リーダー、縁の下の力持ち、調整役など、チームにはそれぞれのポジションが。でも、理想の位置と異なる現状に悩んでいる人も多いはず。そこで、理想のポジションを目指す上で押さえておきたい、6つのポイントの紹介します。
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集団はポジションがあるからこそ機能する
どんなチームでも、各メンバーには役割やポジションが割り当てられるのが一般的。それには理由があるのだそう。
「それぞれ異なる役割があることで、“その目的に向かうために自分は何をすればいいか”が明確になり、安心して動けるようになります。例えば旅行に出かけたとき、“私は運転手”“じゃあ私はナビ”“私はおやつ係”というように、それぞれ違う役割を持つと、スムーズに過ごせますよね。違う役割があるからこそメンバーは噛み合い、チームとして機能できる。それが、ポジションがある意義です」
そう話すのは、組織開発に関する専門家の長尾彰さん。
また、ITを通じて究極の適材適所を考える、そんなサービスを提供している会社の代表である仲暁子さんは、「人には得意不得意がありますが、一人ですべてを負うとなると、不得意なこともやらざるを得ない。でもチームなら、自分の不得意なことが得意な人もいるわけで、そこを見極めたポジションの配置があれば、得意なことしかやらなくてもいい、という可能性もあります。また、そういった差配が上手くいっているチームほど、よく機能していると思います」と話す。
では、どうやったらチーム内で自分が望むポジションに就くことができるのか? まずは理想のポジションを目指す上で押さえたい、6つのポイントの紹介からスタート!

イラスト左から、リーダー、サブリーダー、ムードメーカー、クラフトマン、キュレーター、ブレーン、サポーター。仕事でもハイキングでも、チームにはさまざまなポジションがある。
【リーダー】目指すべき方向を示し、チームを率いるまとめ役。
【サブリーダー】リーダーをそばで支えながら、グループ全体を俯瞰で観察。
【ムードメーカー】チームの雰囲気を左右する明るく優しいキャラクター。
【クラフトマン】コツコツと成果物を仕上げる我が道を行く職人肌。
【キュレーター】あまたの情報を集めてチームのために提供するアンテナ。
【ブレーン】状況や情報を整理して行き先を照らす頭脳。
【サポーター】人間関係からタスクまで、組織を良くする潤滑油。
【Point1】やりたいのはこれじゃない…。就きたいポジションとのギャップに悩む人が増加中
実務をやりたいのに調整ばかり。縁の下の力持ち的に働きたいのになぜかいつもリーダー…。読者世代にも、チームの中でやりたいポジションに就けないという人が多いのでは。
「人は“理想の自分”と“周囲から期待される自分”の両方の視線にさらされて生きていて、それがズレると葛藤が生まれます。今はSNSを通じ“理想像”が鮮明に見えるので、現実との落差を感じやすいのでは」(長尾さん)
「特に仕事においては、“これまでに何ができたか”という実績を重ねることで評価が高まり、それが次のポジションに繋がっていくもの。若いうちは経験が少ないので評価軸がなく、それゆえ望むポジションに就けないということもあるのでは」(仲さん)
【Point2】何がしたくて、何が向いている? 自己理解を深めることが望むポジションを取る第一歩
上司から役割を任命される場合もあれば、現場の雰囲気で気がついたらその役割に…というパターンも。いずれにしても、他者からの“あなたにこの役をお願いしたい”という気持ちがあることは間違いない。では人は、第三者のどんな様子を見ると、“この役割をお願いしたい”と思うのか。
「ある役割に対して、“私はこれが得意”という思いや、“これをやっているときに一番エネルギーが湧く”という感覚を持っている人は、自然とその役割にふさわしい振る舞いをしていたり、自信が滲み出ます。なので、まずは自分が何をしたいのか、何をしているときに喜びを感じるのか。そこを掘り下げ実践することが、自然と周囲へのアピールに繋がります」(長尾さん)
【Point3】就きたいポジションは言葉にしないと伝わらない。でも、言い方が大事
ポジションへの熱い気持ちと自信。やる気を放出すればきっと思いは通じる…!! ある意味それは事実だが、でも待つだけではなかなか時は来ない。
「“このポジションを務めたい”という希望を言葉にしないと、相手にはなかなか伝わりません。私としては、希望はどんどん口にしていくべきだと思います。上司からの任命の場合は上司に直接言ってもいいと思いますし、メンバー内でのゆるっとした割り振りなら、例えば飲み会とかで軽く言うだけでもいい。とはいえ、必ずしもその希望が通るとは限りません。特に持続的なチームや組織の場合、断られたときにわだかまりが残らないよう、明るく、あまりシリアスにならずに言うことも大事だと思います」(仲さん)
【Point4】他者評価を気にしすぎると『やる気がない人』と思われ、機会を逃す場合も…
欲しいポジションを得るには、適度な自己主張があることはもちろん、“あの人、あのポジションに向いているよね”とチーム内の人に思ってもらうというような、他人からの評価も必要になってくる。でもそこを気にしすぎると、かえってポジションを遠ざけることにもなりかねない、と長尾さん。
「周囲の評価を意識するのは人として自然なことですが、その思いが強くなりすぎて、行動がぎこちなくなったり、発言が消極的になる場合も。さらにその様子を見たチームメイトに、“やる気がない”とみなされてしまい、他の人にチャンスが回ってしまいます。チーム内での自分の評価を気にするより、チームにどう貢献できるかを考えることが大事です」
【Point5】チーム全体のためにも、避けたいポジションはきちんと伝えるべき
「プライベートであれば、どうしてもやりたくない役割の場合はそっとフェードアウトすればいいですが、会社のような持続的な人間関係があるチームの場合、なかなかそうもいかないですよね」(仲さん)
でも避けられない関係だからこそ、我慢する必要はない。
「誰にでも、合わないと感じる椅子はある。そう思ったときは水面下でなんとかしようとせずに、“それは苦手なんです”と正直に言うのが一番健全だと思います。避けたい役があるときは、“私はこういう役のほうが力を発揮できます”と、ポジティブに代替案を添えて伝えると、より建設的です。それが結果的に、チームにもプラスになると思います」(長尾さん)
【Point6】目指すポジションに就けなくても、それを前向きに捉えれば次のチャンスに繋がる
希望するポジションに就けない場合、“なぜ私がこの役割なの…”とモヤモヤするのも事実。
「でも、誰かがあなたに“これが向いていそうだからお願いしたい”と思い、そのポジションが巡ってきた側面も。まずは自分が評価された事実を前向きに捉え、与えられた役割に取り組んでみましょう。新しい経験を通じて“できること”が増え、結果的に、それが理想のポジションを引き寄せることもあり得ます」(仲さん)
「望まない役割だとしても、その席からしか見えない景色があります。そこで見たものや感じた気持ちは、確実に学びになり役立つ。今の席で楽しみを見出す人には、不思議と次に望むポジションが巡るものです」(長尾さん)
お話を伺った方々
Profile
長尾 彰
ながお・あきら 組織開発ファシリテーター。バンダイなどの勤務を経て独立。著書に『宇宙兄弟「完璧なリーダー」は、もういらない。』(学研プラス)、『チームビルティングと組織開発の話』(ナガオ考務店)など。
仲 暁子
なか・あきこ 1984年生まれ、千葉県出身。ビジネスSNS「ウォンテッドリー」創業者、代表取締役CEO。ゴールドマン・サックス証券、Facebook Japanを経て現職。
anan 2470号(2025年11月5日発売)より
MAGAZINE マガジン

No.2470掲載
The TEAM 2025
2025年11月05日発売
ひとつの目標を目指して集まり、個々の才能や長所が混じり合うことでより高いパワーを発揮することができるチーム。そんなチームの現代における理想的な形や形成するための条件など多角的に考察する特集です。エンターテインメント界における注目チームにもフォーカス。4人の光る個性と大人の魅力に磨きがかかるA.B.C-Zは、メンバー4人によるグラビア&座談会が必見必読。まもなく結成15年を迎える超特急からはリョウガさん、ユーキさん、シューヤさん、マサヒロさんが登場。そして今年20周年を迎えたHANDSOME LIVEからは小関裕太さん、渡邊圭祐さん、東島京さん、本島純政さんに思いを語っていただきました。






























