夜に心がけたい、入浴と睡眠シーンでの温活。お風呂で温めたカラダを寝るまで冷まさないために、どんなメソッドを取り入れるといいのでしょうか。
冷えにくいカラダをつくり温活の効果を上げるには、習慣化すべき対策を日々実践できているかに尽きる。ただ、やるべきことがあまりに多いと、続ける気持ちも萎えてしまうもの。
「誰でも温め効果を感じられ、続けることで心身の変化も早めに感じられるのが入浴です。疲れやすい、むくみやすい、肌のトラブルや月経の悩みなど、冷えに関わるトラブルがあるなら、入浴を最優先に取り入れてください」(医師・石原新菜さん)
入浴とセットで考えてほしいのが、睡眠環境を整えること。
「温活に上質な睡眠は欠かせません。カラダが芯まで温まり、その後体温が下がっていくことで、深い眠りに誘導できます。よく眠れれば自律神経が整い、日中も冷えに負けないカラダが維持できるのです」(睡眠コンサルタント・友野なおさん)
そこで今回は、入浴と睡眠という夜の2大ジャンルに注目し、温活の効果を最大限に上げるための方法を挙げてもらった。
「入浴の温め効果が上がるよう、カラダのメカニズムに合わせた提案です。人それぞれの体質や性格もあるので、取り入れやすそうなものから実践し、変化を感じてください」(石原さん)
実践あるのみ! 温活20TIPS

生活に取り入れるTIPSを増やすほど、冷えないカラダが手に入る!(スマートフォンでは指でズームしてご覧ください)
① 入浴前の1杯の飲み物で冷えたお腹を温める
お風呂に入ってもなかなか温まりにくい人は、入浴前に温かい飲み物でお腹を温めよう。「カフェインは眠りを妨げるので、白湯がおすすめ。生姜やシナモンなど、温め効果の高い食材をプラスするとさらにいいでしょう」(石原さん)
② 体温のリズムに合わせて、入浴は就寝の1時間前までに
体温の下がるタイミングと就寝が重なるように入浴時間を設定したい。「眠る時間から逆算して、1時間半~1時間前には終わらせるようにしましょう。さらに晩ごはんはそれより前。寝る2~3時間前に終わらせたいですね」(石原さん)
③ 寒暖差を感じにくいよう、浴室と脱衣所の室温を揃える
浴室と脱衣所に室温の差がありすぎると、ヒートショックという問題が。「高齢者は命の危険がありますし、若い人も温度差はストレスになります。コンパクトなファンヒーターで脱衣所を温めるなど、対策を講じましょう」(石原さん)
④ 入浴前にスクワット30回、全身の血流をアップさせて
お風呂に入る前にスクワット30回を習慣づけると、血流が改善され、入浴の温め効果をより早く感じられるように。「運動不足も冷えの原因。下半身の筋肉をしっかり鍛えることで、日中の冷え対策にもなり一石二鳥です」(石原さん)
⑤ お湯の適温は、熱すぎずぬるすぎない41°C
カラダを芯から温める適温がある。「熱すぎると交感神経を刺激し、心臓に負担がかかりますし、ぬるいと温まりきれません。適温は40~41°C。額にじんわり汗が出る程度をキープして。汗は体温が1°C上がったサインです」(石原さん)
⑥ 肩まで浸かり、10~15分。しっかり全身を温めて
冬場はしっかり全身を温めたいので、肩まで浸かる。「お風呂の水圧で足に溜まった血液が押し上げられて血液の循環が促進されます。ただ、長時間の入浴は逆にカラダを疲れさせ、皮膚も乾燥するので10~15分を目安にして」(石原さん)
⑦ まっさらなお湯より効果アリ。入浴剤のサポートでぽかぽか
まっさらなお湯より、温浴効果や保湿効果のある入浴剤を上手に取り入れたい。「私も、薬効があるものなど普段から様々な入浴剤を使っています。香りによるリラックス効果も期待できるので、お風呂には欠かせません」(石原さん)
⑧ 温まった熱を逃さない、冷水シャワーで仕上げを
冷え症対策に注目されているのが、カラダが温まったお風呂上がりの冷水シャワー。「血行促進、肌の引き締めなど様々な効果が期待できます。私は慣れているので全身に浴びますが、最初は足元だけでも。数十秒で十分です」(石原さん)
⑨ バスルームから出たら、冷えやすい足元を即保温
せっかく温まったカラダを冷やさないのが肝心。「冷えは足元からくるので、お風呂から出たらすぐ水気をしっかり拭き取った後、レッグウォーマーを。お腹が冷える人は腹巻きも忘れずに。髪の毛を乾かすのはその後です」(石原さん)
⑩ ベッドまわりの適温、16~23°Cで室温管理
体温が下がっていく眠りのメカニズムを妨げない室温管理が大事。「暖かすぎず、寒すぎない16~23°Cでコントロールを。自分が寝ている所が適温になるよう、サーキュレーターを使って空気を循環させるといいですよ」(友野さん)
⑪ ひどい足冷え対策に。足首をドライヤーで温める
足の冷えを感じる人は、髪の毛を乾かしながらドライヤーで足首を温めて。「火傷しないよう熱すぎない位置で、レッグウォーマーの上から温風を断続的に1分ほど足首に。冷えがひどいならもう少し長くてもOKです」(友野さん)
⑫ 副交感神経を優位にする、4・6呼吸で整えて
副交感神経を優位にするには、深呼吸が手っ取り早い。「吐く長さが吸う長さの2倍になるといいんですが、最初は4秒吸い、6秒吐く4・6呼吸法で。慣れてきたら吐く時間をゆっくりにして、全部吐き切るのがコツです」(友野さん)
⑬ カラダの緊張を解くストレッチを取り入れる
深呼吸をしながらストレッチを行うと、心身のリラックスがより深まる。「汗をかかない程度に、呼吸と連動して行うといいでしょう。日中詰まりがちな胸を開いたり、コリやすい首や肩をほぐせば眠りの質も上がります」(友野さん)
⑭ 海外でエビデンスもアリ。6分間の読書でリラックス
イギリスの調査で、寝る前の6分間の読書が安眠に効果あり、という報告が。「おすすめは低学年の子供が読むような本。ほっこりした気分になる内容がいいですね。6分にこだわらず、眠くなったらやめる程度の気持ちで」(友野さん)
⑮ 10分間炎を見つめるだけ。キャンドルの癒し効果を得る
心配事などで頭が冴えないよう、瞑想を勧める人も多い。「キャンドルの炎を見つめていると瞑想状態に近づき、炎の揺らぎ効果でリラックスできます。時間は10分で十分。読書同様に目安時間なので自分の感覚で決めて」(友野さん)
⑯ ゆっくり温度が下がっていく、湯たんぽで寝床を温めて
寝床を温めるなら、体温リズムを妨げないよう注意したい。「湯たんぽは朝に向け、ゆっくり温度が下がっていくので最適なアイテム。電気式のものを使う場合は、タイマーをセットしてずっと高温で温めないようにしましょう」(友野さん)
⑰ “頭寒足熱”は一年中。通気性のいい枕を使おう
良質な睡眠のためには、“頭寒足熱”が年中有効。寝ている間、頭から放熱されるが、これは脳の活動を抑え、体温を下げるための自然な生理現象。「枕に熱がこもらないよう、通気性のいい枕を選び、放熱をサポートしましょう」(友野さん)
⑱ カラダにフィットする布団で、肩が冷えるのを避ける
冬場の布団は、カラダのラインに沿ってフィットするドレープ性が高いものがおすすめ。「肩口や足元などに隙間ができにくく、冷気の侵入を防ぎ、保温力が高まります。ドレープ性に優れた羽毛布団がおすすめです」(友野さん)
⑲ 靴下を履いて寝たいなら、ゆるゆるレッグウォーマーを
足の冷えが気になる人は、靴下ではなくレッグウォーマーを選びたい。「指先まであると睡眠中の放熱を妨げるので、温めすぎない薄手でゆるいレッグウォーマーがベスト。脱ぎたくなったら足を使えばすぐ脱げるので便利です」(友野さん)
⑳ 冬場の寝巻きは、長袖長ズボン1択
快適な眠りをサポートしてくれる寝巻き選びも重要。「長袖長ズボンはマスト。冬でも寝汗をかくので、汗冷えしないよう吸湿性があって蒸れない素材を選んで。インナーを着るなら、吸湿速乾性のあるものを身につけましょう」(友野さん)
お話を伺った方々
Profile
友野なお
睡眠コンサルタント。自身が睡眠を改善したことにより、15kgのダイエットと重度のパニック障害の克服などに成功した経験から、睡眠を専門的に研究。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを発信する。
石原新菜
医師。「イシハラクリニック」副院長。漢方医学、自然療法、食事療法を取り入れ、様々な病気の治療にあたる。テレビやラジオ、雑誌などで温活情報を発信。『カラダを温めて冷えをとる! 温活365日』(内外出版社)など著書多数。
anan 2476号(2025年12月17日発売)より

























