女性の体調に大きく影響するホルモンのバイオリズム。その変化に振り回されるのではなく、時期に合わせた“リズムケア”で、いつでも自分らしいコンディションを維持して快適に過ごしませんか。
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バイオリズムを把握し“リズムケア”を取り入れて
月経周期は4つに分かれ、それぞれ体調や気分に違いがある。その変化に大きく影響するのが女性ホルモン。
「自身の体と心が、女性ホルモンによってどう変わるのか。そのリズムを周期ごとに正しく理解することがセルフケアのベースとなり、ホルモンの影響に振り回されず、日々をより快適に過ごすために大切です」とは産婦人科医の岡田有香さん。4つの期間のうち女性の心身にとって特に負担が大きく、リズムケアの重要性が増すのが、月経期にあたる“リセット期”と、次の月経が始まる前の“アンバランス期”。
「リセット期は月経痛に悩まされる方が多く、アンバランス期には、約6割の方に月経前症候群(PMS)が現れるといわれています。ホルモン的にカフェインや糖分が欲しくなりますが、PMSを悪化させる要因になるので、カフェインは1日1杯、ケーキなど重ためのスイーツは週1回にとどめて」
そうはいってもリズムに神経質になりすぎない程度に、無理のない範囲でケアを取り入れることが大事。
「あくまでも自分の機嫌を取るため、心地よい自分のため、という目的に沿ってストイックになりすぎず、自分のペースでケアしてみてください」
女性のバイオリズムって?
女性の心身に大きな影響を及ぼすのが、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量。1回の月経周期で、どんな変化が起こるのか知っておこう。

上のグラフは、28日周期の場合のもの。リセット期に、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量がぐんと下がる。キラキラ期にエストロゲンの分泌量がピークも迎えるとその後、排卵が起こる。
排卵前後の時期で、プロゲステロンの分泌量が増え始めるのがニュートラル期。アンバランス期は、プロゲステロンが前半は増加し、後半は減少していく。
バイオリズムの中の4つのターム
① リセット期
心身の辛さとともに子宮環境をリセット
妊娠していない場合、子宮内膜が剥がれ落ち血液と共に体外に排出される。
「この時、子宮を収縮させて、経血を押し出すプロスタグランジンというホルモンが月経痛を引き起こします。毎月痛み止めを服用する人はかなり生理が重く、月経困難症といえるでしょう。多いのは下腹部の痛みで、頭痛や吐き気を伴うことも。イライラしたり憂鬱になったりと、精神的にも辛い時期です。起き上がれないほどしんどい場合は、子宮内膜症などの病気が隠れている可能性があるので、婦人科を受診してください」
② キラキラ期
エストロゲンのおかげで活力がみなぎり絶好調!
約7日の月経期=リセット期を終えるとキラキラ期へ。分泌量が増えるエストロゲンの働きにより、心身ともに絶好調!
「排卵を迎えるまでのこの約1週間は、月経周期の中で、快適に過ごせる唯一ともいえる素晴らしい期間です。ご自分が好きなことを思い切り楽しみましょう」
キラキラ期は肌のコンディションも整い、新しい化粧品にトライするにはうってつけ。
「仮に肌が荒れても、それが月経によって起きたのか、その化粧品の影響なのか、判断しやすいという意味で、キラキラ期に試すのはいいと思います」
③ ニュートラル期
体も心も穏やか。後半は月経前症候群に注意
ニュートラル期はその名の通り、比較的安定した期間。ただ、後半に月経前症候群が始まり、不調を感じる人もいる。
「この時期の大きな特徴は、おりものが増えること。おりものシートを使う際は2~3時間で交換を。半日、なかには一日中つけっぱしの人がいますが、ムレが雑菌を増殖させ、カンジダ症などにかかりやすくなります。また、ニュートラル期の排卵日は、妊娠を希望する人にとって非常に重要な日。体温を記録するよりも排卵検査薬のほうがより正確にタイミングを知ることができます」
④ アンバランス期
さまざまな不調が現れるので無理は禁物
月経前症候群の症状が現れるこの時期は、メンタルと体調が不安定に…。この時期に摂るといいといわれている成分がトリプトファン。
「脳内のセロトニンが足りず、気分のアップダウンが起こりやすくなります。そのセロトニンの生成に欠かせないのがトリプトファンで、バナナや納豆に多く含まれています。こうしたものを朝食べるのがおすすめです」
肌のコンディションも乱れがち…。
「プロゲステロンが増加したり減少したりする変動の影響で、ニキビが出やすくなることがあります」
お話を伺った方
Profile
岡田有香
日本産科婦人科学会専門医。聖路加国際病院、杉山産婦人科を経て、グレイス杉山クリニックSHIBUYA院長に。若い世代に早くから、生理や妊活、卵子凍結など、正しい知識を身につけてほしいと、SNSでの発信を続ける。
anan 2472号(2025年11月19日発売)より






























