眠りの質に大きく関わるのが、睡眠環境。2人の眠りのエキスパートが、3つのステップで理想の睡眠環境への道を伝授。
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ぐっすり眠りたいなら、脳を刺激するものを排除!
理想の睡眠環境をつくるには、自分基準で快・不快の“不快”を徹底的に排除していくことが大事。
「特に熱帯夜が続く時期には、温度・湿度のコントロールが最優先です」(医師・中村真樹さん)
寝つきが悪い、眠りが浅いなど、睡眠の質に関する悩みは、環境を変えると改善することも多い。
「睡眠の質を高めるには、活動時間のオンと、睡眠時間のオフの切り替えがポイントです。睡眠前と睡眠中、脳に刺激を与えないようにするため、眠りに関係ないものはベッドまわりに置かず、寝るだけの場所に整え直しましょう」(睡眠コーチ・サトウ未来さん)
ベッドを整えたら、睡眠を妨げる光や音など、睡眠環境を構成する各要素を基に、全体を見直そう。
「主観が大事なので、自分の正解を見つけてください」(中村さん)
【睡眠環境STEP1】最適な温度・湿度の設定が最優先

高温・高湿度では中途覚醒が増え、眠りが浅くなるというデータがある。
「睡眠の最適湿度は一年を通して50~60%です。温度は、夏の適温は27~28°Cとされていましたが、蒸し暑さで眠れない人は25°Cでもいいでしょう。合計7~8時間眠れても、途中何度も目覚めてしまう睡眠と、一度も目覚めない睡眠では、眠りの質が全く違います。できるだけ連続して眠り続けられるような設定を心がけましょう」(中村さん)
また、自分でできる体温調整も役立つ。
「上昇した体温が低下しだすタイミングが寝つきやすいので、入浴は寝る1~2時間前に。暑い夏はシャワーで済ませがちですが、副交感神経に切り替えるため、リラックス効果がある入浴をおすすめします」(中村さん)
【睡眠環境STEP2】睡眠に関係のないものはとにかく断捨離!

自宅でオンとオフをしっかり分けたくても、一人暮らしだとベッドルームを設けられない場合も多い。さらにソファ代わりに使ったり、ベッドの上で仕事や食事をしている人もいるかもしれない。
「ベッドを多目的に使うのはNGです。脳は習慣に影響されるので、ベッドで色々なことをやっていると、寝る場所ではないと脳にインプットされてしまいます」(サトウさん)
そこで、ベッドまわりは睡眠に関係ないものを断捨離。脳を刺激する、仕事関連やゲーム機などをベッドから撤去し、スマホもベッド付近に置かない。
「自分の体を癒す、神聖な場所につくり替えましょう。睡眠だけに使うようにすれば、ベッドに移動した途端眠気が襲うようになりますよ」(サトウさん)
【睡眠環境STEP3】光や音など、睡眠環境を構成する各要素に着目

就寝前に心身の興奮を鎮めるには、少なくとも90分は必要といわれている。逆算すれば、眠りにつきたい時間の2時間前にはリラックスモードに変更していく必要がある。
「光、音などを脳を刺激するものから優しいものに切り替え、リラックスできる香りなどの力で、心身をオフモードにしていきます」(サトウさん)
脳を刺激せず、ぐっすり眠るためには、真っ暗で無音な状態が本来は正解。
「それでは不安という人もいます。ある程度は正解に近づけつつ、自分が安心して眠れる環境を探ってみるといいでしょう」(中村さん)
お話を伺った方々
Profile
中村真樹
日本睡眠学会総合専門医、日本精神神経学会精神科専門医。「青山・表参道睡眠ストレスクリニック」院長として診断、治療に従事。著書に『仕事が冴える「眠活法」:疲れを「リセット」する 脳を「活性化」する』(三笠書房)がある。
サトウ未来
睡眠コーチ。睡眠を軸に、健康とコンディションづくりをサポート。“睡眠を整えれば、人生が整う”をモットーに、持続可能なセルフケアを提案し、延べ10万人以上の人を支援。著書に『働く女子のための睡眠革命』(光文社)。
anan 2460号(2025年8月27日発売)より