんですね。
磯村:そうですね…すみません(笑)。
――俳優を目指したのは、そういったことも理由に?
磯村:それはなかったですね。僕、モテるから俳優になろうっていう気持ちはまったくなくて。中学の時に友達同士で映画を作ったことがすごく楽しくて、純粋に俳優って面白いな、もっとやってみたいなって思って。その時はまだ軽い気持ちでしたけど。
――でも、そこから俳優への夢を諦めることなく切り拓いていったわけです。ここまで順風満帆ではなかったのに、その夢を持ち続けてこられたのはなぜなんでしょう。
磯村:なんでしょうね…。デビューして5年になりますが、それより前… 10何年ずっと思い続けていたわけです。この世界を見てみたい気持ちと、もちろん有名になりたいというのもあったと思います。マイケル・ジャクソンのライブ映像を見た時に、あれだけの影響を与えられる人にどうしたらなれるんだろうって思ったのは覚えています。もともと、こうと決めたら、とことんやらないと気が済まないっていうところはありましたけど熱しやすくて冷めやすい。でも、この俳優だけは、冷めることなく突き通してきたんですよね。
――いまその夢が叶えられている状況をどう思っていらっしゃいます? やったー、みたいな…。
磯村:やったーっていうのはないですね。当時の自分が見ていた夢はもっと上のすごいところにあって、いまはまだその途中なので、まだまだがんばらなきゃなっていう。この仕事にはゴールがないし、正解もないんです。この仕事を続けている限り、その状況は変わらないし、やり続けなきゃいけないですし。もちろん、作品が撮り終わって、放送を見て解放感に満たされるみたいなことはありますけど。
――ここまで本当に役の振り幅が大きいですよね。
磯村:どんな役でも挑戦したいっていう気持ちなんです。
――とくにやっていて面白かった役はありますか?
磯村:どの役も、役作りしている間が面白いし楽しいですね。だから、そういう意味でいうと、役作りが必要な役ほどやり甲斐を感じているのかもしれません。
――これまでに役作りが難しかった役はありますか?
磯村:ジルベールに関しては、同性愛者の役が初めてだったので、その感覚がどういうものか、調べたり、人から聞いたりして、結構勉強しましたね。あと、『今日から俺は!!』では、極悪な人物ってどういう人なんだろうって思って、そういう資料を結構漁ってました。
――映画やドラマを参考にされることが多いんですか?
磯村:作品も好きですけれど、どちらかというとリアルを知りたくて、役作りに関しては、本とか新聞とか、映像でもインタビューとかドキュメンタリーを見るようにしています。実際に、どういう表情で、どういうしゃべり方をするのか、そこに興味があるんです。
――役作りは、普段からそうやってされているんですか。
磯村:役にもよりますけれど、自分にないものはインプットするしかないなって思って。それは高校…じゃないな…小劇場をあちこち回っていた時に見つけた方法です。
主演舞台PARCOプロデュース2019『プレイハウス』は、8月25日(日)~9月1日(日)東京芸術劇場 プレイハウスで上演。作・演出は根本宗子さん。磯村さんと主演を務めるのは、異色アイドルグループ・GANG PARADE。磯村さんにとっても根本さんにとっても今作が初のミュージカルに。パルコステージ TEL:03・3477・5858
いそむら・はやと 1992年9月11日生まれ。静岡県出身。2015年に『仮面ライダーゴースト』で注目され、‘17年の朝の連続テレビ小説『ひよっこ』のヒデ役で人気に。近作に、ドラマ『今日から俺は!!』『きのう何食べた?』など。現在、出演ドラマ『サ道』(テレビ東京)、『TWO WEEKS』(カンテレ・フジテレビ系)が放送中。
シャツ¥32,000(フランク&アイリーン/サザビーリーグ TEL:03・5412・1937) パンツ¥14,800 サンダル¥18,000(共にアバハウス/アバハウス 原宿 TEL:03・5466・5700)
※『anan』2019年8月28日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・齋藤良介 ヘア&メイク・佐藤友勝 インタビュー、文・望月リサ
(by anan編集部)
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