昨年は「国際量子科学技術年」。それに合わせて大阪・関西万博では「エンタングル・モーメント―[量子・海・宇宙]×芸術」展が開催された。
“量子ネイティブ”が夢見る、宇宙とアートの新しい地平線へ
本展はその試みを踏まえ、アートと最新のサイエンス領域の研究成果から、私たちをとりまく世界を再考察しようというもの。
宇宙開発技術の発達、そして量子研究の進歩は私たちの宇宙観、世界観を大きく変えようとしている。例えば火星に探査機が送り込まれ、物理的な観測が進む一方で、量子物理学は多元宇宙(マルチバース)のアイデアを生み、量子力学を適用した量子宇宙論は宇宙の成り立ちを解き明かす画期的な仮説を提供している。
本展はこうした最新の宇宙観を作品表現や技術・資料の展示を通して取り上げる。宇宙や量子の研究データを可視・可聴化したダイナミックな映像インスタレーションや宇宙から降り注ぐミューオンやニュートリノなどの素粒子を身近に感じさせる試みのほか、国内外の研究機関で行われたアーティスト・イン・レジデンスの成果として、アーティストの視点から「宇宙」をとらえた作品も展示。メタバースやXR展示などアート表現の拡張を狙った試みに注目だ。また参加アーティストと研究者らによるトークイベントも。テーマは“かさねあわせ・もつれ・かんそく”など量子的な概念に基づく創造的思考について。量子の知識や技術を使いこなし新しい発想を生む“量子ネイティブ”な創造性に触れ、次の100年を思い描いてみたい。

落合陽一《リキッドユニバースII》2024年
生成AIが生み出す海洋生物や龍の姿が変化し続ける映像展示。「デジタルネイチャー(計算機自然)」の概念のもと神秘と科学、物質と非物質の境界を超えて流転する世界を表現。

安藤英由樹+田中成典《量子生命閃視(せんし)》2025年
高速な眼球運動(saccade)を利用し、縦1列に並んだ光源を網膜上で2次元の画像として認識させる装置「サッカードディスプレイ」を体験。空間に画像が浮かび上がって見える。
information
ミッション∞ インフィニティ|宇宙+量子+芸術
東京都現代美術館 企画展示室B2 、ホワイエほか 東京都江東区三好4-1-1 開催中~5月6日(水)10時~18時(入場は閉館の30分前まで) 月曜(2/23、5/4は開館)、2/24休 一般1800円ほか TEL. 03-5245-4111(代表)
anan 2482号(2026年2月4日発売)より



















