神奈川県の南西部に位置し相模湾に面した小さな港町・真鶴は、都心から電車でおよそ1時間半で訪れることができる。この土地では、真鶴港をはじめとした静かな海と半島の先端に広がる雄々しい森・通称「お林」、ダイビング発祥の地の一つともいわれる海岸「琴ヶ浜」、そして、漁業を長年支えた石材業で採れる「小松石」が名物だ。

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    新旧の視点が共存する、美しさに満ちた町を散歩

    神奈川県で面積が2番目に小さな市町村として、全体を歩いて回れるほどの大きさの町内を散歩していると、「どこから来たの」と声をかけられ、ちょっとした会話がうまれる。人の温かさにも驚かされながら周囲を見回すと、昔ながらの町並みが多く残っていることに気づく。真鶴で1993年に制定されたまちづくり条例「美の基準」、通称「美の条例」と呼ばれるデザインコードによる町づくりの工夫だ。例えば、「静かな背戸」「生きている屋外」「小さな人だまり」などのキーワード、いわゆる言葉を基準に設定されており、そこには数字が存在しない。生活風景を保存するために町の人たちが自ら行動を選択し、意識し合うことで守り続けた背景を知ると、真鶴の町歩きがより一層楽しくなる。

    駅前から港までゆったりと歩みを進めると、新しい趣を感じるお店も多数。真鶴ではここ数年で町外からの移住者が増え、新しさとクラシカルさが絶妙な塩梅で入り交じる町として日々、発展し魅力を増している。今回は押さえておきたい真鶴エリアでの注目スポットを紹介!

    タカヤナイ

    アジの開きの形がかわいい新名物。
    大正時代から駅前で営業し、町に根付いた洋菓子店として発展。アジの干物をかたどった真鶴の新銘菓、あじサブレ(6枚入り¥700)が人気。小田原港で水揚げされたアジを三枚におろして天日干し、粉末化し生地に練り込む。「青魚特有の臭みを消すために試行錯誤しました」とパティシエ吉川貞大さん。見た目のかわいさからお土産にも好評。

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    タカヤナイ

    足柄下郡真鶴町真鶴1812 TEL. 0465-68-0304 10:00~18:00 月・火曜休

    炉端焼き 傳

    老舗『魚伝』発、炭火で焼いた干物を海辺で。
    地元で根強い支持があるひもの専門店『魚伝』直営の定食店。海の真横に立地し、テラス席でも食事を楽しめる。1番人気はサバのみりん漬けを遠赤外線の炭火で焼いた「さばみりん定食」(¥1,500)。油がのった肉厚のサバは、表面はカリッと、身はふっくらと柔らかい。お土産に『魚伝』で干物をゲットしても◎。

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    炉端焼き 傳

    足柄下郡真鶴町真鶴1947-96 11:00 ~15:00(金曜のみ17:00~23:00も営業)

    草柳商店

    地元客も観光客も、共に酒を酌み交わす。
    つい足を運びたくなるこの店は港のすぐそば。店内は昭和の雰囲気が漂い、地酒を中心に銘酒が並ぶ。夜には地元の人々が集まり、連日酒宴が催される。観光客もウェルカムな輪の中で一際温かみある話を展開するのが、店主・草柳重成さんとお母さま、通称「あーちゃん」。酒を片手に重成さんのギター生演奏を聴きつつ、あーちゃんにお悩み相談したい。

    Information

    草柳商店

    足柄下郡真鶴町真鶴610 TEL. 0465-68-1255 11:00~ 木曜休

    真鶴ピザ食堂 KENNY

    新鮮な海の幸を使用した個性派ピザを堪能。
    真鶴駅前すぐ、駅前食堂を改装したアメリカンなピザ店。店主の向井研介さんは都内イタリアンで勤務後、真鶴に移住。地元産の新鮮な食材を使用した個性豊かなピザを提供。アジとうずわ(ソウダカツオ)のマリナーラ(¥1,300)は、アンチョビのようなうずわの旨味がトマトソースともよく合う。食事ピザは全16種でハーフ&ハーフも可能。

    Information

    真鶴ピザ食堂 KENNY

    足柄下郡真鶴町真鶴402-1 TEL. 0465-68-3388 営業の最新情報はSNSで発信中。

    あしたの箱

    こだわりの干物カレーを南インド形式で。
    半島へ歩を進めると現れるミントグリーン色の外観のカレー店。東京・恵比寿にチキンカレー専門店を構えていた店主の松平映子さんが真鶴に移住し、クラウドファンディングを経て2024年8月開店。海が見える店内で食べる本格カレーは日替わりで4種類から選べる。至極のチキンカレーと魚の干物カレーの2種盛り(¥1,580)は絶品。

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    あしたの箱

    足柄下郡真鶴町真鶴1162 11:30~17:00 月~水曜休

    港喫茶ペペコーヒー

    真鶴ゆかりの空間に浸って、休憩を。
    港沿いに一際目を引く墨字の「ペペコーヒー」の暖簾が目印。店主の松木一平さんは真鶴出身でUターン後、2022年に開業。割烹料理店を改装した空間に置かれた絵画などはすべて真鶴の作家によるもの。イチオシの真鶴ブレンドコーヒーは深みのある味わい。10月末までは真鶴産青みかんを使用したサイダーも提供。

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    港喫茶ペペコーヒー

    足柄下郡真鶴町真鶴965-23 9:00(土・日・祝日8:00)~17:00 月・火曜休、不定休

    パン屋秋日和

    真心こもったパンを町内散策のお供に。
    明るさが感じられる店内には、焼きたてパンのいい香り。何度か真鶴を訪れるうちに土地と人の温かさに惹かれた店主の清水秀一さんによる「食事の際も楽しめるパンを」との思いから、田舎パンなどのハード系をはじめとした豊富な種類が揃う。編集部のおすすめは、木曜限定のシナモンロール。ほのかな甘みの中にスパイスが感じられ、美味。

    Information

    パン屋秋日和

    足柄下郡真鶴町岩296-2 TEL. 0465-46-6215 11:00~17:00 日~火曜休

    HOTEL FARO manazuru

    全室オーシャンビューが楽しめるモダンなホテル。
    割烹旅館を改装して2023年に開業。サウナ付き貸切大浴場を完備し、犬と共に泊まれる客室も。1階には宿泊客以外も利用可能のレストランを併設し、地域や季節の食材を活かした料理やスイーツも楽しめる。

    Information

    HOTEL FARO manazuru

    足柄下郡真鶴町真鶴1374-1 TEL. 0465-46-6770 1室1名あたり・平日¥17,170~ チェックイン15:00 チェックアウト11:00 アクセス/真鶴駅から徒歩約20分、または真鶴道路沿い~真鶴駅前から車で約5分

    写真・前田一樹

    anan 2468号(2025年10月22日発売)より
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    No.2468掲載

    秋の推し旅2025

    2025年10月22日発売

    anan恒例の旅特集!今回は“大人の遠足旅”をテーマに国内外、この秋行きたい場所をピックアップ。朝ドラで注目の松江をはじめ、ワインや栗、新米を堪能する八ヶ岳&諏訪のヌーボー旅、いまおさえたい北陸3県ときめき旅のほか、旅慣れた賢者が勧めるタイ・ソウル・台北・香港の週末旅プランなど、内容盛りだくさん。 私たちの毎日を彩った、食、暮らし、健康、美容、ファッション、そしてカルチャーたち。その輝きの数々をキーワードに落とし込み、ジャンル別にあらためてピックアップ。今年大活躍の白石聖さん、しなこさんも豪華に登場!

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