【温活】カラダを温めて血流アップを! 免疫細胞を全身に届けよう

ウェルネス
2025.03.23

免疫機能を維持するために毎日の生活で意識したいアクションとは? ここでは、カラダを温める温活に注目します。

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INDEX

    免疫の働きを高めるために、良いサイクルを生み出す。

    春は新生活が始まったり、季節の変わり目で免疫機能が低下しがち。様々な不調を引き起こす前に、免疫と密接に関わる温活、眠活、心活を意識した生活習慣を心がけることが特に大切になってくると、それぞれの識者は話す。

    「寒い冬はしっかりと温活をしていたけれど、春は暖かくなってきたからとサボる人が多くいます。しかし免疫細胞は365日カラダを守るために働いているので油断は禁物です」(内科医・石原新菜先生)。「近年の研究で、免疫細胞は深く眠っている時に活性化されることが分かってきました。なので、深い睡眠を確実に得るための眠活は欠かせません」(東京大学大学院睡眠生理学研究室教授・林悠先生)。「環境の変化などで緊張感やストレスを感じやすいこの時期は、自律神経のバランスが乱れやすく、自律神経が乱れると免疫のバランスも乱れます。その乱れを最小限に抑えるために心身を健やかに保つことが必要です」(神経内科医・久手堅司先生)

    温活、眠活、心活は共に深く関係し合う。たとえばカラダが温かいと良い睡眠に繋がり、ストレスも解消されるなど、良いサイクルが生まれるため、自然と免疫機能も維持しやすくなる!

    カラダを温めて血流アップを! 免疫細胞を全身に届けよう。

    「冷えは万病のもと」といわれるように、カラダの冷えは免疫機能にも大きな影響を与え、様々な体調不良を引き起こすそう。そこで内科医で温活ドクターの石原新菜先生に、免疫とカラダを温めることの重要性について伺った。

    ――免疫機能を維持するために、カラダを温めることがなぜよいのですか?

    みなさん、風邪をひいた時に熱が出た経験ありますよね? あれは発熱して体温を上げることで免疫細胞をよく働くようにして、細菌やウイルスへの攻撃力を高めているからです。私たちのカラダは、脳細胞や皮膚細胞、免疫細胞など何十兆もの細胞からできています。これらの細胞内では生命活動を維持するために膨大な種類の化学反応が起きていて、その活動をスムーズに行うために必要なのが酵素です。酵素は大体37°Cくらいの温度で最もよく働くため、体温は高い方がいいんです。

    ――それだと、免疫細胞に正常に働いてもらうためには、平熱が37°Cぐらいあった方がいいということですか?

    ワキの下で測る体温とお腹の中の体温は1°Cぐらい違うんですね。なので、酵素が働きやすくなるようにお腹の中の体温を37°Cに保つには、ワキの下で測る体温は36°C台であってほしい。今の日本人のワキ下体温は35.5~36.2°Cくらいが多いといわれています。35°C台だと酵素が十分に働かず、免疫細胞も活性化しにくくなります。

    ――免疫細胞は、体温が高い方が活性化するんですね。

    そうなんです。それに免疫細胞の中心となっている白血球は、血液に乗ってカラダの末端まで体内を巡り、細菌やウイルスなどの侵入がないかをパトロールしています。そして異物を発見したら素早く駆けつけて戦うのですが、カラダが冷えて血液の巡りが悪いと、発見も到着も間に合わずに、病気や様々な不調を引き起こしかねません。カラダを温める習慣を身につけて血流を良くしておけば、老廃物もしっかり排出され、代謝も上がるため、酵素や栄養分、免疫細胞などがカラダの隅々まで送り届けられ、免疫機能を正常に保つことができます。

    ――免疫機能を強化させる一番の温活は、ズバリ何でしょうか?

    湯船に浸かること! その理由は、熱めのお風呂に入ると“ヒートショックプロテイン”が増えるからです。

    ――ヒートショックプロテイン? ヒートショックは温度の急激な変化によってカラダがダメージを受けてしまうことですよね? 冬になるとニュースでよく見かけますが…。

    それとは全く違って、熱めの湯船に浸かるなど、熱によってカラダの中で産生されるタンパク質の一種で、傷んだ細胞を修復する役割があり、免疫細胞を活性化させてくれるんです。

    ――湯船に浸かると増える、そんな素敵なタンパク質があるなんて! 最近“風呂キャン”という言葉が流行っていて、面倒だからとお風呂に入らない人が多いと聞きますが…。

    それは絶対にダメ! もう掃除とかほかのことはキャンセルしてもいいから、お風呂だけは絶対にキャンセルしないでほしい!!

    ――湯船に毎日浸かること以外に、免疫機能を高めるために日頃から意識すべきことはありますか?

    カラダの中で最も冷やしてはいけないのがお腹。大切な臓器が集まっているので冷えて血流が悪くなると、様々な機能が低下します。特に腸は、食事や呼吸によって外から様々なものが運び込まれてくるため、腸の粘膜には免疫細胞の約7割が集まり門番の役割をしています。だから免疫の働きを良くするためにはお腹まわりを温めつつ、腸内環境を常に良い状態に保っておくことが大事。細胞の表面には“TLR”と呼ばれる免疫を活性化するスイッチがあるんですが、乳酸菌や酢酸菌といった善玉菌を摂取することで押されることが分かっています。ヒートショックプロテインもそうですが、私たちのカラダには免疫を働かせる機能が備わっているので、免疫が落ちやすい時期もしっかりとカラダに良いことをしてベースを作っておけば、機能が低下したり乱れる際の振り幅が小さくなるので、元気に過ごせるようになります。

    ※ヒートショックプロテイン
    細胞に熱刺激が加わることで作り出されるタンパク質。傷んだ細胞を修復したり、免疫細胞を活性化させる働きを持つ。

    ※TLR
    「Toll様受容体」の略語。カラダに侵入した病原体を見分けるセンサーで、主に自然免疫系の細胞が持っている。

    【血流をアップさせる温活習慣1】毎日、湯船に浸かる。

    ストレスによって損傷を受けた細胞をストレスがかかる前の状態に修復・保護する働きを持つヒートショックプロテイン。増やすためには、熱めの湯船に浸かるのが効果的。

    「40°Cのお湯に20分、または41°Cで15分、42°Cで10分程度浸かると、ヒートショックプロテインが作られやすいといわれています。熱による適度なストレスを与えることで、免疫機能の強化はもちろん、疲労回復や代謝アップ、ストレスに強くなるなど様々な効果が得られます」

    もしお風呂に入るのがどうしても面倒な時は、熱めの足湯に浸かりながらシャワー浴をすれば、ヒートショックプロテイン効果が見込める。

    「1000歩譲って、洗面器に43°Cくらいのお湯を溜めて、そこに足を入れた状態でシャワーを浴びるのもあり…、だけど毎日湯船に浸かるのが理想中の理想です!」

    【血流をアップさせる温活習慣2】常に腹巻きをする。

    腹巻きは、寒い日だけでなく365日毎日つけること。

    「私は19年前からどんなに暑い日でも1日も欠かさず腹巻きをつけています。腸を温めると蠕動運動が活発になり血流も良くなります。全身に温かい血液を送り届けることができるので、免疫機能はもちろん、様々な細胞が活性化されてカラダに良いことばかり。お腹が冷えて膀胱炎になる女性も多いですが、常に温めておけば菌が入っても、すぐに免疫システムが作動するので未然に防ぎやすくなります」

    ちなみに石原先生は、日中はアウターに響かないような薄手のパンツ一体型を、夜は厚手のものを愛用中。

    【血流をアップさせる温活習慣3】薬味・スパイスをちょい足しする。

    飲み物にはショウガやシナモンを、麺類や鍋物など食べ物には万能ネギ、ニンニク、ゆず、みょうがなどをちょい足しするだけで、カラダは温まりやすくなる。

    「薬味・スパイスは、血行・発汗促進効果があり温めパワーが高いだけでなく、抗酸化作用のある栄養素を含み、免疫アップにも繋がるものが多いんです。ちょい足しとはいえ、量が多いほど免疫機能は向上しやすいので、1回の量はケチらずにたっぷり、どっさりを意識して。また、薬味・スパイスの温活効果は、2~3時間程度しか持たないといわれているので、できるだけ毎食摂取することを心がけて」

    【血流をアップさせる温活習慣4】朝晩の寒暖差に注意する。

    季節の変わり目は寒暖差に振り回されやすく、免疫機能がダウンして、体調を崩したり自律神経が乱れたりするので、外出時の服装には特に注意が必要。

    「家を出る時は暖かくても、夜になると急激に冷え込むこともあるので、邪魔だと思ってもカーディガンなどの羽織ものや、薄手のアウターやストールなどの防寒になるものを、バッグに入れておいてほしいです。また基本の服装は、頭は温めすぎず、足は冷やさない“頭寒足熱ファッション”がベスト。血液が滞りやすい下半身を温めることで全身の巡りが良くなるので、レギンスなどで冷え対策を万全に」

    PROFILE プロフィール

    石原新菜先生

    内科医。イシハラクリニック副院長。“温活ドクター”として知られ、カラダを温めることの大切さを伝える活動に尽力。漢方医学、自然療法、食事療法に精通。『カラダを温めて冷えをとる! 温活365日』(内外出版社)をはじめ、著書多数。

    林 悠先生

    東京大学大学院理学系研究科睡眠生理学研究室教授、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構客員教授。“なぜ人は眠るのか”をテーマに研究を行う。新刊に『ぐっすり眠り、スッキリ目覚める! 明日が変わる 睡眠の科学大全』(ナツメ社)。

    久手堅(くでけん) 司先生

    神経内科医。せたがや内科・神経内科クリニック院長。医学博士。自律神経失調症外来、気象病・天気病外来、頭痛外来などの特殊外来を立ち上げ、不調に悩む患者と向き合う。共著に『不調がデフォな私たちの背骨リセット』(主婦と生活社)。

    マンガ&イラスト・サヲリブラウン 取材、文・鈴木恵美

    anan2439号(2025年3月19日発売)より

    MAGAZINE マガジン

    No.2439掲載2025年03月19日発売

    カラダが整う、免疫ケア 2025

    スギ花粉や黄砂などの刺激で肌が揺らいだり、年度の変わり目の忙しさでストレスが溜まったり…。今号ではバランスを崩してしまったカラダを整える体内の防御システム・免疫機能に着目。睡眠、運動、食事などすぐに役立つ、免疫を整えるための日々のケア方法を伝授します。注目の人に迫るCLOSE UPにはミュージカル『アメリカン・サイコ』に主演される髙木雄也さん(Hey! Say! JUMP)、井上一太さんが登場。

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