
首がにゅっと前に出て、顔から顎が突き出ている…そんな“スマホ首”になっていませんか? 整形外科医の中村格子先生とパーソナルトレーナーのユウトレ先生にお話をうかがいました。
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スマホ首とは…

正常な頸椎は、前方に緩やかにカーブをしているもの。スマホ首はそのカーブがなくなり、首に過度な負担がかかっている状態のこと。
左横から見たとき、本来はアルファベットのCのような形に軽くカーブを描いているはずの頸椎が、まっすぐ前に突き出ている状態。それに伴い顔も前に出てしまう。
自分でできる、スマホ首チェックリスト
・壁に背を向けて立ち、かかと、お尻、肩甲骨を壁につけたとき、後頭部だけ壁につかない。
・頭を壁につけて立ったとき、上手くうなずけない。
・普段の姿勢を横から見たとき、耳が肩より前に出ている。
・肩こり、頭痛が出やすい。
・歯を食いしばりがち。
スマホ首で起こる問題
うつむく、覗き込む、その姿勢がダメ…
その名の通り、スマホやタブレットの使いすぎが招くトラブル。うつむいての操作や、小さい画面を覗き込むように見ることが主な原因。
「頸椎がまっすぐになってしまい、曲がらない。首がにゅっと前に出ていて、さらに顎が突き出る場合もあります。頭の位置が前に倒れることで、後頭部にある筋肉が緊張し、肩や首のコリ、人によっては頭痛が発生。また顎のたるみとも関係があり、若いのに二重あごや口角が下がるといったことも。悪化すると手足のしびれが生じたり、ひどい場合は椎間板ヘルニアに発展するリスクもあります」(整形外科医・中村格子先生)
スマホ首改善エクササイズ
首が前に出た状態で筋肉がかたまることで生じる、スマホ首。まずは首まわりの筋肉をほぐすことから始め、首の自然なカーブを取り戻しましょう。
スマホ首改善エクササイズ1:バンザイ呼吸
首の緊張は呼吸との関係が深いので、適切な呼吸をできるようになると、首の緊張がやわらぎます。ベッドの上でもでき、手を上げて深呼吸するだけ。簡単!
HOW TO
1、仰向けに寝て膝を立て、息をしっかり吐き切る。
2、両手を下から上げていき、そのままバンザイの姿勢に。上げた手は床につけない。
3、そのまま深呼吸。胸にたっぷり息を吸い込み、吐き切る。5回繰り返す。
スマホ首改善エクササイズ2:かべ前屈
壁につけた頭をズズズ~と下に下げていき、背中の上部から後頭部までをじんわりと伸ばすエクササイズ。背骨が伸ばされることで周辺の緊張が緩和され、姿勢が改善。体の背面が伸びていく心地よさを味わって!
HOW TO
1、壁に向かって立ち、頭を壁につける。
2、体の力を抜いて、ゆっくり深呼吸を繰り返しながら徐々に頭を落としていき、首の後ろから背中の上部までを壁につける。
3、20秒ほどキープし、ゆっくり上半身を上げる。
スマホ首改善エクササイズ3:肩甲骨ロウ
“ロウ”とは“引く”という意味。僧帽筋下部に刺激を与え、肩甲骨を下に引き、胸を開いて、胸から上の背骨をしっかり伸ばす。ラクにできる人は、3の状態のあと腕を羽のように上下に動かすと、より負荷がかかります。
HOW TO
1、うつぶせに寝て顎を引き、息を吐き切る。手のひらは天井に向ける。首を伸ばす。
2、胸の辺りから徐々に上半身を上げていく。顎は引いたまま。
3、腕を軽く持ち上げ、手のひらを裏返し、そのままゆっくり深呼吸。10秒キープ。5回繰り返す。
Profile
中村格子
なかむら・かくこ 整形外科医。「Dr.KAKUKOスポーツクリニック」院長。著書に『硬い体をほぐす かんたんストレッチ』(成美堂出版)など。アスリートからの信頼も厚い。
ユウトレ
パーソナルトレーナー。ピラティス&パーソナルジム「NewAns西新宿」代表。毎日SNSでエクササイズ情報などを発信。ベストセラー本『立ち腹筋』(ワニブックス)など。
anan 2465号(2025年10月1日発売)より