自宅で被災した場合
震度5以上など大きな地震が発生したその時! まずやるべきこととは?
「おそらく揺れで立っていることもままならないと思いますが、揺れる直前に緊急地震速報が鳴ったタイミングや、揺れても身動きが取れるようなら、家の中でも比較的強度が高いといわれている玄関や廊下などに避難するといいでしょう。ベッドの周りなど倒れそうなものがない場所も、避難場所として有効と覚えておくと◎。やってはいけないのは、倒れそうなテレビや家具を押さえること。ケガのもとなので、事前に固定しておくように」(災害危機管理アドバイザー・和田隆昌さん)
揺れが少し収まったら…?
「ガスは大きな揺れを感知すると自動停止しますが、念のため元栓を閉めること。そして、家にいても大丈夫なのか、建物自体の被害状況を確認しましょう。壁に亀裂が入るなど、心配なところがあったら、指定の避難場所へ。また、家族など大切な人の安否も気になるはず。共有しておいた連絡手段で、お互いの状況を確認してください」
地震発生時にどんな行動を取ればいい?
発生直前・発生中
身動きが取れるなら玄関など安全な場所へ。
玄関や廊下など、比較的安全な場所に避難しよう。玄関は、すぐに屋外に逃げられるという点でも適している。もちろん、倒れそうなものや割れ物を置いていないことが前提。
いったん揺れが収まったら
ガス漏れの心配をなくすため、元栓を閉めておこう。
ガスは震度5相当以上の揺れを感知すると、自動的にストップする仕組みになっている。ただ、ガス漏れのリスクはゼロではないので、元栓を閉めておいたほうが安心。
自宅にいても大丈夫か、被害状況をチェック。
壁に亀裂が入っていないか、床が傾いていないかなど、確認してみよう。在宅避難ができるといいけれど、少しでも不安があるなら防災リュックを背負って避難場所へ。
SNSに災害用伝言ダイヤル…。共有した連絡手段で安否確認。
スマホが使えるなら、スマホで家族などと安否確認を取り合おう。使えない場合は、公衆電話や避難所の電話を利用して。避難所の伝言板に書いておくのも、有効な安否確認手段。
CAUTION!
避難所に行くのはマストではない。できれば在宅避難のほうがいい。
被災地の報道では避難所の様子を見ることが多いため、大きな地震が発生=避難所に行かなければいけないと思っている人もいるのでは。「避難所は、自宅にリスクがある人の安全を確保するための場所です。在宅避難ができるなら、住み慣れた場所で安心感があるという意味でも、それに越したことはありません。水や食料などの支援を受けに行くだけの利用も可能です」
発災直後はトイレに水を流さないこと。
マンションなど集合住宅の上階に住んでいる人は、トイレの使用に要注意。「地震で水道管に破損があった場合、トイレに水を流すと汚水が階下の住居に流れ出てしまう危険性も。安全点検が終わるまで非常用トイレを利用して、水洗トイレの使用は控えましょう」
自宅の被害は片づける前に写真に撮っておくのがベター。
災害で自宅に損害があった場合、義援金など支援を受けられる制度がある。その時に必要なのが罹災証明書。「証明書に写真の添付は不要とされていますが、自治体によって運用が異なり、写真があると申請がスムーズになる可能性も。片づける前に念のため撮影を」
避難所ではペットと一緒にいられない。
ペットを飼っている人は、災害時にどうすれば? 「基本的に避難所で一緒に過ごすことができず、人の滞在スペースとは別になります。ケージも必要になるでしょう。一緒にいるためには避難所に行かずに済むように、在宅避難の準備を整えておくのが賢明です」
外出先で被災した場合
職場や屋外など、外出先での被災は様々なケースが想定される。
「職場の場合は、オフィス家具の転倒や落下物に注意。発生中はデスクの下に避難するなどして身を守ろう。その後は会社の指示に従うこと」
屋外でも気をつけるべきは落下物。
「建物のそばにいる場合は、上からガラスや看板が落ちてくる危険性があるので、建物からは離れましょう。その時、カバンを頭上に掲げると、頭を守る役割に。建物から離れる際は、車道の車に注意。ハンドル操作を誤ってしまうドライバーもなかにはいるかもしれないので、とにかく周りの状況に注意をしながら避難してください」
揺れが収まったら近くの避難場所へ。
「こういう時こそ『全国避難所ガイド』など防災アプリの出番。公園や公共施設が避難場所に指定されているので、現在地からどこが近いのか検索してみましょう。安全な場所に移動できたら、安否確認や被害情報の収集などを行い、その後の避難に備えて」
地震発生時にどんな行動を取ればいい?
発生直前・発生中
落下物から頭を守って建物からは離れよう。
屋外の場合は、頭上に注意。建物のそばにいると落下物が落ちてくる危険性があるので、カバンを頭上に掲げてその場を離れること。下を向かずに、周りの状況に目を配ろう。
いったん揺れが収まったら
近くの避難場所に移動して安全を確保すること。
防災アプリで近くの避難場所を検索。すみやかに移動しよう。そこで安否確認や被害情報の収集などを行い、避難所に移動するなど、より安全な方法を選択して次の行動へ。
CAUTION!
外出先からすぐに帰宅しようとしない。
外出先で災害した時の帰宅に関する心得をアップデート。「一時期、災害時に徒歩での帰宅をサポートする地図が流行しましたが、大勢の人が一度に帰ろうとすると、車道が塞がり、緊急車両が通れなくなってしまう。今は、すぐに帰宅しないことが推奨されています」
災害危機管理アドバイザー・和田隆昌さん All About「防災」ガイド、NPO法人防災・防犯ネットワーク防災担当理事。著書に『今日から始める 生活防災』(ワニブックス)など。
※『anan』2024年3月13日号より。イラスト・黒猫まな子 取材、文・保手濱奈美
(by anan編集部)