意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「AIの時代」です。


これまでの概念を覆す恐れも。倫理、哲学が求められる

生活の中で生成AIを使う場面がだいぶ広がりました。ChatGPTやGeminiなどはしばしば間違った回答をしますが、嘘をついているわけではありません。単に統計的に最も自然な単語の並びを生成する仕組みなので、事実と異なる情報をもっともらしく生成してしまう、この現象を「ハルシネーション(幻覚)」といいます。

AIが作ったものに著作権は発生するのか、それは言論なのかという問題があります。AIと憲法について研究している憲法学者の山本龍彦先生は、「AIが生成するものは表現ではなく説得に近い」と話していました。誰かによって作られた一定の価値観、アルゴリズムにより、人がひたすら説得されていく。洗脳される可能性に抗う術を持たないと、正しい情報に辿り着けなくなってしまいます。AI社会は、今まで民主的な価値として大切にされてきた表現の自由や知る権利を根底から脅かしていく危険性もあるんですね。

今後、様々な現場でヒューマノイド(人型ロボット)の導入が期待されていますが、ヒューマノイドに生成AIを導入した場合、どんな振る舞いをするのかという情報がまだ足りないのだと、日本ディープラーニング協会の岡田隆太朗さんがおっしゃっていました。

哲学者の岩内章太郎さんは、ヒューマノイドに対して、人が持つトラウマの研究を科学者と共同でされているそうです。将来、災害や消防の最も過酷な現場にはヒューマノイドが投入されます。ロボットとはいえ、共に働いていたら情も湧くでしょう。過酷な現場に行かされたヒューマノイドが壊れて再起不能になったら、自分の指示で仲間を死なせてしまったようなトラウマを抱えてしまう可能性もあります。

高市政権では、AI開発の予算に1兆円以上投資することを決めました。世界ではディープラーニングのためのデータが英語に偏っており、日本語データが不足しています。このまま進めば、生成AIの中では日本的思考や日本らしさが失われるかもしれません。

AI時代の倫理や道徳、哲学が今後ますます求められてきます。あらゆる現場の専門家たちが、どう対処するべきなのかを考えています。

五月女ケイ子解読員から一言

AIに悩みを相談して癒されることもあるのですが、同時に的外れなこともあるので、逆に説得されすぎずに済んでてありがたいです。本当かどうか分からないことを言うのは人間と同じなので、占いのいい所だけ信じるくらいの距離感を保ちたいです。

解説員

Profile

堀 潤

ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。

解読員

Profile

五月女ケイ子

そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。

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写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

anan 2483号(2026年2月10日発売)より
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No.2483掲載

惹かれる気持ち。

2026年02月10日発売

“好き”が溢れ出す恋い焦がれる想い、作品やキャラクターへのときめき、思わず心を揺り動かされてしまう物や人…そんな「惹かれる気持ち」を深掘りする特集。

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