食費、住居費、交際費…上限の目安は? お金のプロが“節約&お金の守り方”を伝授

ライフスタイル
2024.04.20
お金と向き合うなら、まずは家計の現状把握から! 〈使う力〉を鍛えてメリハリのある支出を目指し、貯蓄に回すゆとりを増やそう! ファイナンシャルプランナー・黒田尚子さんに話を聞きました。

節約&お金の守り方。今日から実践できる、家計見直し術。

「貯蓄できる金額がまだ少ないうちは、まず節約で貯蓄に回すゆとりを増やして。といっても、ケチケチ切り詰めていく節約は苦しいダイエットと同じで長続きしません。使うべきところは使い、削るべきところは削るメリハリ作りととらえると無理がなく、効果も高いのでおすすめです」(ファイナンシャルプランナー・黒田尚子さん)

まずは、洗い出した支出を元に、自分に合った予算を組むことから始めよう。ただ、人はロボットではないし、予算通りにいかないときや物欲に負けることだってある。自分の感情と上手につきあう方法を学ぶことも大切。

「節約は“知的なお作法”。根性論ではなく、自分がストレスなく守れるルールや、効果の高い方法を選択して、生活レベルを下げずにコストを抑えて貯蓄に回せるお金を増やしていきましょう!」

毎月の予算の目安を知る

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予算はメリハリが大事。現実に使える範囲で優先順位をつけていこう。
家計を管理していくうえで、欠かせないのが予算。食費はいくら、交際費はいくらと、使っていいお金の上限を意識しないと、支出は目の前の欲望に流され続けてしまう。では、果たしてどのぐらいの予算が適正なのか? あくまでも一例だが、黒田さんにライフスタイル別の目安を出してもらったので、実際の支出と照らし合わせてみよう。たとえば一人暮らしシングルの住居費の目安は、手取り収入の28%。手取り22万円なら、約6.2万円となる。

「ただ、この目安より多い場合はすべて使いすぎ、というわけではありません。基本的に貯蓄さえできていれば、残ったお金はどう配分してもOK。最初にお伝えしたように、お金は自分が満足できる使い方をするのが大切なので、削ってもいい費目と、逆に自分が譲れないところはどこかを考え、優先順位をつけながら予算を組んでみて」

自分にとって優先順位が低いのに、目安より明らかに多い費目はムダに使いすぎと判断できる。節約方法を考えて、早めに改善しよう。

「一人暮らしのシングルなら、できれば手取り収入の17%ぐらいは貯蓄に回したいところ。ここがクリアできていないうちは、出費をひとつずつテコ入れしていきましょう」

自分の支出と照らし合わせてみよう!

お金 悩み

手取り収入に占める割合の一例
目安割合は左から、一人暮らしシングル、実家住まいシングル、夫婦2人、夫婦と小学生以下の子ども(子どもが1~2人の場合)

食費:18%、15%、15%、14%
住居費:28%、20%(家に入れるお金)、25%、25%
水道光熱費:6%、‐、5%、6%
通信費:6%、5%、 6%、5%
こづかい:‐、‐、10%、8%
教育費:‐、‐、‐、10%
趣味・娯楽費:4%、5%、3%、2%
被服費:3%、4%、3%、3%
交際費:5%、5%、3%、2%
日用雑貨費:3%、2%、2%、2%
保険料:4%、4%、5%、8%
貯蓄:17%、35%、20%、12%

手取り収入に対する予算金額の目安は、手取り収入×目安割合で出せる。たとえば、一人暮らしシングルで手取り収入が20万円の場合の貯蓄目安は、20万円×17%(0.17)=3.4万円。実家住まいシングルなら、20万円×35%(0.35)=7万円となる。

買う前に本当に必要か考える

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財布から出ていくお金を必要と欲しいでコントロールする。
あんなに欲しかったのに、買って帰ったらあまり出番がなくムダだった…となるケースはよくある。特に、服やバッグなど値が張るもので物欲に負けると、あとあとまで家計に響くので、冷静さを保てる力が欲しい。

「おすすめは、買い物を〈Needs(必要)〉と〈Wants(欲しい)〉で判断する方法です。いま自分が買おうとしているものは4つのゾーンのどこに入るかを少し立ち止まって考えてみると、客観的にジャッジできます」

たとえば、〈Needs〉と〈Wants〉の両方ともが高いAゾーンなら、多少高くても買う価値あり。削りすぎると生活に支障をきたすCゾーンは、コスパよく揃える。そして、まずは必要ないし欲しくもないDゾーンにくるものから、徹底的に削る。

「難しいのは、必要ではないけれど欲しいBゾーン。買ったときの喜びは大きく、自分を満足させるお金の使い方にも見えますが、家計を圧迫するほどの金額や頻度は考えもの。上限を決めるなどして検討しましょう」

基本的に、私たちは今あるもので十分生活でき、食品や日用品以外は今すぐ買わなくてもほぼ困らない。購入する前に胸に手をあて、「これは本当に必要?」と自問するようにしよう。

NeedsかWantsか? 消費か浪費か?

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【Aゾーン:必要&欲しい】

  • 趣味、旅行、習い事
  • 大好きな食べ物や読みたい本
  • 誰かへのプレゼント

【Bゾーン:ただ欲しいもの】

  • ブランド品のバッグや化粧品
  • “映える”スイーツやお店

【Cゾーン:ないと困る】

  • 生活必需品
  • 住居
  • 電気、ガス、水道

【Dゾーン:必要ない&欲しくもない】

  • 気の進まない飲み会
  • 安いだけのセール品
  • 時間潰しのゲーム

Bゾーンは物欲とほどほどの距離でつきあうのがコツ。
ダイエットと同じで、“欲しい”を我慢しすぎると、反動で爆買いしかねない。「Bゾーンはいわば必要な浪費。支出の2割以内なら健全な範囲なので、その自覚を持って使うのなら、物欲を否定する必要はありません。私も何年かに一度、どうしてもバッグが買いたくなるときが。そろそろ来るなと思ったら、予算を少しずつ用意するようにしています」

くろだ・なおこ ファイナンシャルプランナー。CFP(R)認定者、1級FP技能士、城西国際大学非常勤講師。セミナーや講演、メディアなど多方面で活躍。『マンガでわかる お金に人生を振り回されたくないから超ビギナーが今すぐやること教えてください』(主婦の友社)ほか、著書多数。

※『anan』2024年4月24日号より。マンガ・oyumi イラスト・市村ゆり 取材、文・大上ミカ(カクワーズ)

(by anan編集部)

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